インドネシア大統領選挙討論会、南シナ海問題巡り論争

インドネシア大統領選挙討論会、南シナ海問題巡り論争
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『【ジャカルタ=押切智義】2月のインドネシア大統領選を前に1月7日、首都ジャカルタで3人の大統領候補の討論会が開かれた。各候補は南シナ海を巡る中国との対立について、東南アジア諸国連合(ASEAN)を巻き込んだ抑止力の必要性などを訴えた。

大統領選はプラボウォ国防相、ガンジャル前中部ジャワ州知事、アニス前ジャカルタ特別州知事の3人が出馬している。討論会では外交や安全保障政策を議論した。

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『インドネシアは南シナ海にあるナトゥナ諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)で、中国と資源を巡る対立を抱える。フィリピンとベトナム、マレーシアなども領有権を争っており、偶発的な衝突の可能性が高まっている。

プラボウォ氏は「南シナ海の状況は強力な防衛力が必要であることを示している」と語り、海上パトロールの強化や監視用の人工衛星の増強の必要性を訴えた。

一方、アニス氏は南シナ海について「問題を解決するカギはASEANだ。インドネシアは盟主に戻らなければならない」と主張。中国と関係が深いラオスやミャンマーへの関与を強め、ASEAN全体で中国への抑止力を高める必要性があると語った。

既にASEANは衝突回避に向けて13年から、中国との南シナ海での「行動規範(COC)」の策定を進めている。しかし妥結のめどはたっていない。

ガンジャル氏はこうした背景も踏まえて中国との間で何らかの「暫定合意」が必要と指摘した。全会一致による「コンセンサス方式」をとっているASEANの意思決定プロセスを「見直さなければならない」と語った。

国際社会で「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国の存在が強まる中、関係強化についても議論された。

プラボウォ氏は「なぜ今、南半球の国々がインドネシアに注目しているかというと、私たちが経済発展に成功したからだ」と語り、経済成長の加速が求心力につながると訴えた。
これに対し、アニス氏は「私たちが南のリーダーたちに働きかける必要がある」と主張。気候変動対策に必要な資金調達で先進国との交渉力を強めるなど、グローバルサウスのリーダーとしてより積極的な動きをとるべきだと語った。

インドネシアの大統領選は2月14日に行われる。調査機関インディカトルによれば、直近の支持率はプラボウォ氏が約47%で、2位のガンジャル氏(約25%)、3位のアニス氏(約21%)を引き離している。

今回の討論会では、他の2候補がプラボウォ氏に対し、カタールが使用していた中古の戦闘機を購入する計画を「予算を有効活用していない」と追及したほか、兵器調達の遅れなどを批判する場面も目立った。

現役国防相の強みを生かし、プラボウォ氏が議論をリードするとの見方が多かったが、結果は反論に追われ、防衛力の強化や国際社会での地位向上に向けた施策について語る場面は限られた。

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