ミャンマー、在外国民に課税 人材受け入れ企業に警戒感
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM273YL0X21C23A2000000/
『【ヤンゴン=渡辺禎央】ミャンマー軍事政権が在外国民から所得税の徴収を始めた。外貨不足を補う狙い。軍政と距離を置く国や企業はミャンマー人材を2国間連携のパイプとして重視している。企業関係者は「納税が軍の資金源になる」などと問題視しかねない投資家や人権派の反応を警戒している。
アジア主要国にあるミャンマー大使館が2023年12月半ば以降、税率や手続きを相次ぎ発表した。日本では原則として税率を平均的な…
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『日本では原則として税率を平均的な月収(20万円と想定)の2%とし、控除後の最終的な税額を月1000円に決めた。
韓国やシンガポール、タイ、マレーシアでも基本的な税率は2%。在留資格や所得水準に応じて税額などにばらつきはあるが、旅券の更新に影響する見通しで、一定の強制力をもって在外ミャンマー人に納税させる。
ミャンマー当局は連邦税法(2023年度)の改正を通じ、在外国民に23年10月1日から外貨での所得納税を義務付けたが、手続きなどの詳細は明らかでなかった。まずは10月に遡って納税が求められるもようだ。
個人の納税額は大きくないものの、強制力次第で徴税総額は膨らむ。
独立系メディアのイラワジは、タイへの正規の出稼ぎ労働者が少なくとも200万人いることに触れ、軍政がタイからだけで月額3億バーツ(約12億4000万円)の税収を得られると試算する。
経済活動が盛んになり燃料や食料輸入で外貨が逼迫(ヤンゴンの商業施設)
企業が警戒するのが、ミャンマー人材の登用が軍政への加担と解釈されるリスクだ。
21年2月の軍事クーデター後、「ミャンマー進出企業や従業員が納める税金が国軍の資金になり、民主派の抑圧など権利侵害に間接的に関わってしまう」との見方が広がった。国連の人権専門家や国際的な人権団体からもこうした声が出た。
複数の人材会社によると、ミャンマー人の採用と軍政支援を結びつける企業はこれまでも一定程度あるという。日本や韓国への出稼ぎが増加している今、投資家や人権活動家らの見方が焦点となる。
日系法律事務所でビジネスと人権の関係に詳しい弁護士は「納税が軍政への直接の加担になるという考え方は必ずしも主流ではない」とし、ミャンマー人材の雇用をためらう必要はないとみる。
在外の働き手には金銭負担も課題となる。最大都市ヤンゴンの日系人材紹介会社ジェイサットの西垣充社長によると「すでに人材受け入れ企業から相談があり、企業が税金を負担する事例もある」。同氏は「ミャンマーと距離を置く企業が出てくるかもしれないが、受け入れの意味を丁寧に説明していきたい」としている。
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