スーダン内戦、みえぬ解決 難民流出で周辺国へ影響連鎖

スーダン内戦、みえぬ解決 難民流出で周辺国へ影響連鎖
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB136N80T11C23A2000000/

『スーダンで4月に勃発した軍と準軍事組織の衝突の影響が周辺国に連鎖している。もともと同国に流入していた難民が周辺国に戻る現象が起きているためだ。資源を巡る諸外国の利権争いも絡み、地域の政情不安は解決の糸口がみえない。

「治安が悪化し、新たにたどり着いた難民の生活に悪影響を及ぼしている」。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は12月上旬、スーダン国境と近いエチオピア北西部にあるクメール居住地の状況…

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『国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は12月上旬、スーダン国境と近いエチオピア北西部にあるクメール居住地の状況をこう説明した。多くの難民が押し寄せ、子どもの栄養失調や暴力への対応が必要だという。

UNHCRによると、スーダンからエチオピアへは約4万人が流入した。1割弱がエチオピア国籍だ。エチオピアでは2020年に北部で政府軍と武装勢力による内戦が発生し、多くの人がスーダンへ逃れていた。スーダン内の紛争で難民が逆流した。

スーダンの西隣の最貧国、チャドでも難民流入が危機を生んでいる。同国は中央アフリカやカメルーン、ナイジェリアの難民を受け入れている。スーダンからも難民が流入したことで、難民キャンプが過密状態となり、水や食料へのアクセスが逼迫し、コレラなどの感染症が深刻な課題となっている。

4月15日、スーダン軍と準軍事組織である「即応支援部隊(RSF)」の間で起きた武力衝突は現在も首都ハルツームを中心に続く。これまでに1万2千人以上が死亡し、人口の1割強にあたる700万人ほどが国内外での避難を強いられた。

衛生環境も悪化している。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、24日時点で8000例以上のコレラ疑いのある症例が報告されている。世界食糧計画(WFP)は12月時点で約2000万人が深刻な飢餓状態にあるとする。

紛争の背景には同国に豊富に眠る金や石油といった資源を巡る争いがある。中東諸国などの思惑が絡み問題は複雑化している。ロイター通信によると、スーダン軍はアラブ首長国連邦(UAE)がRSFに物資を支援していると非難した。ロシアの民間軍事会社ワグネルがRSFに武器を提供しているとの見方もある。

欧米など国際社会の関心はウクライナ情勢やガザ情勢に向いていて、スーダンを巡る人道危機の解決に積極行動を起こせていない。

スーダンの状況を巡って「ガザでの危機の10倍の人口が影響を受けているにもかかわらず、スーダンで起きていることに関心を持つ人はほとんどいない」(WFPのマイケル・ダンフォード東アフリカ地域局長)といった指摘が相次ぐ。

12月上旬、国連のスーダン支援ミッション「UNITAMS」がスーダンからの撤退を決めた。国連職員の安全を案じる声がある。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)のシャルボノー国連担当ディレクターは「スーダン民間人に対する責任放棄の集大成だ」と強く批判する。

(武藤珠代)

スーダン内戦
 4月、スーダン軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の武力衝突が勃発。資源を巡る主導権争いが遠因との指摘もある。国内外に難民を大量に生み出し、人道危機が続く。
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②ナゴルノカラバフ解体 さまよう10万人、職無く苦境 』