ロシア国防相、ウクライナとNATOが宣言した反攻作戦の阻止に成功した

ロシア国防相、ウクライナとNATOが宣言した反攻作戦の阻止に成功した
https://grandfleet.info/russia-related/russian-defense-minister-successfully-thwarts-counter-offensive-operations-declared-by-ukraine-and-nato/

『設定された目標と結果を見れば「ウクライナ軍の反攻作戦は失敗した」と表現するのが妥当だが、ロシアのショイグ国防相も26日「2023年の主要任務はウクライナとNATOが高らかに宣言した反攻作戦の阻止だった」「この任務は成功裏に達成された」と述べた。

参考:Российские военные выполнили главную цель года, заявил Шойгу

ショイグ国防相の主張は「戦場の現実を反映したもの」であり、残念ながら2023年の戦いはロシア軍が目的を達したと言える

ロシアのショイグ国防相は26日「2023年の主要任務はウクライナとNATOが高らかに宣言した『反攻作戦の阻止』だった」「この任務は成功裏に達成された」と述べ、露国営メディアのRIAノーボスチも「ショイグ国防相は職員の働きを称賛して『良好な任務の遂行』に感謝した。来年1月に国防省は2024年の主要任務について協議する予定でプーチン大統領が設定した優先事項に焦点が当てられる」と報じている。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

もう反攻作戦の大筋は明らかになっており、ウクライナは有利な停戦交渉の立場を得るため「南部と東部に展開するロシア軍の分断」という戦略的な目標を設定、これを実現するため「ウクライナ南部から地上部隊によるアゾフ海への到達」というゴールが設定され、最良のシュミレーション結果は「60日から90日でアゾフ海に到達して南部と東部のロシア軍を引き裂くことが可能だ」と結論づけ、ザポリージャからメリトポリを目指す第47機械化旅団には「最初の24時間で約9マイル先のロボーティネに到達すること」が期待されていた。

しかし、南下の開始から4日間の戦闘でレオパルト2、ブラッドレー、地雷処理戦車など多数の西側製装備の残骸が戦場に散乱し、この戦闘で発生した死傷者数は軍の士気を大きく低下させ、ザルジニー総司令官は「限られた装備を失うのはもう十分だ」と感じて攻撃停止を命令、機械化部隊で防衛ラインを突破するのではなく「10人程度の少人数で編成された部隊」による徒歩での攻撃に切り替えたものの「前進速度の大幅な低下」を引き起こしてしまう。

出典:Telegram経由

要するに「米国と何ヶ月もかけて練り上げられた作戦」は4日目に放棄され、60日から90日でアゾフ海に到達するというゲームプランもゴミ箱行きになり、ロボーティネに辿り着いたのは3ヶ月後で、半年に渡る反攻作戦で得られた利益は12マイルの前進と僅かな集落の解放だけだった。

一般人には「反攻作戦で被った双方の損害」を知ることは出来ないものの、交戦の一部分しか反映されていない視覚的な映像や画像だけで「どちらが相手に大きな損害を与えたか」を議論しても意味がないことは理解しており、本当に重要なのは「相手の補充能力」を上回る損害を与えたかどうかだろう。

出典:ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ

設定された目標と結果を見れば「反攻作戦は失敗」と表現するのが妥当で、ロシア軍による秋以降の攻勢が複数方面で成功していることも加味すると「ウクライナ軍の損害は補充能力(西側の物質的な支援と人的資源の供給)を上回る規模」「ロシア軍の損害は補充能力を下回る規模」だった可能性があり、ロシア軍が戦場の主導権を取り戻したのは「戦力密度の不均衡」が原因かもしれない。

どちらにしてもショイグ国防相の主張は「戦場の現実を反映したもの」であり、残念ながら2023年の戦いは「ロシア軍が目的(反攻作戦の阻止)を達した」と言えるが、来年がどうなるかは誰にも分からない。

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DEEP STATEとRYBARが自国の発表を否定する格好

因みに「ウクライナ人が運営するDEEP STATE」と「ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR」は共に興味深い指摘を披露している。

露メディアは「ショイグ国防相がプーチン大統領にマリンカの完全占領を報告した」と報じているが、ウクライナ軍側は「まだマリンカを巡る戦いは続いている」「我々の兵士はマリンカの行政区域内にいる」「まだマリンカの完全占領を語るのは間違っている」と反論、しかしDEEP STATEは「マリンカ北西郊外で撮影された戦闘映像は拠点の喪失を証明している」「現在の戦争は街の郊外で行われているためマリンカが占領されていないと言い張るのは控えめに言っても奇妙だ」と指摘。

ウクライナ軍の主張はポジショントークに過ぎず、セベロドネツク、リシチャンシク、ポパスナ、リマン、ソレダル、バフムートでもそうだったように「政府が軍が拠点の喪失を公式に認めるまでには時間がかかる」だけで、内部の調整がつけばマリンカの喪失を認めるだろう。

出典:Ministry of Defense of Ukraine/CC BY-SA 2.0

ロシア国防省は「ウクライナ軍によるミサイル攻撃でノヴォチェルカスクが損傷した」「しかしミサイルを発射した2機のSu-24Mは防空部隊によって破壊された」と主張したものの、RYBARは「ウクライナ空軍のSu-24Mはスタロコンスタンティノフを午前1時頃に離陸し、ムィコラーイウ州のスニフリヴカ上空でミサイルを発射した」「この瞬間をロシア軍のレーダーが捕捉して防空部隊が迎撃ミサイルを発射した」「その後にカナトヴォから2機のSu-24Mが離陸していることを考えると撃墜したという主張には疑問が残る」と指摘。

要するにスタロコンスタンティノフを離陸した2機のSu-24Mはスニフリヴカ上空でミサイルを発射、そこから170km離れたカナトヴォで2機のSu-24Mが離陸しているため「攻撃を実施したSu-24Mが燃料補給のためカナトヴォに立ち寄った可能性が高い」という意味で、ロシア国防省の発表は信ぴょう性に欠けると言いたいのだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ロシア関連 コメント: 52  』

『 マダコ
2023年 12月 26日

返信 引用 

最近のウクライナの発表は、数機の航空機の撃墜と揚陸艦の破壊、対してロシアの発表は、マリンカの制圧と反転攻勢の阻止。けっこう象徴的だと思います。
ショイグ国防相の発表も、NATOの敗北を印象づける、政治的意図も強い発表になっていますね。事実上そうなっているので仕方ありませんが、現状、線として結び付かない、点の攻撃を強調しているウクライナの明らかな劣性を感じます。
37

    たむごん
    2023年 12月 26日
    返信 引用 

仰る通りですね。
ウクライナの大きな戦果ですが、兵器は消耗品ですから、お互いに破壊・消耗する前提のものです。

スポンサー国の国民感情は、政治的な要素(反攻作戦の失敗)によって、大きく影響すると考えます(単純なキルレを競うゲームではありません)。
ゼレンスキー大統領が、イスラエル支持を早々・軽々に発表した事も、スポンサー国の国民感情にとって(政治的に)裏目にでました。

ウクライナを取り巻く環境が厳しくなる中で、クリミア奪還まで戦争を続けるのであれば、何を得る事ができるのか疑問に感じています。
18
        マダコ
        2023年 12月 26日
        返信 引用 

    はい、その通りですね。
    ショイグ国防省の「2023年の主要任務はウクライナとNATOが高らかに宣言した『反攻作戦の阻止』だった」「この任務は成功裏に達成された」という発言ですが、自国民にも相手国民にも支援国にもその国民にも通じる発表で、多少の知性のある人ならば「もう諦めろ」と言っているのは分かると思います。ウクライナの発表は、半ば、反知性的な人向けにしか、もはや響かないと思います。
    クリミアは、あまりにも遠い話で、心のより所のような、精神的目標のようになってしまっていると感じます。
    25
            たむごん
            2023年 12月 27日
            返信 引用 

        仰る通りです。

        自衛隊の元将校を始めとして、あれだけ大々的に大手メディアもプロパガンダを流して、失敗したわけですからね。
        日本も、自衛隊の信用失墜というダメージを負ったと考えています。

        クリミアは、本当に遠いですよね…。
        13
                kitty
                2023年 12月 27日
                返信 引用 

            ささやかお願いなのですが、トンチンカンなコメントを出していた元自衛隊将校の名前を教えていただけると幸いです。
            検索しても多すぎて。
            2
        琥珀
        2023年 12月 27日
        返信 引用 

    イスラエル支持は最大のスポンサーであるアメリカの件があるにしても、早い行動でしたものね。
    ただあれって侵略して得た土地で侵略した側に自衛の権利があるという事を、現在進行形で侵略を受けている国家の元首が肯定するって凄いになったんですよね。

    まあ、その後のイスラエルは報復にしては過剰で、西側諸国もドン引きのジェノサイドみたいな事し始めて、グローバルサウスから西側のダブスタと批判されたりと、最早西側のイスラエルが西側の世界秩序にトドメ刺した感じが。

    正直占領された東部奪還すら現状では無理そうなんで、クリミア奪還は最早夢みたいな気がするんですよね。
    攻勢失敗での人的資源に兵器の消耗が無ければまだ可能性はあった気もしますが。
    27
            たむごん
            2023年 12月 27日
            返信 引用 

        仰る通りです。
        ウクライナは、イスラム諸国からも喜捨を受けていたり、中東で復興会議も開催されているのに迂闊だなあと…。

        南部攻勢失敗による損耗は、本当に痛いですよね。
        『クリミア奪還までお金を下さい!』=『ウクライナに永久に喜捨してくれ』現状、見込みない訳ですからこういう話なんですよね…

        日本は、2兆円も与信を使った訳ですから、無制限な支払いは受け入れ難いなあと。
        14
                琥珀
                2023年 12月 27日
                返信 引用 

            ハマスをロシアと同一視するような発言してましたし、これを機会に欧米にロシアとも距離置いてたイスラエル含めた中東を味方に引き入れたかったのでは?
            結果はアラブ諸国は欧米というか西側に対して余計に不信感を強くして、イスラエルもロシアとの繋がりは残したいから、ゼレンスキーがイスラエルの来るの拒否したんだろうなと。
            来たら絶対ハマスとロシアを同一視するような発言しそうですし。

            兵器の消耗も痛いけど時間がかかるにしても補充できる分まだマシで、人は失うと補充しても育成するにも時間かかるし、補充する度に国として衰えていきますからね…。
            攻勢失敗にロシア軍がウクライナ軍を積極的に狙うようになったので、ウクライナ軍ベテラン大分失ってそうなんですよね。
            精鋭だった部隊が老兵を強制動員して穴埋めしてる話とか聞きますし、去年の侵攻前にいたベテランとか殆どがもうこの世にいなさそうというか。

            まあ、日本国民の血税だから文句言う権利はありますよね。

            後コルビー氏が「バイデン政権は日本にパトリオット、韓国に砲弾をウクライナに提供するよう要請し、中国とアジアが優先事項だと大胆に主張する。いい加減にしてくれ。ワシントンに非はあるが、東京、ソウル、台北はこんなことに付き合ってはいけない。貧乏くじを引くだろうから」
            って発言してましたけど、確かに兵器や弾薬の備蓄も減らされて、東アジアで何か起きた際武器も弾も無いとかになったら最悪だなってとこも。
            7 』