アウディーイウカの戦い、ウクライナ軍は2ヶ月ぶりに兵力補充を受ける

アウディーイウカの戦い、ウクライナ軍は2ヶ月ぶりに兵力補充を受ける
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/battle-of-audiivka-ukrainian-army-receives-reinforcements-for-the-first-time-in-two-months/

『ウクライナ人ジャーナリストのユーリ・ブツソフ氏は23日「シルスキー陸軍大将の命令によってアウディーイウカを守る部隊は2ヶ月ぶりに兵力の補充を受けたが、様々な理由で脱落した兵士の数を補うのに十分な数ではない。それでも重要な転換点である」と指摘した。

参考:Впервые за 2 месяца в состав наших войск в Авдеевке зачислено пополнение. Его недостаточно, – Бутусов

ウクライナ軍が戦術的に有利な状況を維持するためには「守る」のではなく「特定方向でロシア軍を押し戻す作業=反撃」が必要

アウディーイウカで1年近く戦う大統領旅団・第2機械化大隊のイーゴリ・グバレンコ司令官は「同地で防衛ラインが破られて劣勢に陥った原因は『ロシア軍の圧倒的な兵力』と『自軍の兵力不足』にある」と訴えていたが、ウクライナ人ジャーナリストのユーリ・ブツソフ氏は23日「シルスキー陸軍大将の命令によってアウディーイウカを守る部隊は2ヶ月ぶりに兵力の補充を受けたが、様々な理由で脱落した兵士の数を補うのに十分な数ではない。それでも重要な転換点である」と指摘した。

出典:topographic-map.com 管理人作成(クリックで拡大)

“アウディーイウカはドネツク都市群における重要な結節点であり、ここを保持することで数十kmにも及ぶ前線を維持するが出来る。逆にアウディーイウカを失うと相当な距離を後退しなければならず、ポクロウシク、クラホヴェ、ミルノフラドを最前線の街に変えてしまし、ドンパスにおけるロシア軍の立場を著しく向上させるだろう。だからこそロシア軍はアウディーイウカを占領するためあらゆる予備戦力を投入しているのだ”

“アウディーイウカはコンクリート製の建物や高地の優位性のお陰でロシア軍を倒すのに理想的な「戦術的優位」を持っていて「損害の交換比」でも何倍も有利な立場だ。ここを失って出来た穴を数個旅団で塞ぐより、今直ぐ数個大隊でアウディーイウカの守りを強化した方がいい。私はアウディーイウカが必要とする増援を司令部が直ちに実行してくれることを願っている。この街の守り抜くことはウクライナ軍にとって戦略的成功であり、この戦いに我々は絶対に勝利しなければならない”

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

つまり「アウディーイウカでロシア軍を迎え撃った方が戦術的に有利だ」という意味だが、これは「アウディーイウカの後方を維持する=ロシア軍に包囲されない」という前提の話で、ロシア軍が包囲に失敗してアウディーイウカを正面から攻め続ければバフムートと同じように大きな損害を被るだろう。

逆にステポヴェ、シェベルネ、トネネキー、コークス工場のどれかを1つでも失えば「アウディーイウカの兵站」は危機的な状況に陥るため、ウクライナ軍が戦術的に有利な状況を維持するためには「守る」のではなく「特定方向でロシア軍を押し戻す作業=反撃」が必要で、それがなければバフムートと同じように「最終的に街を奪われる」という運命を迎える確率が高い。

追記:ロシアはウクライナから撤退せよ!「こちらのサイトがとっさんTVで紹介されていたので覗きに来ましたがガッカリです。現在の状況が厳しいと理解していますが、ここの伝え方は「苦しいウクライナを応援しよう」という気概が全く感じられませんね。ロシア軍の優勢を喜んでいるようにさえ感じられます。とっさんTVは日本の安全保障に資する事を第一に考え、全力でウクライナを応援しています。どうか、その姿勢を見習って欲しいものです」とありますが、とっさんTVが何なのか知りません。

そもそも傍観者が苦しいウクライナを応援して戦場の状況が変わるとは思えません。

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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 114 』

『 のむら
2023年 12月 24日

返信 引用 

戦争の終わらせ方を本気で考えている人たちは西側、国際機関、いずれかにいるんだろうか。
・ウクライナのゴールは2022戦前状態(クリミアや東部二洲一部はゼレンスキーも強硬派も本音では諦めているでしょう)
・ロシアはクリミアと東部二州のウクライナからの割譲、現状だと当然南部二州も。加えて最低NATO、できればEUも非加盟。

当事者の主張は全く相容れないのですが、宗教指導者の仲裁もできませんし、西側は明確にロシアの敵として動きましたし、
結局は今回の侵攻のペナルティを餌にロシアに妥協させるしかないでしょう。

インドや中国が国際的な立場を高めるためにリスクをとって仲裁してくれることも期待したいですが、、、

どんなキルレシオだろうがどんな結果だろうが、人が死に、資源が消費され、経済に使われるはずのリソースが損なわれるのは世界にとって不幸です。
コロナ終わりかけだったけど、また別な病気が流行らないとも限らない。国際協調のためには本当不毛な戦い。

クウェートみたいにその土地自体がものすごく魅力的(表現は悪いですが)というわけではなく、本当に地政学的、腐敗も含め政治的なものだけで起きたから本当悲しい。
17

    歴史と貧困
    2023年 12月 24日
    返信 引用 

>結局は今回の侵攻のペナルティを餌にロシアに妥協させるしかないでしょう。
既に西側の経済制裁の影響が相当低下している現状では、交換条件として弱いと思います。2022年3月末ならば、まさにそれを交換条件に、マリウポリにアゾフ連隊を置かないこととNATO非加盟だけを条件に妥協は成立したかもしれません。

それに、ゼレンスキー政権がポーランドやハンガリーと抱えた火種もそのままです。既にことは、ロシアとの二国間問題だけでなく、EUへの穀物輸出、輸送業者の自由行動特権などの東欧の国々との摩擦にも広がりました。覆水は盆に帰らずです。

正直、西側の中のリアリストはゼレンスキー政権など見捨て、あえて崩壊させ、ウクライナ西部の利権を黙認の形でポーランドやハンガリーへ餌として分け与えることも考えているのではないかと。

>西側は明確にロシアの敵として動きました
これが存外に、あっさりと掌返しされることが常だからこそ、【欧州の政治情勢は複雑怪奇】と言われます。日本人は何だかんだで義理堅い人が多いですが、欧州は敗者には本当に冷たいです。
20 』

『 たむごん
2023年 12月 24日

返信 引用 

西側といっても、各国の国益で動いており、中身はバラバラで案外冷たいものですよ…。
ロシアとの資源取引、天然ガス輸入も各国続けており、特にヨーロッパ向けLNGはあまり変化ないですね。

1900年代は、欧米の経済力・科学力・軍事力・資金力は圧倒的だったのですが、今は以前ほどではないんですよね。
ドローン製造だけでなく、先端兵器製造などに不可欠な末端の下請け製造業も、中国などに一部移転しています(米軍でさえもです)。

カタールW杯31兆円使っていますが、東京五輪3.7兆円で大きく揉めており、資金力も変わっています。
仲裁するためには、誰かが泥・負担(お金)を被る必要があるのですが、メリットがないので今更いないのでしょうね。
9 』

『 たむごん
2023年 12月 24日

返信 引用 

アウディーイウカは、ドンバス戦争から考えれば、8.9年ぴくりとも動かなかった要塞都市・重要拠点ですからね。
ウクライナ軍の東部防衛体制も、当然それを前提にして、組み立ててきたと考えられます。

非常に厳しいと感じる部分は、『ローテーション』ではなく、『補充』なんですよね。
ウクライナ軍の防衛・補給線、かなりギリギリの所ですが、動向を注視したいと思います。

アウディーイウカの重要性は、ウクライナ=ロシアの双方がドネツク州の戦略拠点として認識している訳で、ただの人海戦術として貶めているのは色眼鏡だなあと…。
16

    ななしびと
    2023年 12月 24日
    返信 引用 

ロシアの本格的な軍事作戦が始まって以降2年近く持ちこたえているドネツク最前線の都市だけに抜かれる想定より抜かれないように想定していたでしょうしねぇ…
規模としては小さいながらマリンカなども開戦からよく持ったほうだとは思いましたが最近陥落した結果、マリンカ周辺の町や集落(顕著な例ではノボミハイリフカ)が危うい状況になってますしね。
仮に単なる人海戦術だと、ロシアの後先顧みない攻撃なんだと揶揄したところで陥落の危機に瀕していることには変わらず、
陥落したという事実のほうが重要になってくると思いますしね。

そもそもの話、その「ロシアの無謀な攻撃」に対処しきれてない時点でロシアが上手なんですけどねっていう。
8
        たむごん
        2023年 12月 24日
        返信 引用 

    仰る通りです。
    アウディーイウカなど、東部の前線が攻略されれば、後方に強度の高い防衛線は作れていないでしょうし。

    ゼレンスキー大統領は、休戦・停戦のタイミングを間違えないようにして欲しいですね。
    第二次政権・後任の大統領のために、汚名を被るのもトップリーダーの仕事だと考えています。
    4 』