ウクライナメディア、ロシア軍が攻勢に出たため要塞強化に賭けるしかない

ウクライナメディア、ロシア軍が攻勢に出たため要塞強化に賭けるしかない
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-media-has-no-choice-but-to-strengthen-fortifications-as-russian-forces-go-on-offensive/#comment_headline

『ウクライナメディアのRBC-Ukraineはクピャンスク、バフムート、アウディーイウカ、ドネツク西郊外、ウクライナ南部の状況をまとめた記事の中で「ほとんどの地域でロシア軍が攻勢に出て、ウクライナは要塞の強化に賭けざるを得なくなった」と報じている。

参考:Авдеевка, Купянск и “качели” под Бахмутом. Где Россия пытается прорвать оборону ВСУ

クピャンスク方面

この方面のロシア軍はクピャンスクの占領を狙っており、オスキル川沿いに南下してシンキフカ郊外に迫っている。東部戦線を指揮するシルスキー大将は「この方面の状況は依然として厳しく、武器も兵士数でも敵が有利な状況で戦うことを強いられている」と言及。
出典:GoogleMap クピャンスク周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

RBC-Ukraineは「シンキフカを突破されるとクピャンスクの中心部が敵の脅威に晒されるだろう。さらにロシア軍は国境沿いのライマン・ドゥルーヒに工兵部隊を移動させた。これはオスキル川を渡河するための準備に入っていることを示唆しているのかもしれない」と、シンクタンクのウクライナ人アナリストも「これは選択肢の1つだ。オスキル川の対岸へは国境付近から侵入する方法もあるが、そこには我々の防衛ラインがあるためロシア軍は川を強行突破する方が簡単だという結論に達したのだろう」と述べているのが興味深い。

ライマン・ドゥルーヒの周辺には部隊を隠すのに都合がいい森林地帯が広がっており、この辺りの川幅は20m前後と比較的狭いため、クピャンスク方向に敵を引き付けてドボリャンスキー国立自然公園から回り込む可能性の0ではないが、ウクライナ軍も警戒しているのでオスキル川の渡河が実現可能か謎だ。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

他にもRBC-Ukraineは「敵がクピャンスクを押さえればハルキウやイジュームへの道が開かれ、再びスラビャンスクやクラマトルスクが脅かされることになる」「クピャンスクはハルキウに習って円形上の防御陣地(詳しくは明かせない)が建設されている」「12月現在、スームィ、クピャンスク、ボロフスコエ、リマンの4地域で要塞の建設が優先されている」「ゼレンスキー大統領はハルキウ州を他の地域の模範に挙げた」「この地域の軍と建設会社が協力して大きな成果をあげた」と書いている。

バフムート方面

この方面のロシア軍はチャシブ・ヤールを抑えてコンスタンチノフカからスラビャンスクに向かうことを狙っており、東部戦線を指揮するシルスキー大将も「ここに最も準備が整った空挺部隊、海兵隊、囚人や元捕虜で構成されたストームZやストームVなどが投入されており、ロシア軍の主要な努力はバフムート周辺に集中している。敵はチャシブ・ヤールからコンスタンチノフカに進み、クラマトルスクやスラビャンスクを経てドネツクの州境に到達したいと考えている」と言及。

出典:GoogleMap バフムート周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

この見方にウクライナ人アナリストも同意し「ロシア人が占領したと主張するはクロモヴェはグレーゾーンだ。ここはバフムートから数百メートルしか離れておらずチャシブ・ヤールは数キロ先にある。敵はチャシブ・ヤールに到達しようと努力する思うが成功しないことを祈ろう」と述べ、この方面にはウクライナ軍の防衛ラインがあるため「ロシア軍が直ぐチャシブ・ヤールに到達することは困難だ」「仮に到達するにしても数ヶ月はかかるだろう」と付け加えている。

米国のウクライナ支援資金は枯渇しているため、この状況が長く続けば砲弾不足によってウクライナ軍が押し切られる可能性も否定できない。

アウディーイウカ方面

この方面のロシア軍は「ステポヴェを抑えてアウディーイウカに接続する唯一の舗装道路(O-0542)に接近する」というのが当面の目標で、RBC-Ukraineは「小さな利益のため犠牲を顧みない姿勢は来年の大統領選挙に関連していると情報総局は見ている。プーチンは選挙までに何らかの成果を示す必要があり、ロシア軍は年内にアウディーイウカを包囲したと考えているはずだ」と指摘。

出典:GoogleMap アウディーイウカ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ウクライナ人アナリストも「選挙前までにアウディーイウカを包囲できれば特別軍事作戦の成功をアピールする口実になるだろう。そのためアウディーイウカでの攻勢は激しくなるはずで、選挙が終わるまで何らかの作戦休止を望めない」と述べており、少なくとも激しい消耗戦は来年3月まで続くという意味だ。

因みにアウディーイウカには現在も住み慣れた土地を離れたがらない住民が1,000人以上も残っており、アパートや住宅の地下で暮らしているらしい。

ドネツク西郊外方面

この方面についてロシア人達は「マリンカ占領」を主張しているものの、ウクライナ軍のタルナフスキー准将は「まだマリンカの一角を保持している」と、ウクライナ人アナリストも「この廃墟の街は今でも我々の領土で事前に準備された陣地を失った場合のみ撤退が可能だ」と主張しているが、ウクライナ人が運営するDEEP STATEだけは「街の数十メートルのみを保持してマリンカ占領を否定することに何の意味もない」と否定的だ。

出典:GoogleMap ドネツク周辺の戦況(クリックで拡大可能)

マリンカをほぼ手に入れたロシア軍の次の目標についてRBC-Ukraineは「10km離れたクラホヴォに向かうことだが、この間にはあウクライナ軍の防衛ラインがあるため前進には困難が伴い、多くの時間と労力が必要になるだろう」「もう一つの可能性は昨年の冬に失敗したヴーレダーへの攻撃だ。ロシア軍はマリンカとヴーレダーの間にあるノボミハイリフカで攻撃を活発化させている。敵はヴーレダーに投入するための戦力を蓄積しているが直ぐに何かが起こる可能性は低い。特にアウディーイウカを占領しようしているタイミングでは難しいだろう」と指摘した。

但し、マリンカ方向でロシア軍を押し戻せない以上、ノボミハイリフカを失うのは時間の問題だ。

ウクライナ南部方面

この方面についてRBC-Ukraineは「ウクライナ軍はノヴォプロコピフカとロボーティネの付近でロシア軍を撃退し続けているが、欧米のアナリスト達はウクライナ軍がロボーティネ付近の陣地まで後退したのではないか見ている。これについては今のところ確認がとれていない」と述べた。

出典:GoogleMap ザポリージャ州の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ドニエプル川左岸の状況については「慎重に行動しているため状況の急激な展開を期待すべきではない。それでも2024年の早い段階で橋頭堡を拡大させることが可能性あることは疑いの余地はない」と強気の評価だが、前線全体の状況については「殆どの地域でロシア軍が攻勢に出ている。依然としてロシア軍の主力と予備部隊の数は膨大で、ウクライナは積極的な防衛と要塞の強化に賭けざるを得なくなったのは明らかだ」と述べている。

攻勢に出ているロシア軍も決定的な突破口を開いている訳ではなく、仮にウクライナ軍がクピャンスク、チャシブ・ヤール、アウディーイウカ、ノボミハイリフカなどを失っても戦術的な敗北に留まるため、この戦いはまだまだ続く可能性が高い。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 61  』