米政権、ガザ戦闘縮小へ成果急ぐ 止まらぬ支持率低下

米政権、ガザ戦闘縮小へ成果急ぐ 止まらぬ支持率低下
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『バイデン米政権がパレスチナ自治区ガザでの戦闘縮小へイスラエルとの協議を急いでいる。戦闘の長期化は紛争拡大のリスクを高めるだけでなく、バイデン大統領の支持率低下に拍車をかける。2024年米大統領選の候補指名争いは1カ月後に始まる。政権は年明け早々にも人道危機を和らげる成果を上げようと焦燥感を濃くしている。
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「イスラエルの作戦だ。時間軸や条件…

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『「イスラエルの作戦だ。時間軸や条件を指示するつもりはない」。18日、イスラエルを訪問したオースティン米国防長官はテルアビブで記者会見し、ガザでの戦闘縮小の見通しについて従来見解を繰り返した。

同席したイスラエルのガラント国防相は作戦を特定の目的に絞り込む次の段階に言及したものの「戦争が終わるまで時間がかかろうとも、確実に人質を取り戻し、ハマスの軍事能力、ガザ統治能力を破壊する必要がある」と述べるにとどめた。

イスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲し約1200人を殺害、200人以上を人質にしてから年明け1月7日で3カ月となる。イスラエルはハマスが実効支配するガザへの攻撃を続ける。民間人が犠牲になる人道危機が深まり、18日時点でガザの死者は2万人に迫る。

バイデン政権は2つの焦燥感を抱える。一つは戦火が拡大するリスクをいかに抑止するかだ。16日には紅海で活動中の米駆逐艦がイエメンの親イラン武装組織フーシ派の支配地域から飛来した無人機14機を撃墜した。

「(イスラエルと敵対する)イランがテロ集団を支援し、緊張を高めている」とオースティン長官は批判した。今回の中東歴訪では東地中海に展開中の米空母も訪れる。紛争拡大を抑え込む姿勢を鮮明にし、ガザの混乱に乗じる動きを封じる狙いだ。

もう一つ、政権の焦燥感をおあるのは国内で深まる逆風だ。米リアル・クリア・ポリティクスの集計によると、24年11月の大統領選を想定した17日時点の平均支持率はバイデン氏が43.7%に対し、共和党の最有力候補のトランプ前大統領が47.2%だった。

10月半ば以降、前大統領とバイデン氏の支持率の差が開く傾向にある。ハーバード大学の最近の調査では24年大統領選で「確実に投票する」と答えた30歳未満の人は20年前回選挙の同時期と比べ、57%から49%に低下した。民主党が支持基盤と期待する若者は政権のイスラエル支援に疑問を抱き、「停戦なければ投票なし」と唱える。

先にバイデン政権がカタールを仲介役にこぎつけたガザの一時戦闘休止は7日間で終わった。米メディアは18日、米中央情報局(CIA)とイスラエルの対外特務機関モサドの両長官、カタールのムハンマド首相兼外相がポーランドのワルシャワで会うと報じた。

年明け1月15日には野党・共和党の大統領候補の指名争いの初戦がアイオワ州で始まり、共和候補からイスラエル支援を巡る苦境を突かれる恐れが増す。バイデン政権はその前にガザの戦闘縮小へ次の成果を得たいと急ぐ。

なぜ前大統領に支持率で負けているのか。17日夜に記者団から問われたバイデン氏は「間違った世論調査」をみているのだと返しただけだった。

(ワシントン支局長 大越匡洋)

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