支持率上昇のニッキー・ヘイリー トランプに勝てるか?
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/32407
『フィナンシャル・タイムズ紙コラムニストのエドワード・ルースが、11月29日付け同紙論説‘The Nikki Haley wild card for 2024’で、ニッキー・ヘイリーがトランプを制して共和党の指名を獲得するチャンスがあるとみられるに至っている状況について、その可能性は思われているほどには遠くないと論じている。要旨は次の通り。
共和党大統領候補として支持を広げはじめているニッキー・ヘイリー氏(AP/アフロ)
2024年の米大統領選に向けての、この時点での最もあり得る、あるいは最も非現実的ではない攪乱者は、共和党のニッキー・ヘイリーである。
彼女は穏健派ではないが、トランプでないというだけの理由で、本選でバイデンを負かす可能性は劇的に高まる。
彼女にとっての問題は、トランプが依然として指名獲得の圧倒的な本命であることである。しかし、ヘイリーの逆転の可能性は思われている程遠くはない。資金は問題ではない。最近、富豪のチャールズ・コークのグループがヘイリー支持を表明した。
ヘイリーはアイオワでデサンティスと並んでおり、ニューハンプシャーでクリスティをリードしている。もし、両州で彼女がトランプに次いで2位となれば、彼女はその勢いを出身州であるサウスカロライナ(2月に予備選挙が行われる)に持ち込める。
その時点で、デサンティスとクリスティに対するドナーとメディアの撤退を求める圧力は切迫したものとなろう。ラマスワミの支持層は急速にしぼんでいるので、問題にならない。クリスティの票はほとんどすべて、そしてデサンティスの票の一部はヘイリーに行くであろう。
決定的な瞬間は3月初めのスーパーチューズデーである。スーパーチューズデーでトランプが勝利を決定付けることに失敗すれば、彼は大きく傷付く。その時点で、ヘイリーは彼女ならバイデンに明確な差をもって勝てることを共和党に想起させるだろう。
ヘイリーにはトランプの法廷闘争のカレンダーが味方するであろう。選挙の前にトランプが有罪になっていることは有り得る。スーパーチューズデーの前日の3月4日は議事堂襲撃事件でトランプのワシントンの裁判が始まる日である。
これにすぐに続いて、口止め料の件でニューヨークの裁判が始まる。他の2件の裁判も選挙戦中のどこかで始まる。
トランプの裁判関連の日程は立て込んでおり、大きな集会をやる時間は彼にはほとんどないであろう。資金面での圧力も高まっている。ヘイリーには恩赦と引き換えにトランプが撤退する取引を持ち掛ける余地がある。
バイデンにとってヘイリーが選挙で危険なのは、彼女の可鍛性にある。民主党はトランプを酷く怖れるとともに彼を応援もしたいという不都合な立場に置かれることになる。
* * * 』
『共和党でトランプに代わる選択肢はあるのか、あるとすれば、それは誰なのかが注視されて来たが、ここに来て、それはニッキー・ヘイリーだろうとの観測が広まるに至っている。大口献金者の間でもヘイリーに対する支持が広がりつつあるようであり、11月28日には富豪チャールズ・コークが支持を表明した。
トランプには支持率で大きく水を開けられており、今の段階でヘイリーの勝利が予想されている訳ではない。しかし、共和党討論会における他を圧するパフォーマンスを背景に、彼女の支持率は7月以降漸進的に上昇して来ており、トランプに代わる選択肢を求める向きに彼女には勝つチャンスがあるとの希望を持たせ、彼女に賭けることを促すことになったように見受けられる。
ヘイリーの可能性は最初の党員集会・予備選挙が予定されているアイオワ、ニューハンプシャー、サウスカロライナの成績如何に大きく依存する。ここで好成績を納められれば、勢いに乗ることが出来よう。
かつてはトランプに代わる選択肢かとみられていたデサンティスは、年初以降、支持率が継続的に低下している。すべてをアイオワに賭けて逆転を狙っているようであるが、ここで彼がトランプとヘイリーに後れをとって3位に終わることがあれば、彼の選挙戦は崩壊するとの見方が強い。
ニューハンプシャーではヘイリーはデサンティスを抜き2位につけており、予備選挙でも2位を確保しデサンティスに大きな差をつけるであろう。そうなれば、デサンティスおよび支持率が低迷するクリスティには撤退圧力がかかることになる。
正統な共和党への回帰なるか
ヘイリーは、トランプを完全に敵に回すようなことはしない。彼女は、トランプはその時に適合した大統領だったが、今や新しい世代のリーダーシップの時だといい、「自分は彼の多くの政策に同意するが、良くも悪くも彼には混乱がつきまとう」「再び混乱に身を置くにはこの国は大きく分断され世界はあまりにも多くの脅威に晒されている」と言っている。
機密文書持ち出しの件でトランプに恩赦を考慮するようなことをいったこともある。そこには、彼女の計算があってのことであろう。
いずれにせよ、共和党にトランプ以外の選択肢が見え始めたとすれば、歓迎すべきことである。他のことすべてがどうであれ、彼女はMAGAのカルトとは断絶し、司法省を使って政敵に報復する政治を拒否し、正常な姿の共和党への回帰を指向することだけは確かだと思われ、それだけでも歓迎出来る。
バイデンはトランプには勝てると思っているらしいが、彼女が対抗馬となればバイデンは劣勢を免れないであろう。』