ウ軍には大規模な追加動員が必要、侵攻直後に動員された人々は殆ど残ってない
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-troops-need-additional-mobilization-few-of-those-mobilized-immediately-after-the-invasion-remain/
『ウクライナ国防省情報総局のブダノフ中将は「侵攻直後に軍に加わった人々は『客観的な理由』からほとんど軍に残っておらず、軍の規模を維持するためには動員が必要だ」と訴え、戦争には損失がつきものなので「動員なしでやっていけると考えるのは不可能だ」と付け加えた。
参考:Альтернативы мобилизации нет. Буданов назвал причину
戦争に損失はつきものなので数字を維持する必要があり、ウクライナも大規模な追加動員が必要
ウクライナは憲法によって18歳から27歳までの男子に義務的兵役(徴兵)を課しており、18ヶ月間(専門過程や修士課程で高等教育を受けている者は12ヶ月間)の兵役を終えると予備役軍人の地位を獲得する仕組みで、健康的なウクライナ人男性は60歳になるまで予備役軍人として登録され、ゼレンスキー大統領が発令した厳戒令に基づいて総動員の対象になっている。
出典:Генеральний штаб ЗСУ
ロシア軍の侵攻が始まると多くのウクライナ人男性が召集に応じ、2022年7月に当時のレズニコフ国防相は「動員によってウクライナ軍は70万人、国家親衛隊は9万人、国境警備隊と沿岸警備隊は計6万人、国家警察は10万人になった。今のところ一般人(予備役)の追加動員は必要なく、軍が要求する専門技術を有した人々のみ招集を行っている」と說明していたが、ウクライナ軍は2022年冬から2023年春に争われた「バフムートの戦い」や2023年6月に開始した「反攻作戦」で消耗。
さらに現行法は「厳戒令中の動員者」に関する服務期間を明確に定めておらず、ウクライナ法第26条に定められた「60歳に達した者」「軍事医療委員会が医学的に不適合と判定した者」「裁判所から自由や権利の剥奪を伴う判決を下された者」「近親者を介護する必要性があると認められた者」「妊娠した者」などの特定条件に当てはまる者以外は動員解除が認められていないため、最初の動員に応じた者は「戦争の終結」か「手足を失うなど服務に適さない体になるか」のどちらかでしか復員できない。
出典:hromadske
そのためウクライナ人兵士の親族らは「勝利の責任(負担)は平等であるべきだ」と訴えて「動員から18ヶ月間が経過した人々の動員解除」を要求、ゼレンスキー大統領は「動員に応じた人々の復員(動員解除)」を軍に指示したと報じられていたため、国民にとって「避けらそうもうない数十万人規模の追加動員がいつ行われるのか」が最大の関心事になっている。
ブダノフ中将は13日にメディア主催のパネルディスカッションに出席、この中で「2022年6月までに『ロシア軍との戦いを望んでいる者』や『戦う準備が出来ている者』の全員は軍の召集に応じたか、自発的に軍に加わったのどちらかで、この人々は『客観的な理由』から現在の軍の隊列にほとんど残っていない。これは事実であり、理解し、認識されなければならない問題だ。これだけのニーズを満たすには動員しかない」と語り、必要とされる軍の規模ついては「110万人」と言及した。
出典:Генеральний штаб ЗСУ
この110万人という数字について「機密に触れるため実際の数字ではない」と付け加えているが、これまで自軍の損害を認めてこなかったウクライナ軍関係者が「初期に動員された人々は『客観的な理由』からほぼ軍に残っていない」と言及したのは非常に興味深い。
さらにブダノフ中将は「強制的でも、非強制的でも、何らかのトリックでも、法に則ったものでも、動員をかけなければ戦闘係数は0に近くなり、最近起こっていることも公に認識される必要がある。従って動員なしでやっていけると考えるのは不可能だ。これが現実であり、戦争に損失はつきものなので数字を維持する必要がある」と述べて「大規模な追加動員の必要性」を訴えている。
出典:СВІТ НАВИВОРІТ ブダノフ情報総局長
ブダノフ中将が「ぼかして表現した部分」に「何を当てはめてみるか」は人によって異なるだろうが、個人的に「最近起こっていること」とは「東部戦線での苦しい状況」を示唆し、大規模な追加動員がなければ「1,000kmにも及ぶ戦線を支えきれなくなる」と解釈している。
因みにニューヨーク・タイムズ紙はドニエプル川左岸の作戦に関する記事の中で「ウクライナ当局は国内の士気と海外からの支持を維持するため肯定的なシナリオを維持しようと努め、ウクライナ軍の死傷者数や直面した挫折の詳細を決して明かそうとしない」と指摘しており、もう「ウクライナ軍の損害は軽微でロシア軍は大きな損害を被っている」「ウクライナ軍は優秀でロシア軍を翻弄している」「ウクライナ軍は士気が高くロシア軍は士気が低い」といった肯定的なシナリオは破綻寸前なのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 30 』
『
kame
2023年 12月 18日
返信 引用
『客観的な理由』 不謹慎かも知れませんが、中々面白い表現ですね。頑張ってぼかしたんでしょうが、それなりに現在の戦況について情報収集している人にとっては、やっぱりなぁという感想を抱かせてしまいます。
まあ、前線を維持するためには追加徴兵が必要というのは分かりますが、問題は国民がどんな反応をするかでしょうね。キエフ防衛からの劇的な反転攻勢によって、自分だけは徴兵されずに無傷のまま終戦できると信じていた人達にとって、政府側から反転攻勢は失敗したし、最初に徴兵された人間はあらかた居なくなったので追加で徴兵します。個人的に、同じ立場でこんな事を告げられたら、ウクライナからの逃亡を選択するでしょうね。
そもそも論として、愛国心やら地元への帰属意識が強い人間の多くは最初期の徴兵に手を挙げて参加しているでしょうし、残っている人間は専門的な職業に従事しているのを除けば、極端な話、ノンポリみたいな人達でしょうし、戦場に連れて行っても、それこそ揶揄されているロシア軍の『囮』と同じような使い方しかされないでしょう。
戦場で戦闘拒否するか、徴兵時に抵抗するか。既に起きている事が更に大きく膨れ上がらないように出来るとは思えません。
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歴史と貧困
2023年 12月 18日
返信 引用
>ウクライナからの逃亡を選択
もし、ポーランドの国境封鎖に加わった農民と衝突したら、また別の問題に発展しそうです。
下手すると、国境封鎖側と手を結んで、ゼレンスキー政権へ抗議する集団や地方行政団体(特に西部)も出てくる可能性も考えられます。
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