[FT]「トランプ再選」経済界恐れ 根本問題に対処できず

[FT]「トランプ再選」経済界恐れ 根本問題に対処できず
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB130XT0T11C23A2000000/

『トランプ政権が再び誕生するとなると、どんな事態になるのか――。米経営者も多くの人と同様、この問題を考えざるを得なくなり始めている。

バイデン政権はインフレとパレスチナ自治区ガザでの紛争への対応や大統領自身の年齢などが問題視され、景気後退から新型コロナウイルス禍、ウクライナ戦争まで優れた対応をしていても、世論調査にその実績は反映されていない。世論調査の多くは来年、トランプ前大統領がホワイトハウスに…

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『米市場調査会社カレンシー・リサーチ・アソシエイツが最近発表したリポートでは、今のS&P500種株価指数は一部の基準で見れば2000年代の住宅バブル崩壊時よりも割高な水準にある。

こうした環境下では、たとえFRBが景気後退に直面し、利下げに動き出しても株価が上昇するとは考えにくい。仮に次期トランプ政権が減税策を打っても、株価は下落する可能性の方がはるかに高い。

しかも、それは楽観的シナリオだ。今回の場合、より可能性が高いのは以前にも増して高圧的で内向きで、外国人を嫌悪し、偏執的なトランプ大統領が誕生することだ。

21年1月6日の連邦議会襲撃事件や、前大統領がいまだに20年の大統領選での敗北を認めていないことを考えれば、彼に前回仕えた穏健なビジネス志向の人々の中で、再びトランプ政権に加わりたいと考える人はほとんどいないだろう。』

『米国の財政赤字の拡大が投資家に不安を与えている今、米経済界は放漫財政に走りがちな前大統領にすでに懸念を抱いている。加えて前大統領が2期目就任の際には、輸入品に幅広く10%の関税を課す考えをほのめかしていることも経営者らの不安をかき立てている。

これは、前大統領の1期目就任当初から彼の貿易・経済戦略が抱える最大の問題点の一つだ。つまり、米国が長らく直面している成長の鈍化と格差拡大という複雑かつ大きな問題をたった一つの政策で解決しようとして、中国を非難し輸入品に関税を課そうとする傾向だ。前大統領には成長鈍化や格差という本質的な問題を解決するという深い考えはなさそうだ。』

『実際にはグローバル化と新自由主義的な貿易システムが抱える問題は、米国が直面している多くの経済的・政治的問題の原因の一部にすぎない。米国内で基本的インフラや技能、教育、中核的な研究開発への投資が不足していることも大きい。

バイデン大統領は周知の通り、アイゼンハワー時代(任期は1953〜61年)以来の大規模な財政刺激策を展開し、これらの問題の多くに対処している。バイデン政権は同時に国内外でより持続可能で、経済から取り残される人が出ないような新しい経済モデルを打ち出すという困難だが必要な取り組みを進めている。

それは極めて賢明な産業政策だが、前大統領にはそんな政策を考える発想も、それを実行する能力もないように見える。』

『ラナ・フォルーハー

Rana Foroohar 米国生まれ。米ニューズウィーク、米タイムを経て2017年3月にFTに移る。米IT(情報技術)企業の事業を通じ蓄積した利用者のデータを駆使した事業モデルの在り方に早くから警鐘を鳴らしてきたことで知られる。米外交問題評議会の生涯会員。』