タリバン「中国が大使受け入れ」 初の承認と主張
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM06ES30W3A201C2000000/
『【ニューデリー=岩城聡、北京=田島如生】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン暫定政権は、中国政府が駐中国大使を正式に受け入れたと主張した。2021年8月に武力で政権を掌握して以来、大使を承認したのは中国が最初の国だという。
タリバンのザビウラ・ムジャヒド報道官が6日、日本経済新聞の取材で明らかにした。同氏は「中国は(報道担当だった)ビラル・カリミ氏を大使として承認した。『アフガニスタン・イス…
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『『アフガニスタン・イスラム首長国』の大使を承認した唯一の国だ」と語った。
そのうえで「中国はこの地域で重要かつ強力な国の一つだ。国連安全保障理事会の常任理事国でもある。中国は私たちと交流するための一歩を踏み出した」と述べた。
一方、米国については「我々は良好な関係を望み、最善を尽くそうとしたが米国は望まなかった。いまだにタリバンの資産を凍結し、承認をせず、関係者の渡航を禁止している」と非難した。
中国外務省の汪文斌副報道局長は5日の記者会見で、「アフガンを国際社会から排除すべきではない。アフガンが国際社会の期待に応えて穏健な政策を実行することを望む」と語った。
そのうえで「すべての関係者の懸念への対応が強化されれば、アフガン政府の外交的承認は当然のことになると思われる」と述べ、タリバン政権の承認に前向きな姿勢を示した。中国は9月に駐アフガン大使を派遣している。
タリバンの国際的な孤立は、武力による政権の奪取や女性の権利に対する苛烈な抑圧が招いた結果だ。これまでタリバン政権を政府として承認した国はない。「近隣諸国やアラブ諸国など約20カ国」(ムジャヒド氏)が、暫定政権を未承認のまま外交官を受け入れているのが現状だ。
アフガンではタリバンの政権奪取後、国家予算の大半を占めた国際支援が打ち切られ、経済危機に陥っている。欧米が相次いで対アフガン経済制裁を発動する中、タリバンは中国に接近している。
中国にとっても1兆ドル(約150兆円)の価値があるとされる金や銅、リチウムなどの鉱物資源が眠るアフガンは魅力的で、広域経済圏構想「一帯一路」への取り込みは重要な意味を持つ。すでに隣国パキスタンでインフラ整備を進めており、勢力拡大に意欲を示す。
印シンクタンク「ORF」のカビール・タネジャ氏は「中国は、中央アジアと南アジア一帯に西側諸国を近づけないための安全保障上の役割をアフガンに求めている」と指摘する。
そのうえで「すでにパキスタン、イラン、中央アジアと良好な関係を築いており、アフガンは中国にとってパズルの最後のピースだ」と分析する。
ただ、国連総会第3委員会(人権)では10月、世界78カ国がタリバンに対し「女性や少女に対する世界で最も深刻で組織的な差別、抑圧、暴力を行っている」として、抑圧策を直ちに撤廃するよう求める共同声明を発出した。
中国が今後、タリバンを正式な政権として認めたとしても、各国は承認に慎重な姿勢を崩さない可能性が高い。
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