中国、ロシア、北朝鮮が出産奨励。

中国、ロシア、北朝鮮が出産奨励。
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『結局のところ、自らの失政の皺寄せを、最終的に何処に持っていくかという話なのですが、原因は違うものの、結果として激減した国民人口を、出生率を上げる事で補おうとしています。中国の場合は、言わずもがなの「一人っ子政策」が原因です。このブログで何回も説明しましたので、今更内容については言及しませんが、政府の発表では12億人いる事になっていますが、ある情報漏洩事件という確かなソースから、既に10億人を切っているという話があります。

この一人っ子政策については、当時、かなり厳格に強行した上、罰金を支払えば二人目の出産を許すという制度であった為、この罰金収入を目当てに、適切な時期に停止する事ができず、ズルズルと政策の延長を繰り返し、いよいよ人口ピラミッドが危険になってから、「二人っ子政策、三人っ子政策」と政策を緩めてきたので、既に手遅れという見方も出ています。そもそも、教育費が、昔に比べて格段に必要になったので、両親が育てる事ができないのです。なので、強制されなくても、一人っ子で止めるのが、普通になっていますし、武漢肺炎以降は、子供を作らないと宣言する夫婦もいます。

「この国で子供を育てたくない」という明確な拒否です。自分の意思で子孫を絶つという決意ですね。これは、白衛兵と呼ばれた防護服部隊が、勝手に部屋に押し入って、消毒やペットの処分など傍若無人な行為を繰り返し、抵抗すると信用スコアと言われる個人の共産党に対する忠誠度を評価するスコアを落とすと脅した事から出てきた事です。このスコアを落とされると、子供の大学入試で成績に関わらず、危険思想者の親族という事で、落とされたりします。なので、「子供なんか作らないから、関係ない」と言い放つ夫婦の動画が、当時話題になりました。

ロシアの人口低下の原因は、言わずもがなのウクライナ侵攻です。国外脱出と、徴兵によって、労働人口と言われる部分の人口ピラミッドが、歪な形になっている上、少子化というのは、ロシアでも例外ではなく、出生数は減っています。しかも、ロシアの場合、数百人/日というペースで、死傷者を戦場で出しているので、減る一方で回復しない人口です。既に、減らしてしまった分は、そのままです。そして、老後を国が面倒を見る為の資金にも、戦費を補う為に手を付けています。これも、回復しない資金です。共産主義を掲げる国家として、これは致命的です。そして、先日、プーチン大統領が演説の中で、、女性に8人でも子どもを産むよう求めました。大家族が当たり前にならないといけないそうです。ウクライナ侵攻前のプーチン大統領は、まともな出生率向上奨励策を取っていて、色々なインセンティブを与えていました。しかし、現時点では、家族の責任で大家族の体制を取れという事でしょうね。この手の政策は、どん詰まると命令になるんですよね。

そして、これに北朝鮮が加わります。11年ぶりに開催された「全国母親大会」に、金正恩氏が出席し、演説を行いました。この中で、「子供たちの成長と祖国の富強のために、心身をすべてささげ大きな貢献をしてきた母親たちに最大限の尊敬の気持ちを持って、謹んで挨拶を申し上げます」と、会場に集められた高級幹部の親族の女性を前に、母親の存在を称え、自らも困難な時期には母親のことを思い出すと話しました。その上で、「誰もが困難で大変な時期には、自分を産んで、食べさせ、着させ、第一歩を踏み出せるように育ててくれた母親のことを思います。私も党と国家事業を担当して苦労するたびに母親たちのことを思います」と続けます。さらに、「母親たちが愛国の心で大切に培った家庭が礎となって、国をしっかり支えているため“社会主義大家庭”が強固である」、そして結論として、出生率の低下を防ぐ事を最後に話しました。この演説の中で、金正恩氏がハンカチで涙を拭うという珍しい場面も確認されています。

北朝鮮の失政は、明らかに先軍主義・主体思想という偏った、富の分配です。共産主義という富の分配を第一とする思想を掲げながら、体制が王朝である為、富が偏在し、階級によって人民が厳しく区分けされています。出自が悪ければ、その階級から上には上げれない構造です。そして、どんな理由であっても、落ちる時には、最下層まで落ちます。つまり、「再教育施設」という地獄のような収容所です。全体の僅かな階級ピラミッドの上層しか、生活に余裕がないので、配給や食料生産が滞ると、すぐにジリ貧になり、倫理や道徳が崩れます。

つまり、国の先行きが不安になるほど、出生率が下がっているのは、いずれも独裁者の失政によるものです。それで、国の経済がボロボロの状況で、子供を増やせと言っているわけですが、これはムチャです。家族単位で、生活が崩壊してしまいます。

こういう状況で、想起されるのは、ルーマニアの元独裁者のチャウシェスク氏ですねぇ。まだ、ルーマニアが共産体制の時の独裁者ですが、なんと、国の経済が行き詰まっている時に、労働人口を増やす為に、避妊を禁じて、出産奨励策をとったわけです。当然、育て切れるはずもなく、国内には親に捨てられたストリート・チルドレンで溢れました。それを、片端から孤児院に放り込んだのですが、まともな環境ではなく、収容所と言ったほうが良い施設で、死人も当たり前に出ました。おぞましいのは、こうした孤児は、人身売買の対象になって、金と引き換えで取引されていた事です。彼・彼女らは、「チャウシェスク・チルドレン」と呼ばれ、欧州を中心に「取引」されました。

彼らの中には、養子として迎えられ、まともな生活が送れた子供もいましたが、子供が大好きな特殊性癖の人間の元に売られたり、施設から脱走して、マンホールの中を住処として育ったり、まともとは言えない環境で育った子供も多かったのです。結局、チャウシェスク氏は、ルーマニア革命によって倒れ、銃殺刑にされる事で、この独裁政権は終わりを迎えます。この過程で踏襲された、個人崇拝、常識ハズレの蓄財、権力の横暴、国民の弾圧は、まんま前述の3国にも当てはまるので、このままだと、ルーマニアの歴史を繰り返す事になるかも知れません。』