子ども時代は「将来の準備期」ではない 遊ぶほど地頭良くなる
https://woman.nikkei.com/atcl/feature/23/101600240/112000003/?n_cid=nbpds_top3
『「与えられた情報」で育った子は、遊びを通じて脳を鍛え抜いてきた子に追い抜かれる。「親は大工ではなく庭師として子に関わるべき」
2023.11.27
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幸せの形を限定したり、理想や上昇志向が高過ぎたりすると、何ごともリードする「導き型」の親になりがちです。それは失敗も無駄もない成功への近道かもしれませんが、一方で、「子どもらしさ」をつぶしてしまったり、「子ども時代」を奪うことにはならないでしょうか。そこで、本特集では、子どもらしさ、子ども時代がなぜ大切なのかを改めて考えると共に、「導き型」親が軌道修正するためのヒント、発達途上にあるわが子の「子どもらしさ」とどのように向き合っていくべきか、中学受験と「子どもらしさ」のバランスの取り方などを識者に聞いていきます。
「導き型親」は要注意! 「子ども時代」を奪う子育ての末路は?
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「導き型親」は注意 大事なのは子どもが「SOSを出せる」子育て
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子育ては、子どもとの暮らしを「ただ楽しむ」だけでいい
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子ども時代は「将来の準備期」ではない 遊ぶほど地頭良くなる←今回はココ
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中学受験と「子ども時代を守る」を両立できる家庭 5つの特徴
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毒親に子ども時代をつぶされ、今親になって
しつけ・教育と「その子らしさ」を守ることを両立させるには
「子どもらしさ」「子ども時代」の大切さについて考える中で気になるのが、しつけや教育とのバランスです。幼児期・学童期は社会の規律やルール、さらには必要な知識を学ぶ時期で、小学校受験や中学受験を経験する子も少なくありません。これらは一見「子どもらしさ」とは逆のベクトルにあるようにも感じます。
これに対し「幼少期に大事なのは『子どもらしさ』よりむしろ『その子らしさ』で、これは本来『しつけ』などでも大事にされるべきことです」と話すのは、子どもの心の発達に詳しい東京大学大学院教育学研究科教授の遠藤利彦さんです。
遠藤さんによると、心理学でしつけには2つの側面があるといわれており、1つが社会の価値に沿う子にするように導く「社会化」。もう1つがその子らしさを伸ばす「個性化」なのだそう。その子らしさを伸ばす「個性化」がしつけに含まれることを意外に思う人も多いかもしれません。
「『しつけ』の語源の1つが『しつけ糸』だといわれています。着物が完成したら、しつけ糸をとっても着物の形は崩れませんよね。同様に人も親のサポートの手が離れても、個性がしっかり浮かび上がる形でその人らしく自立できることが大事で、それこそが『しつけ』の役割なのです。
けれども実際の子育てでは『社会化』ばかりが重視され、『個性化』が軽視されることが多いです。その子らしさが十分育まれない場合、本来伸びるはずの子どもの力が伸びなかったり、場合によっては発達にダメージを与えてしまったりすることもあります」
さらに遠藤さんは、子どもが目の前の「子ども時代」をしっかり生き、その時々に必要な経験をすることも大事だと話します。
「目の前の時間をすべて、習い事や受験など『将来の準備』に充ててしまい、幼児期、児童期に必要な経験を損なってしまっている子も見かけます。こうした場合、生きていく上で必要となる力が育まれないだけなく、将来の学力にも影響を与えることになってしまいます」
親は子ども時代に行うべき「しつけ」や「教育」の中で、「その子らしさ」「子ども時代をしっかり生きること」とのバランスをどのように考えていけばよいのでしょう。詳しく聞いていきます。
●こんなシチュエーションや親の思い、悩みに対して遠藤さんが明瞭回答!
・小学校受験のために子どもをお受験塾に通わせている。子どもも大変そうだが、「今だけ我慢すれば、その後が安泰。それが子どものためでもある」と考え、心を鬼にして無理やり子どもを引っ張っている。
・わが子が毎日公園で遊んでいる間に、学習塾や算数塾で難しい勉強をしている同級生もいて焦る。彼らに追いつけるように頑張らせるべきか?
・子どもの遊びの時間は大切にしたいとは思うが、ユーチューバーの動画を見るのは意味のない時間に思え、遊びと認めるのに抵抗がある。
・中学受験することは子ども自身の意志だが、「どうせやるなら、もっと頑張って上を目指してほしい」と親が思うのに対し、子どもは「今でも十分頑張っている。無理をしてまで上を目指さなくていい」と考えており、親子で目標設定に乖離(かいり)がある。
次ページから読める内容
「社会化」と「個性化」のバランスをどう取ればいい?
幼少期の時間を、この先の準備に充てるべきではない
結果を求める関わりは子どものためにならない
中学受験する家庭が気をつけるべきこと
親が手にしている「設計図」は役に立たない
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