ウクライナの政治的分裂は反攻失敗が原因、ロシアに付け込まれる可能性
https://grandfleet.info/european-region/ukraines-political-division-is-caused-by-a-failed-counteroffensive-and-russia-may-take-advantage-of-it/
『The Economist紙は「計画通りにいかなかった反攻作戦の予想できた結果が政治家と軍部の対立を招き、政治家は将軍達がソ連で訓練された愚か者だと、将軍は政治家こそが作戦を邪魔する愚か者だと非難している」と報じ、この分裂状態をロシアは利用するだろうと警告した。
参考:Russia is poised to take advantage of political splits in Ukraine
もし支持率が回復しないまま選挙実施を見送ればロシアはこの状況を大々的に利用するだろう
The Economist紙は28日「ロシアはウクライナの政治的分裂を利用するつもりだ。キーウに政治闘争が戻ってきたが戦争も戦闘もどこにも行ってない」と報じ、政治的指導部と軍部の対立原因は「計画通りにいかなかった反攻作戦の予想できた結果」で、反攻作戦の失敗の責任が誰にあるのかについて責任のなすり合いが始まっているらしい。
出典:Об’?днаний пресцентр Сил оборони тавр?йського напрямку
“2022年2月にロシア軍が侵攻を開始するとウクライナの政治闘争は停止されたが「滅亡の危機」が遠ざかると再び戻ってきた。
野党のヤロスラフ・ジェレズニャク議員は「基本的な安全保障問題については依然として大筋の合意がある」と語ったが、ゼレンスキー大統領が率いる与党の有力議員は「様々な揉め事で国が不安定になっている」と述べており、この揉め事はあらゆる場面で発生している。そしてゼレンスキー大統領が意思決定を一元化し、反対意見の封じ込めようとする試みは逆効果をもたらしている”
“最も懸念されているのは政治の世界の溝ではなく政治的指導部と軍部の間に出来た溝で、ゼレンスキー大統領とザルジニー総司令官との関係は最悪だと言われている。最初に意見の相違が報じられたのは昨年の夏だったが、Economist紙とのインタビューで「戦争が膠着状態に陥っている」と断言したため両者の対立が表面化してしまった。ゼレンスキー大統領は記事の内容について将軍を公に叱責し、海外メディアとのインタビューで「ウクライナ軍上層部は政治に干渉せず戦争に専念すべきだ」と警告した”
出典:ArmyInform/CC BY 4.0
“ある政府高官は政治的指導部と軍部の対立について「計画通りにいかなかった反攻作戦の予想できた結果が原因だ。ザルジニー総司令官が大統領の楽観的な公式立場と矛盾する発言を行ったのは賢明ではなかったかもしれない。しかし彼の冷静な結論にとやかく言う政府関係者はほとんどいない」と述べた。
既に内部では「反攻作戦の失敗の責任が誰にあるのか」について責任のなすり合いが始まっており、政治家達は「作戦を指揮した将軍達がソ連で訓練された愚か者だ」と、将軍達は「政治家こそが作戦を邪魔する愚か者だ」と主張している。勝利には多くの立役者が登場するが、誰も膠着状態の立役者になりたくないのだ”
“もう一つの要因は侵攻初期の南部防衛に関する責任問題だ。裏切り者がクリミアとヘルソンの間にかかる橋を破壊せず、ウクライナ軍側の準備も不十分だっため、ほとんど抵抗を受けることなくロシア軍はヘルソンやザポリージャに進軍することができた。
ザルジニー総司令官は責任問題の証人として名前が挙がっているが状況次第では「より深刻な立場」に追いやられる可能性がある。
将軍の支持者達は「刑事責任を問われる可能性は彼を牽制するためのものだ」と、参謀本部関係者は「メディアへの露出は刑事責任追求に対する保険とみなされる可能性がある」と示唆している”
出典:PRESIDENT OF UKRAINE
“ザルジニー総司令官は政治的野心を1度も口にしたことがなく、政界に対する彼の手際も巧みではないが、だからと言って将軍がゼレンスキー大統領の脅威にならないとは限らない。
かつて国を守るリーダーとして脚光を浴びたゼレンスキー大統領も、現在は政府内の汚職スキャンダルや国の方向性に対する懸念によって汚名を着せられている。
11月に発表された大統領への信頼度は32%まで落ち込み、多くの国民から尊敬を集めるザルジニー総司令官(70%)の半分以下で、国防省情報総局のブダノフ中将(45%)でさ大統領より高い評価を受けている”
“この傾向は選挙を実施するとザルジニー総司令官に敗北する可能性を示唆しているが、今のところ10人中8人が来年3月に予定されていた選挙の実施に反対しており、大統領も厳戒令を理由に選挙の実施を拒否している。
ただ支持率が下降線を辿っているため周囲から選挙を実施するよう説得されるかもしれない。もし支持率が回復しないまま選挙実施を見送ればロシアはこの状況を大々的に利用するだろう”
出典:U_G_M
“ウクライナの情報筋によればロシアは既に選挙区向けの工作、西側諸国の信頼を損なうための工作、ウクライナ国内の不満を煽るための工作を開始しており、これとは別にウクライナ兵士向けの偽情報キャンペーンも存在する。
ロシアは「様々なレベルの指揮官が部下に降伏を進めている」というディープフェイク動画をばら撒いており、情報筋は「ロシアは戦場で上手く行っていないにも関わらず、この分野では本当に大きな成功を収めている」と述べた”
“前線でロシアは比較的良好な戦況を享受している。ロシアは貧困層や刑務所からの徴兵によって必要な人員を満たしているが、対照的にウクライナは一般市民からの動員で苦労している。ウクライナ軍は前線での損失をぎりぎりカバーできるレベルで兵士を集めているが、現在は「侵攻直後の熱狂」が消えて「何のために戦うのか理解していない者」がほとんどで、必要な人数を集めるのが難しくなっている”
出典:Генеральний штаб ЗСУ
“戦争の方向性に対する内外の懸念は前線の兵士達にも届き始めているが、今のところは兵士の意欲や士気に大きな変化は見られない。
ある指揮官は「ゼレンスキーとザルジニーが喧嘩しようがしまいが前線で戦う人間には関係ない。ロシアは我々に生か死かというシンプルな問いを投げかけてくる。キーウやワシントンで何が起ころうとも我々は戦い続ける」と述べた”
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※アイキャッチ画像の出典:PRESIDENT OF UKRAINE
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 37 』
『 ヤギ
2023年 11月 29日
返信 引用
完全に根拠のない意見を述べますが、こういう内部対立が表立って報じられてるうちは何も起こらないと思います。
外部から見て対立しているなら、まだ話し合い(罵り合い?)で論戦で済んでいると思っています。内部対立がほとんど報じられなくなった時点で和解できていないなら片方がもう片方を消すための準備段階に入って、ある日突然…となるのかなと。
ロシア国内でも反戦表明した企業幹部や著名人、PMC創設者などなどちょっと話題にならなくなったあたりで不思議な事故にあっているので、ウクライナも同じことが起きそうだと思っています。
10
m
2023年 11月 30日
返信 引用
ちょうど、ブダノフの嫁のほか
複数の軍幹部が食事中に
水銀やヒ素を飲まされる事故が起きています
仮にロシアの仕業なら、
もっと強力な毒を使うし
色々と憶測を呼ぶ事件ですね
26 』
『 名無し
2023年 11月 30日
返信 引用
まだジェーピングオペレーションで
抜けるところを探ってるだけです、
始まったら一気に進みますと
自信満々で語ってた防衛省OBも
静かになってしまいましたね
コロナといい、軍事といい
専門家風の山師が多い
14
Easy
2023年 11月 30日
返信 引用
あれも奇妙な話で。
「抜けるところを探す」ってのは衛星偵察とかそのあたりのレベルの情報収集の段階の話で。
現実の前線部隊の装備と兵員を損耗しながらやるもんじゃないですよ。結果、偵察と言いつつ手持ちの反攻部隊の半分をすり減らしてたのは全く意味不明でしたね。ほとんど敗退行為ですよあれは。
6
クル
2023年 11月 30日
返信 引用
ウクライナの面積を日本の広めの県ぐらいだと思ってる人が多いらしいんでそういう人からしたら納得出来る説明だったんじゃないすかね
その尺度なら戦線は長くて数十kmだし防衛線抜いて数km進軍すればすぐ海だし、露軍は背水の薄い地域を制圧してるに過ぎませんから
3
たむごん
2023年 11月 30日
返信 引用
その自衛隊元将校ですが、古い上司像そのものですよね(自分も番組で見た記憶があります)。
誉めずに、徹底的に片側に立って、偏った発信を続けているなあと。
精強なウクライナ軍の反撃を止めて大損害となれば、ロシア軍は防衛線構築・将校・兵卒・武器種や量・戦術が優秀な可能性があり侮るのは危険。
贔屓目に見ても、普通は考え方を改めるはずですが、プロパガンダなのか資質なのか…
戦車年産10両程度の国の元自衛隊将校が(実戦経験不明)、戦車オペレーションについて語っているなあ、反攻作戦開始時の番組を今見直したらそんな感想ですかね… 』
『 Makumaku
2023年 11月 30日
返信 引用
いまのウクライナの内部状況は、第三世界ではわりとありふれた憧憬。
EUは様子見しているようだし、バイデン政権のウクライナ支援はふるわない。
ウクライナの内部対立が増せば、ゼ大統領が排除される可能性も出てきそうだ。
7 』
『 TKT
2023年 11月 30日
返信 引用
まあそれで、ゼレンスキ―大統領と対立するザルジニ司令官を罷免したところで、代わりになるのがいるのか、代わりの司令官はゼレンスキー大統領に何も文句を言わないイエスマンにするのか、イエスマンにしたところで前線の戦況が好転するのか、ということです。
シルスキー司令官はバフムト奪回を豪語していましたが、シルスキー司令官が指揮を執っているからと言って、ウクライナ軍が有利になっているわけでもなく、またブダノフ准将が破壊工作作戦を指揮しているからと言って前線のウクライナ軍が有利になっているわけでもありません。
戦争は軍人だけで行う物ではありませんが、かといって政治家だけで行う物でもありません。シビリアンコントロール、文民統制とは、政治家が軍人に一方的に命令するということでは決してありません。近代的な文民統制の根拠となるのは民主主義、選挙ですが、それをできないとなれば文民統制の根拠も危うくなります。悪名高い日本の東條英機でも、サイパン島失陥の責任を取って辞任したわけです。ボリス・ジョンソンも、ジム・ウォレスもすでに辞任しました。ゼレンスキ―は大統領だから何を言ってもやっても許されるとか、誰の意見も聞かなくてもいい、ということではありません。
朝鮮戦争ではマッカーサーが解任され、ベトナム戦争ではジョンソン大統領が作戦失敗の責任をとって次の選挙に出ませんといいました。』