欧州理事会のミシェル議長、ウクライナ軍の反攻作戦が失敗したと思ってない
https://grandfleet.info/european-region/european-council-president-michel-says-the-ukrainian-militarys-counteroffensive-operation-has-not-failed/
『欧州理事会のミシェル議長はKyiv Independent紙のインタビューの中で「ウクライナ軍の反攻作戦が失敗したとは思っていない」「ロシアは中東の状況を利用して西側に二重基準が存在すると広めているが事実ではない」と主張した。
参考:Charles Michel: ‘I don’t think this counteroffensive has failed’
参考:Зеленський застеріг українських генералів від політиканства
参考:Генерали мають «пам’ятати про ієрархію» і ліквідація Путіна. Найяскравіші цитати Зеленського з гострого інтерв’ю британському таблоїду The Sun
黒海での成功とドニエプル川左岸への上陸は反攻作戦が失敗していない理由になってない
欧州理事会のミシェル議長はKyiv Independent紙のインタビューの中で「ウクライナ軍の反攻作戦が失敗したとは思っていない」「ロシアは中東の状況を利用して西側に二重基準が存在すると広めているが事実ではない」と主張、このインタビュー記事に掲載されたKyiv Independent紙の質問とミシェル議長の回答を主要部分のみを要約すると以下のようになる。
出典:PRESIDENT OF UKRAINE
12月にウクライナのEU加盟交渉を開始するのを阻害している主な原因は何なのか?
正式なEU加盟交渉を開始するためには欧州理事会が全会一致で承認しなければならない。私はウクライナ当局が加盟に必要な改革を行った努力を加盟国が認めてくれることを心から望んでいる。
ウクライナの加盟に反対しているハンガリーをどの様に説得するのか? 凍結された130億ユーロの資金を解放するのか?
ハンガリーの態度は欧州委員会との関係(法の支配に対する懸念からハンガリー向けの130億ユーロを欧州委員会が凍結してる問題)に起因しているという指摘がある。
しかし最も重要なことはEUが地政学的な問題について行動することだ。どうして欧州大陸が危機に瀕しているのか、何が問題なのかを理解する必要があり、ロシアのウクライナ侵攻は欧州や世界の安全保障体制に対する戦争でもある。だからこそ27ヶ国の加盟国が正しい選択を行なうことが重要だ。
出典:U.S. Army photo by Sgt. Victor Everhart, Jr.
EUは砲弾100万発の提供すると約束したが、期日までに約束が守られないのは明らかだ。これはEUが戦争に適応できていないことを意味するのか?
我々はウクライナ支援のために総額820億ユーロ以上の資金援助を決定し、さらに500億ユーロの追加パッケージも準備中だ。しかし弾薬に関して「スピードアップが必要だ」というのは全くもって正しく、我々は生産を加速させなければならない。ウクライナに砲弾30万発しか届いていないという数字は10月末のもので、もっと多くの砲弾が期日内に届けられるよう懸命に取り組んでいる。
戦争終結が見通せないなら2024年に選挙を行なうべきだろうか?
この議論はウクライナ人のためのものだが選挙活動を行なうのが困難だというもの事実で、これらの要素を加味して最終的な決断を下すのはウクライナ当局の責任だ。
出典:PRESIDENT OF UKRAINE
ゼレンスキー政権は選挙なしでも同様の信頼を得られるだろうか?
とても勇気がある人物なのでゼレンスキー氏は欧州で高い信頼を得ていると言えるだろう。またウクライナ国民についても国益を守るため積極的で勇敢だというイメージもある。
武器の生産スピードと引き渡しが遅く、経済的にロシアを窒息死させることができなかったため、ウクライナの反攻作戦が目的を達成できなかったと思うか?
そもそも私は反攻作戦が失敗したとは思っていない。2つの重要な動きを例にあげると、1つ目はウクライナ軍が黒海で如何に大きな前進を遂げたかで、これは正しい方向への大きな一歩だ。
2つ目はドニエプル川左岸での進展で非常に重要な動きだ。ただウクライナはもっと多くの軍事支援を必要としており、我々は3万人以上の兵士を訓練している最中で今後も訓練を継続する。EU域内の生産についても支援には生産のスピードアップや生産能力の強化が不可欠であると認識している。
出典:管理人作成(クリックで拡大可能)
米国の選挙はEUやウクライナ支援に直接的な影響を及ぼすだろうか?
我々にとって米国は非常に重要なパートナーであり同盟国だが、我々には我々の運命があり、この運命を決定づける決断を独自に下せることを証明する必要がある。勿論、将来も米国からの全面的な支援を期待しているし、欧州の安全保障に対するバイデン政権の緊密な協力、ウクライナに対する共通のアプローチには大変感謝しているが、EU、ウクライナ、将来の加盟候補国にとって確かなことは、もっと弾力的で、もっと大きな影響力を持つため「欧州がより多くの能力を備えなければならない」と点だろう。
EUはトランプ前大統領の勝利に備えているのか?
我々は米国と共にウクライナ支援を強化する決意だ。バイデン大統領と会談した際も「米国の議会や国民がEUからの支援を実感できることが重要である」という原則で合意した。
米国でもEUでも選挙があるのは事実で、我々にとって欧米の市民に事態の深刻さを理解してもらうことが最大の義務と言える。ウクライナへの支援は「平和と安全のための戦略的投資である」と理解して貰わなければならず、我々が支援を行い世界秩序を確実に守り抜くことができれば世界より平和になるはずだ。
出典:15th BRICS SUMMIT
EUと米国はウクライナ支援においてグローバル・サウスの説得に失敗したと思うか?
ロシアは攻撃的なシナリオ(ウクライナ侵攻のこと)の開始時、いつものように「先に挑発したのはNATOの方で対応する以外に選択肢がなかった」と説明してグローバル・サウスの説得を試みたが、我々は「ロシアこそが世界中で問題を起こしている」と説明してグローバル・サウスの大部分を納得させることに成功したと思う。
実際、ロシアの行動は安全保障、食料、経済、インフレなど多く面で問題を引き起こしている。さらにロシアは中東の状況を利用して「西側には二重基準が存在する」と広めているが事実ではない。我々はいつでもどこでも国際法を遵守する。
以上がKyiv Independent紙のインタビューに応じたミシェル議長の発言(主要部分だけ)で、質問自体の範囲や概念がふんわりした感じなので回答もふんわりした感じになっているのが残念なところだ。
出典:Telegram経由
特に「反攻作戦が失敗したとは思っていない」という部分は流石にどうなのかと思ってしまう。
ロシアとの戦争におけるウクライナの究極的な目標は「勝利」だが、Kyiv Independent紙は「反攻作戦が達成すべき戦略目的が何なのか」を明確に定義しないまま「目的を達成できなかったと思うか?」と質問しているため、ミシェル議長も「黒海での成功」と「ドニエプル川左岸への上陸」を挙げており、これは反攻作戦が失敗していない說明ではなく「ウクライナも戦果をあげている」と述べているに過ぎない。
出典:Генеральний штаб ЗСУ
一般的に反攻作戦の目標は「陸上輸送」と「クリミア大橋経由の輸送」を遮断してヘルソン州左岸、ザポリージャ州、クリミアを陸の孤島化にすることだと言われており、シンプルに言えば「ロシア軍にヘルソン右岸の占領地域放棄を強制した状況」の再現で、反攻作戦の攻撃軸が「ザポリージャ州オレホボ」と「南ドネツクのヴェリカ・ノボシルカ」だったことを考えると「反攻作戦の目標が南部と東部の分断」でほぼ間違いないだろう。
ミシェル議長が挙げた「黒海での成功」と「ドニエプル川左岸への上陸」は攻撃軸の前進が伴っていないため、この2点を挙げて「反攻作戦が失敗したとは思っていない」と主張すればするほど「攻撃軸の攻勢が上手くいっていない」と際立つため本当に皮肉な話だ。
出典:Генеральний штаб ЗСУ
因みにゼレンスキー大統領は「夏の反攻作戦で大きな進展がなく、パートナーからも『ウクライナ軍がロシア軍を押し出すことができる』という信頼が揺らいでいる」と認めたが「我々が士気の面で行き詰まることはない」と主張した。
関連記事:チェコ大統領、反攻作戦は期待外れで支援国も戦争疲れを感じている
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※アイキャッチ画像の出典:PRESIDENT OF UKRAINE
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 68 』