イスラエル、外国人不足で農業・建設苦境 タイ人ら帰国

イスラエル、外国人不足で農業・建設苦境 タイ人ら帰国
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『【イスタンブール=木寺もも子】イスラエルで外国人やパレスチナ人労働者に頼ってきた農業や建設業が苦境に陥っている。イスラム組織ハマスとの戦闘を受け、1万人以上のアジア系労働者が帰国し、パレスチナ人の越境労働も停止したからだ。イスラエル政府は人手不足を補うため、新たにインドやスリランカからの人材獲得に乗り出した。

「あす、オレンジの収穫を手伝ってくれる人が2人必要です」「今週末に作業できます。自家用…

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『「今週末に作業できます。自家用車がないので泊まり込み希望です」。10月中旬にできたインターネット上の掲示板には、こうしたヘブライ語の投稿が1日に数百件も並ぶ。農業などのボランティアの募集が多い。

「イスラエルの台所を救おう」という合言葉で広がるボランティア運動の背景には、農作業の主力だった外国人約1万人が一斉に避難・帰国してしまったことがある。

外国人労働者を支援する非政府組織(NGO)カブラオブドなどによると、農業には約3万人のタイ人労働者や、研修を名目としたアジア、アフリカ出身者が従事していた。人口900万人のイスラエルでは主要な労働力となっている。

タイはイスラエルとの間で農業人材の送り出し協定を結んでいて、ハマスによる10月7日の襲撃では少なくともタイ人34人が犠牲となった。人質も確認されただけで25人に上り、イスラエルとの二重国籍者を除き最大の被害国となった。

イスラエルではネパール人も多く働く。ネパールの地元メディアなどによると、介護士として働いているほか、265人のネパール人学生がイスラエル政府による「Learn & Earn(学んで稼ぐ)プログラム」に参加し、農業関係企業などで働いているという。ハマスの襲撃ではネパール人も少なくとも10人の死亡が確認されている。

農地はガザとの境界のほか、親イランのシーア派組織ヒズボラとの衝突が続く北部のレバノン国境付近に多い。情勢悪化で外国人労働者の退避も広がっている。タイ政府はイスラエルからの退避を希望する人のために35回にわたって退避用の航空便を飛ばした。

一方、建築業は主にパレスチナ人に支えられていた。AP通信によると、イスラエル政府はハマスの襲撃後、約1万8000人のガザ住民に対して発行していた労働許可を取り消した。一部の労働者は拘束したうえ、11月上旬に数千人をガザに送還した。

パレスチナ自治政府によると、イスラエルで働くパレスチナ人の労働者は非合法な形を含め建設業界だけで10万人、全体で19万人に上る。イスラエルは現時点でヨルダン川西岸に居住する労働者の労働許可は取り消していないが、襲撃以降、イスラエルへの入境を止めている。

カブラオブドの担当者は「イスラエル、パレスチナ双方の経済にとって深刻な事態だ」と懸念する。

労働力の穴を埋めるべく、イスラエル政府は11月上旬、スリランカから農業人材1万人を早期に迎えることで同国政府と合意した。米ボイス・オブ・アメリカによると、イスラエルの建設業界はインド人労働者5万〜10万人の派遣を交渉しているという。

インドの9労働組合は9日、パレスチナへの連帯を理由に労働者の送り出しに反対する共同声明を発表した。安全への懸念から労働者の忌避も想定される。イスラエルとハマスの対立が鎮静化しない限り、新規の外国人労働者確保には困難がつきまとう。

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