中国との関係凍結、メルコスルは脱退へ-ミレイ氏、外交政策も急進的
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-17/RZI8S2DWLU6801
『2023年8月17日 11:46 JST
アルゼンチン大統領選有力候補のミレイ氏、外交政策の青写真を示す
誰が米大統領になってもアルゼンチンの重要な戦略的パートナー
中国との関係を凍結し、南部共同市場(メルコスル)からは脱退する-。13日に行われたアルゼンチン大統領選挙の予備選で予想外の勝利を収めたハビエル・ミレイ氏は16日、10月の本選で当選した場合の外交政策の方針をブルームバーグ・ニュースとのインタビューで明らかにした。経済政策と同様に急進的な内容だ。
ミレイ氏はインタビューで、外交政策に対する見解をこれまでで最も詳細に提示した。
「中国では人々の自由がなく、彼らは望むことができない。それをやろうとすれば殺される」と同氏は指摘。「暗殺者と取引するだろうか?」と述べた。
大統領選の先頭ランナーに躍り出たミレイ氏の勝利はアルゼンチンの政治的エスタブリッシュメント(既存勢力)に衝撃を与えた。本選でも勝利すれば、左派系指導者が多数を占める地域にも衝撃波が走ることになるとみられる。
「社会主義者」とのビジネスを全面的に拒否する同氏は、共産主義の中国を最大の貿易パートナーで左派のルラ大統領が率いるブラジルと同列視する。
中国はアルゼンチンの2番目に大きい輸出市場であり、国際通貨基金(IMF)への支払いに使われる、アルゼンチンにとって極めて重要な180億ドル(約2兆6300億円)相当の通貨スワップ協定を結んでいる。
ミレイ氏は自身の外交政策を世界的な「社会主義者・国家主義者に対する闘い」と表現。経済顧問でスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のアルゼンチン部門ディレクターを務めたディアナ・モンディーノ氏を外交トップに起用する考えを表明した。
ブラジル外務省は今のところミレイ氏の発言に対してコメントしていない。在ブエノスアイレスの中国大使館に電話をかけたが、応答はなかった。
ミレイ氏はその後、中国や他の国との貿易関係を維持するかどうかは民間セクターの判断次第だとの考えを明確にした。「私が関与する必要はない。しかし、自由を尊重しない相手との関係を推進しようとは思わない」と説明した。ただ、パタゴニア地方でのダムや原発の建設などアルゼンチンで中国企業が既に署名した取引については尊重すると付け加えた。
米国重視路線
地政学的にミレイ氏のイデオロギーから最も大きな恩恵を受けるのは明らかに米国だろう。保守的な傾向があるミレイ氏だが、2024年の米大統領選で誰が選ばれようとも政治的立場に関係なく協調していく意向をはっきりと打ち出している。
米大統領選を巡っては、現時点でトランプ前大統領が共和党の候補指名獲得レースでリードしている。トランプ氏とよく比較されることについてミレイ氏は特に強い関心を払っているわけではない。トランプ氏の政権復帰を望むかと問われると、ミレイ氏は慎重に「それは米国民が決めることだ」と答えた。
「自分の志向には共和党の方が民主党よりも合致するかもしれないが、米国をわれわれの大きな戦略的パートナーと考えないことを意味するものではない」と述べた。
その一方で、域内の主要国を率いる左派のルラ大統領やメキシコのロペスオブラド-ル大統領、チリのボリッチ大統領、コロンビアのペトロ大統領には警戒感を示す。ベネズエラのマドゥロ大統領を「独裁者」と呼び、ニカラグア、キューバ、北朝鮮、ロシアの各国政府に対しても同様に批判的だ。
ミレイ氏はアルゼンチンがブラジルやパラグアイ、ウルグアイと約30年前に設立した通商同盟メルコスルの価値を評価していない。メルコスルは4年前に合意した欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)の履行が内部の意見対立で停滞している。
「メルコスルは質の低い関税同盟で、貿易上のゆがみを生み、メンバーに打撃を与えている」との見方を示した。
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原題:Milei’s Foreign Policy: Reject ‘Assassin’ China, Leave Mercosur(抜粋)』