世論に押され戦闘休止に転換 ハマスとの合意に代償も―イスラエル
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023112201197&g=int
『【エルサレム時事】イスラエルとイスラム組織ハマスが、人質の一部解放と戦闘休止で合意した。イスラエルのネタニヤフ政権は「ハマス壊滅」を掲げ、パレスチナ自治区ガザに激しい攻撃を続けてきたが、人質の早期解放を求める国内世論に押される形で方針転換。戦闘休止はハマスに態勢立て直しの猶予を与えることになりかねず、専門家からは合意が「ハマスにとっての一時的な勝利を意味する」との声も上がる。
合意の背景に首脳外交 米、カタールなどの仲介奏功―ガザ戦闘休止
衝突が始まって約1カ月半。イスラエルはガザ北部への地上侵攻を進め、ガラント国防相は「(ハマスが)ガザでの支配を失った」と語っていた。このタイミングでの合意について、イスラエル軍情報機関に長年勤めたバルイラン大のモルデハイ・ケダル上級講師は「ハマスにはイスラエルの軍事的圧力が、イスラエルには救出を求める人質家族らの圧力がかかった」と説明する。
戦闘が長期化する中、人質家族らの間で政府に対する不満や不信が募り、国民にも人質家族への同情が拡大。イスラエル紙ハーレツによると、軍上層部はかねて軍事的圧力がハマスから譲歩を引き出す唯一の方法だと主張していたが、支持率急落に直面したネタニヤフ首相としては、強硬姿勢を軟化させざるを得なかったとみられる。
イスラエルの後ろ盾である米国などは、ガザの人道状況改善に加えて人質の早期解放を求めてきた。エジプトの外交アナリストのナビル・ナジムアルディン氏は「人質の居場所の把握や奪還に失敗したイスラエルは、国内や西側諸国からの圧力を抑えるために、ハマスと合意するしかなかった」と指摘した。
イスラエル軍はガザ南部への地上侵攻の方針を示している。南部にいるとされる人質を解放させ、戦闘準備を進める意図もうかがえる。
一方で、今回の合意がイスラエルにとって代償を伴うとの見方も出ている。ナジムアルディン氏は、ハマスが「勝利」をアピールして、アラブ世界での支持拡大を図ると予想する。また、戦闘休止期間を利用して、負傷した戦闘員を搬送したり陣形を整えたりする時間を確保したかったとも推察。イスラエルに妥協を迫るため、引き続き人質を交渉材料にするだろうと見込んでいる。 』