チェコ大統領、反攻作戦は期待外れで支援国も戦争疲れを感じている
https://grandfleet.info/european-region/czech-presidents-counter-offensive-strategy-is-disappointing-and-supporting-countries-are-feeling-war-fatigue/
『チェコのパベル大統領は「ウクライナ軍は戦場での優位性を示しておらず、来年には(ロシアとの)交渉が始まるかもしれない」と語り、21日の会議でも「反攻作戦の結果は期待していたようなものではなかった。当事国だけでなく全ての支援国も戦争に対する疲労を感じている」と述べた。
参考:Konflikt na Blízkém východě má podle Pavla potenciál stát se globální záležitostí
とにかく欧米からの資金供給が確定しないと将来の話が始まらない
チェコ軍参謀総長やNATO軍事委員長などを務め、2023年の選挙で大統領に当選したペトル・パベル氏は3月「数ヶ月以内にウクライナ軍の反攻が必ず行われるが、これが失敗すれば次回の反攻に必要な資金や物資を得ることは困難になる」と指摘していたが、反攻作戦が行き詰まりを見せた11月上旬「戦場での結果はウクライナ軍の優位性を示しておらず、来年には(ロシアとの)交渉が始まるかもしれない」と語り注目を集めた。
出典:Prague Castle
パベル大統領は「敵が意図的に戦いを長引かせようとしているのは明白で、プーチンは武器支援の意欲を揺るがしかねない米大統領選の結果を待っているのかもしれない。どちらにしても戦いの長期化は動員能力の差でロシア有利に働き、時間をかけることで不足している物資を補充することもできる。現在の状況が良くないことは明白だが、我々にとってもウクライナ支援を継続する以外に選択肢がない。西側諸国はウクライナ自身が次の行動を決めるまでそうしなければならい」とも指摘したが、21日の会議でも「反攻作戦の結果は期待していたようなものではなかった」と述べている。
パベル大統領はプラハで開催されたチェコ軍司令部会議の冒頭で「反攻作戦はウクライナ自身が期待していたように進んでいない。作戦に必要な武器供給は滞っていてウクライナが成功するレベルに達していない。反攻作戦で疲弊しているウクライナ軍兵士も西側諸国の支援にますます幻滅し、自分達が切り捨てられるのではないかと感じている」と言及。
出典:Минобороны России
さらに「現状は困難な冬を乗り切り、戦いから教訓を学び、軍事生産を倍増させ、戦時生産計画を強化し、西側諸国がウクライナに供給するのと同等か、それ以上の装備・弾薬を供給できる相手(ロシア)に成功を収めるのに良いスタートラインではない。当事国だけでなく全ての支援国(恐らく欧州のこと)も戦争に対する疲労を感じており、これは交渉による戦争終結への圧力増大に繋がるだろう。もし交渉が実現するなら当然のことながら戦争終結の形は戦場の状況に基づいたものになる」と述べ、このまま出口のない状況が続けば「交渉による戦争終結=現状の前線位置での停戦」が現実のものになると示唆した。
管理人が把握している事実や情報に基づいてウクライナの状況を整理すると以下の通りになる。
出典:管理人作成(クリックで拡大可能)
反攻作戦のゴールは「陸上輸送」と「クリミア大橋経由の輸送」を遮断してヘルソン州左岸、ザポリージャ州、クリミアを陸の孤島化にすることで、シンプルに言えば「ロシア軍にヘルソン右岸の放棄を強制した状況」の再現にあり、これを実現するには陸上部隊がアゾフ海(最低でもメリトポリ)近くまで到達し、これとセットでクリミア大橋の道路橋と鉄道橋を破壊しなければならない。
当初から「目標達成には時間がかかる=2023年中に陸の孤島化が実現する可能性は低い」と予想されていが、約半年の戦いでアゾフ海まで直線距離で約90km、メリトポリまで約75km、中間地点にあたるトクマクまで約30kmの道のりを「約7km(オレホボ周辺からロボーティネまで距離)」しか前進できなかったため、反攻作戦の結果については「期待外れ」と表現されることが多く、ゼレンスキー大統領も「反攻作戦の進展は想定より遅い」と認めている。
出典:PRESIDENT OF UKRAINE
ただしゼレンスキー大統領は「前線の状況は膠着状態ではない」「来年についても具体的な計画がある」「たとえ困難だったとしても最終的にウクライナが勝利すると確信している」と主張しているが、これに懐疑的な見方が多いのは、現在の戦い方でアゾフ海やメリトポリへの前進を継続するのか、今回の教訓を取り入れて反攻作戦を練り直すのか、それともロシア軍を追い出すアプローチ自体を変更するのかが提示されておらず、そもそも来年の攻勢を保証する「資金的な裏付け」が確保されていないため、多くの人々が反攻作戦の継続自体を怪しんでいる。
国防総省のサブリナ・シン副報道官は9日「資金不足でウクライナ支援パッケージの規模がどんどん小さくなっているため、議会はバイデン政権が提出した緊急予算を可決して欲しい」と要請しているが、民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務は「感謝祭(11月23日)から戻ったらウクライナ支援やイスラエル支援が含まれる緊急予算について取り組む」と言及しており、Bloombergも「緊急予算の採決準備が整うのは早くても12月中旬で年を越える可能性すらある」と指摘。
出典:pixabay
正直なところ「時間さえかければウクライナ支援法案(600億ドル)が下院を通過するのか」さえ怪しく、EUのウクライナに対する経済支援(500億ユーロ)も軍事支援(200億ユーロ)もハンガリーが同意しないため成立の目処が立っておらず、EU関係者は「もしハンガリーが拒否権を発動すれば加盟国に対して2ヶ国間の支援策を設定するよう要請する」と述べているが、EUに拠出した資金からではなく加盟国の独自資金でウクライナ支援を行って欲しいという要請にどれだけの国が同意するのか分かっていない。
ゼレンスキー大統領も15日「重要なのは西側諸国による社会保障への財政支援だ。率直に言えば支援が途切れると本当に難しいことになる。我々は税収の全てを軍事分野の支出に充てているため、社会保障への財政支援が途切れると軍事分野の支出を減らすか、社会保障への支出を行わないかを選ぶしかない。いずれにせよ危機的状況に陥ることは確実で、これは戦争の行方に大きく影響を及ぼすだろう」と述べており、ウクライナは「手に入るかどうか分からない資金」に希望を託して2024年度予算を編成している状況だ。
出典:Генеральний штаб ЗСУ
因みに管理人はウクライナに勝利して欲しいと思っているが、どう見てもウクライナにとってポジティブな話題は殆どなく、昨年は10月~11月頃に反攻作戦の準備が始まっていたため「現段階で来年を戦い抜く資金が約束されていない」ということは「2024年の構想があっても具体的な準備に取り掛かれていない」と考えるのが妥当で、とにかく欧米からの資金供給が確定しないと将来の話が始まらない。
追記:EUのミシェル議長は21日「12月の首脳会議でウクライナに対する前向きな決定が下されると信じているが、会議自体は(今後4年間の予算方針やウクライナ支援資金などが議論されるため)困難ものになるだろう」と述べた。
関連記事:チェコ大統領がロシアとの交渉開始に言及、ウクライナ軍は戦場で劣勢
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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 40 』