ウクライナ軍の反攻作戦はほぼ終了、ロシア軍の死傷者数は30万人~40万人
https://grandfleet.info/european-region/the-ukrainian-militarys-counteroffensive-operation-is-almost-over-and-the-number-of-russian-military-casualties-is-300000-to-400000/



『Guardian紙は「ウクライナ軍の反攻作戦は基本的に終わった」「ドニエプル川左岸での前進ペースも夏の反攻作戦と同じレベルに留まる」「ロシア軍の死傷者数は30万人~40万人」と、ウクライナメディアも「ドニエプル川からクリミアに向かうのは不可能」と報じている。
参考:Russia has sustained casualties of 300,000-400,000, western officials say
参考:“Второй Бахмут” для Путина и маневры ВСУ на Днепре. Что изменилось на фронте к концу осени
もう「ロシア軍の死傷者数」だけに注目して戦争の見通しを語るのは無意味に近い
Guardian紙は西側当局者の話を引用して「ザポリージャ方面におけるウクライナ軍の反攻作戦は基本的に終結している。ドニエプル川の渡河に成功したウクライナ軍の前進ペースも夏の反攻作戦と同じレベルに留まるだろう」と報じている。
出典:GoogleMap ザポリージャ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)
この西側当局者は「ロシア軍の死傷者数は30万人~40万人」「ザポリージャ方面の反攻作戦は基本的に終結している」「両軍とも陸上戦で決定的な作戦を展開する能力がない」「長期化する戦いには欧米の軍事支援が不可欠」「ロシア軍はドニエプル川を渡河したウクライナ軍を排除できなかった」「ドニエプル川を渡河した装甲車輌の数は不明」「ヘルソン左岸に上陸したウクライナ軍に出来るには夏の反攻作戦と同じで『集落単位の漸進的な前進』に留まる可能性が高い」と述べた。
ロシア軍の死傷者数について西側当局者は「戦死者」と「負傷者」の割合、さらにウクライナ軍の死傷者数について言及しておらず、仮に「30万人~40万人」という数字が事実だったとしても「戦場における戦力の均衡」が崩れた様子はなく、これだけの損失を被ってもロシア軍はクピャンスク、リマン、バフムート、アウディーイウカで大規模な反撃を行う戦力を残しており、もう「ロシア軍の死傷者数」だけに注目して戦争の見通しを語るのは無意味に近い。
出典:GoogleMap ヘルソン周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)
因みにRBC Ukraineのウクライナ人ジャーナリスト(ウリヤーン・ベズパルコ氏)も16日、プーチンにとって第二のバフムートとドニエプル川で何が起きているのかという記事内で興味深いことに言及している。
“現時点で最も困難な戦場はアウディーイウカで間違いない。1ヶ月前に始まったロシア軍の攻勢規模は「バフムート占領以降最大」で、採用されている戦術もワグナーのものに近く、この戦場に最大4万人の兵力を投入して損失を顧みることなく領土を広げようとしている。ロシアがアウディーイウカにこだわるのはドネツクからウクライナ軍を遠ざけて緩衝地帯を作りたいからだ”
出典:GoogleMap アウディーイウカ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)
“ロシア軍が攻勢を強化したもう一つの地域はクピャンスク方面とリマン方面だ。この地域における作戦の優先度は「リマン方面への突破」で「クピャンスク方面の攻勢」はリマン方面の補助的な作戦に過ぎなったが、現在は作戦の優先度が入れ替わっており、ロシア軍の目標は「オスキル川沿いまで前線を押し上げること」もしくは「最低でもクピャンスクの東部分を占領すること」だ。この地域の主導権を握っているのはロシア側だが、まだ攻勢開始から1つの集落も占領できていない”
“ここ数日の間にロシア軍はバフムートの北側=ヤヒドネ付近やベルヒフカ貯水池である程度の成功を収めた。ここからロシア軍は標高の高いチャシブ・ヤールに向かうつもりで、同拠点を占領されるとコンスタンチノフカ、クラマトルスク、スラビャンスクへの前進が容易になる。この動きを側面から支援するためロシア軍はバフムートの南側=クリシェイフカやアンドリーフカでの攻撃を強化している”
出典:GoogleMap バフムート周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)
“夏頃からウクライナ軍がヘルソン左岸に上陸(ダチ上陸のこと)したという話がネット上に出回り、ロシア軍関係者もウクライナ軍が左岸の一部に足場を築いたと認め、その後も新たな左岸上陸の話が増えていった。入手可能な情報を加味すると作戦規模は「一時的な襲撃」ではなく「やや規模の大きな作戦」と言えるだろう。ロシア人は上陸した戦力について300人~500人程度と見積もっており、ロシア軍は広範囲なドニエプル川沿いを守るため6.5万の戦力が展開している”
“ドニエプル川沿いのロシア軍は戦力や攻撃手段で優位性を持っているにも関わらずウクライナ軍の排除に手間取っている。実際のところロシア軍の主要な物流ルートから「ドニエプル川沿い」は最も離れた地域で、上陸したウクライナ軍によって川沿いのルートは遮断されており、ロシア軍は別の物流ルートで戦力や物資を移動させなければならない。逆に上陸したウクライナ軍も安定的な兵站を確立しておらず、これ以上の前進を期待するのは難しいだろう”
出典:Генеральний штаб ЗСУ
“ドニエプル川の川幅は平均1,000mだ。この地域のアントノフスキー橋やノーバ・カホフカ水力発電所は敵に破壊されているため、ウクライナ軍は強固な橋脚をもつ橋での輸送が出来ない。そのため左岸の足場を広げる作業は複雑化している。左岸のウクライナ軍は右岸に展開する砲兵部隊や防空部隊によって支援されており、彼らが今以上に前進を試みれば右岸から提供している支援ゾーンから外れてしまうだろう。そのためウクライナ軍がドニエプル川を渡河してクリミアに向かうというのは不可能だ”
“最も現実的なゲームプランは「出来るだけ左岸のロシア軍を遠ざけてヘルソンへの砲撃を減らす」「ノーバ・カホフカとオレシキを結ぶT2206を遮断することでキンバーン砂州からの撤退を強制する」「ヘルソン地域のロシア軍を拘束してザポリージャ方面への軍事的圧力を分散させる」の3つだ”
出典:管理人作成(クリックで拡大可能)
“ここ数日、我が軍はロボーティネ周辺とベルベーヴ西郊外で限定的な成功を収めている。多くの希望が託されたウクライナ軍の反攻作戦は「数十km単位」ではなく「数千m単位」で計測されているが、まだメリトポリに向かうための努力が続けられてため反攻作戦の結果を論じるのは時期尚早だ”
“ウクライナ軍もロシア軍も年末までに前線で大きな成功を収めることに期待できない状況だ。両軍とも利用可能な戦力で前線を大きく動かすのは困難で不安定な均衡状態にある。さらに冬になれば交戦が一段落し、ロシア軍は寒波の到来と共にエネルギーインフラへの攻撃を、ウクライナ軍はロシア軍の兵站や物資の破壊を強化するだろう”
出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0
“次の重要なステップは来年の春から夏にかけての作戦で、この結果を左右する第一の要因は西側諸国からの支援量で、第二の要因はロシアが大規模な動員を実行に踏み切るかどうかだ。ここ数ヶ月間の占領地域におけるロシア軍の数は40万人前後で横ばいの状況が続いており、言い換えればロシアの隠れた動員(契約軍人やストームZなどに投入するボランティア兵の獲得など)は前線の損失を補充し続けることが出来ても、戦力を40万人以上に引き上げるには不足していると言える。しかし露大統領選挙後なら数十万人の動員を発表してもプーチンの政治的な負担は少ないだろう”
“第三の要因は米大統領選挙の結果で、バイデンが勝利した場合の米政治は予測が容易だが、プーチンが期待しているトランプが勝利すれば多くの不確実性をもたらすはずだ。どちらにせよ誰が大統領になってもウクライナ軍が戦場で示す結果次第で、ホワイトハウスの立場と決定は大きく変わるだろう”
出典:Генеральний штаб ЗСУ
以上がウクライナメディアから見た戦況の様子で「反攻作戦の結果を論じるのはまだ早い」とポジティブな一面も見せているが、ドニエプル川左岸への上陸については「クリミアへの前進といった希望的観測」に踊らされることなく「冷静な評価」を下しているのが印象的だ。
関連記事:アウディーイウカの戦い、ステポヴェ集落の北側地域をロシア軍が占領
関連記事:侵攻630日目、ザポリージャ方面とドニエプル川沿いの動き
関連記事:バフムートの戦い、ロシア軍がベルヒフカ方向で1km以上も前進か
関連記事:ロシアの動員数は損失を十分カバー可能、10ヶ月間で38.5万人を確保
※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
シェアする
ツイートする
Twitter で Follow grandfleet_info
Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it
投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 40 』