米国、フィリピンと機密交換協定へ 南シナ海で中国抑止

米国、フィリピンと機密交換協定へ 南シナ海で中国抑止
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『【ジャカルタ=中村亮】米国とフィリピンは軍事機密を交換するための協定を早期に結ぶ方針だ。中国船が南シナ海で危険行動を繰り返しており、情報共有を充実させて対処を急ぐ。米軍は空母派遣を継続し、フィリピン支援を強める。

オースティン米国防長官は15日、ジャカルタでフィリピンのテオドロ国防相と会談した。6月にテオドロ氏が国防相に就いてから両氏が対面で会談するのは初めて。2国間の防衛協力や中国に対する結束を盛り込んだ共同声明をまとめる。

バイデン米大統領が15日に米西部カリフォルニア州で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談して米中関係の安定を目指すが、オースティン氏は南シナ海問題でフィリピン支持は揺るがないと明確にする。

オースティン氏は会談で、南シナ海の実効支配を進める中国を非難した。1951年の相互防衛条約を履行する方針を改めて明言し、米国がフィリピン防衛に関与する姿勢を訴えた。
フィリピン政府によると中国船は10日、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺でフィリピン船に放水銃を使った。8月に続く今年2回目の放水銃使用で、10月下旬には衝突事故も起きた。

フィリピンは南沙諸島のアユンギン礁に座礁している艦船に補給活動をしている。中国は南シナ海のほぼ全域に管轄権が及ぶと主張し、フィリピンの活動を妨害して緊張が高まっている。

米国防総省高官は15日、記者団に対し「フィリピンにかつてなかったような情報共有をしている」と言明した。フィリピン軍は中国船の位置をリアルタイムに近い形で把握できるほど補給活動を安全に実行する作戦計画をつくりやすくなる。

高官はフィリピンとの軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について「可能なかぎり早期に結べるように取り組んでいる」と言及した。GSOMIAは機密交換を円滑に進める役割があり、米国は日本などの同盟国と締結している。

フィリピン軍によると、10月下旬に衝突が起きた際に米海軍のミサイル駆逐艦がアユンギン礁に比較的近い位置で活動した。米国は、中国とフィリピンの緊張が軍事衝突に発展した場合に介入するシグナルを送り、中国抑止を狙っていたとみられる。

米海軍は11月上旬、フィリピン海に空母ロナルド・レーガンと同カール・ビンソンを派遣して合同演習を実施した。イスラエル情勢の緊迫を受けて中東地域に戦力を集めているが、インド太平洋地域で中国抑止を緩めない姿勢を示すものだ。

オースティン氏は15日、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の国防相らを集めた会合を開いた。南シナ海問題に関与する姿勢を示し、中国への包囲網構築を探った。16日には拡大ASEAN国防相会議に出席する。

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