アウディーイウカの戦い、ロシア軍が線路を突破してステポヴェ集落内に到達

アウディーイウカの戦い、ロシア軍が線路を突破してステポヴェ集落内に到達
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/battle-of-audiivka-russian-troops-break-through-the-railroad-tracks-and-reach-stepove/

『ザルジニー総司令官は10日「アウディーイウカを巡る1ヶ月間の戦いで敵の人的損失は約1万人に達した」と発表したが、ロシア軍の攻勢は止まっておらず、アウディーイウカの北に位置するステポヴェ集落内にロシア軍が到達したことを視覚的に確認した。

参考:Залужний назвав втрати РФ за місяць штурмів Авдіївки: близько 10 000 солдатів і багато техніки

アウディーイウカの状況は「ロシア軍を撃退する動画をハリウッドよりもクールだ」と言っている場合ではない

ウクライナ内務省顧問のゲラシチェンコ氏は数日前「アウディーイウカでロシア軍を撃退する動画(内容は過去のもの再編集したもの)」をSNSに投稿して「彼らが(動画に施した)特殊効果はハリウッドよりもクールだと思わないか?」と絶賛、ザルジニー総司令官も10日「敵がアウディーイウカで攻勢を開始して1ヶ月が経過した。この間に我が軍は100輌以上の戦車、約250輌の装甲車輌、約50門の砲兵システム、7機のSu-25を破壊し、敵の人的損失は約1万人に達した。私はアウディーイウカを守る全ての兵士に感謝する」と述べた。

An impressive detonation of Russian armored vehicles!

The Warriors of the 47th Mechanized Brigade showed the defeat of the Russian armored vehicles attack near Avdeevka. Russian tanks and APCs with assault units tried to break through to our positions, but part of their… pic.twitter.com/QVRKQafeEP

— Anton Gerashchenko (@Gerashchenko_en) November 7, 2023

ロシア軍は第47機械化旅団の攻撃で大きな損害を被り、1ヶ月間の戦いを通じて「ザルジニー総司令官が言及したような損失」を出したのかもしれないが、問題は「これだけの損失を被ってもロシア軍の攻勢が止まっていない」という点だろう。

625日の戦いを通じて「ロシアには西側が許容できないリスクとコストに耐える火の玉のような意思がある」と実証されており、どれだけ敵に損害を与えたとアピールしても「陣地」や「土地」を失い、敵の意図をへし折ることができなければ意味がなく、アウディーイウカ方面では視覚的に「ロシア軍がステポヴェ集落内=Ⓐに到達した」と確認された。
出典:GoogleMap アウディーイウカ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ウクライナ人が運営するDEEP STATEは10日「ロシア軍によるアウディーイウカ北側での攻撃が続いており、敵はステポヴェ集落内の最も東側に位置する家に侵入したが、ブラッドレーの攻撃に敗北した。しかし一度到達した場所には再び敵がやって来ることを理解しなければならない。敵はアウディーイウカ包囲を諦めておらず今後も諦めることはない」と報告。

ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも「ウクライナ軍は増援を投入してノボカリノベ方向からクラスノホリフカへの突破を試みたが失敗に終わった。正確な状況は信頼できる情報が不足しているため戦場の霧に包まれているものの、ウクライナ軍兵士は大きな損失とローテーションの欠如に不満を募らせている。そしてロシア軍は線路を横断してステポヴェ集落内に入り、敵の防御体制をテストした後に撤退した。線路を横断できるようになったのは敵の防御能力が低下している現れだ」と主張。

双方とも「ロシア軍兵士がステポヴェ集落内に到達して敗走(撤退)した」と認めているが、その意味については意見が別れている。

どちらにしても「ロシア軍が線路沿いの防衛ラインを突破した」という報告は事実であると確認され、遂にステポヴェ集落内にもロシア軍兵士が侵入し始めているため、アウディーイウカの状況は日々悪化している可能性が高く、ロシア軍を撃退する動画を「ハリウッドよりもクールだ」と言っている場合ではない。

出典:U_G_M

因みにRYBARが言及した「ウクライナ軍兵士の不満」とはタイミング的に「SNS上に登場した第110機械化旅団の動画」を指している可能性が高い。

この動画の中で兵士達は「我々は高台(クラスノホリフカ南西のゴミ捨て山のこと)の攻撃に駆り出されているが、司令部は必要な量の弾薬を支給せず、砲兵による適切な火力支援もないため、毎日何十人もの兵士が無意味な攻撃で死んでいる。周辺一帯はロシア軍の砲撃を受けて何十、何百という仲間の遺体が転がっているのに誰も回収できておらず、司令部も遺体の回収に無関心なので何も対処していない。さらに司令部だけが何も言わず郊外に撤退したのは何故なのか?我々はこの状況について説明を求めている」と訴え、この状況にゼレンスキー大統領の介入を懇願している。

この動画が本物かどうかは不明だが、過去にも不満を述べるウクライナ軍兵士の動画は複数確認されており、仮にロシア側の巧妙なプロパガンダだったとしても「アウディーイウカの状況」が良くないため「真偽を確かめないまま本物だと受け入れてしまう人」もいるかもしれない。

関連記事:アウディーイウカの戦い、ロシア軍が線路を突破して陣地確保に成功か
関連記事:アウディーイウカの戦い、ロシア軍が週末に攻勢を仕掛けて線路を横断か
関連記事:アウディーイウカの戦い、ロシア軍がクラスノホリフカ北の線路を突破か
関連記事:アウディーイウカの戦い、コークス工場制圧に向けてロシア軍が足場を築く
関連記事:アウディーイウカの戦い、ウクライナ軍はオプトネ北西の採石場を失う
関連記事:アウディーイウカの戦い、ホワイトハウスはロシア軍の攻撃が続くと予想
関連記事:アウディーイウカの戦い、街に通じる道路が砲撃を受けて困難な状況
関連記事:ウクライナ軍参謀本部、アウディーイウカ方面の攻撃を全て撃退したと発表
関連記事:アウディーイウカの戦い、ロシア軍がクラスノホリフカ南西の高台を占領
関連記事:アウディーイウカの戦い、クラスノホリフカ南西の高台を失った可能性
関連記事:ウクライナ軍、ロシア軍は損害を被っても狂ったように押し寄せててくる

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
シェアする
ツイートする
Twitter で Follow grandfleet_info

Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it 

投稿者: 航空万能論GF管理人 ウクライナ戦況 コメント: 35  』


ミリオタの猫
2023年 11月 11日

返信 引用 

消耗戦と言うのは味方にどれだけの損害が出ても補充さえ出来て居れば継続出来るので、ロシア軍としては充分元は取れているのでしょう
逆にウクライナ軍は欧米からの支援が途絶えつつあるので後が無い
この分で行けば来年の始めにはアウディーイウカは制圧されるはずで、この後は来年3月の大統領選挙でプーチンが勝った後、総動員令を発布して戦力を強化したロシア軍がウクライナ軍を磨り潰してウクライナを殲滅するのが確定でしょう
そしてNATOは、今度はバルト三国やポーランドへ御礼参りに来るロシア軍相手に血を流す結末が待っているはずです
3

    p
    2023年 11月 11日
    返信 引用 

その「御礼参り」ってなにか根拠ある推測?それともただの妄想?
28
        ミリオタの猫
        2023年 11月 11日
        返信 引用 

    先ず、これまでの対ウクライナ武器支援ではバルト三国やポーランドの貢献度が結構高いんですよ(ポーランドは既に支援を終えているがその量は多く、バルト三国は量はともかく対GDP比では結構大きな支援をして来た)
    しかもバルト三国は元ソ連領だったし、ポーランドは1980年から起きてソ連崩壊の伏線の一つとなった「連帯」による反ソ運動の震源地でもあるから、プーチンにとっては因縁の地でもある
    なので、プーチンとしてはウクライナを血祭りに上げたら、次は欧米やNATOに対する報復と見せしめ、そしてロシアの安全保障上の「安全地帯」を確保する(これはウクライナ侵攻当初からの目的でもある)為にもバルト三国やポーランドへの侵攻は有り得ると思います(勿論、ロシア国民の自尊心回復と言う目的もくっ付いて来るでしょう)
    尚、兵力に関しては未だロシアは総動員令を発布していないので余力は有ると見た方が良いです
    3
            理想はこの翼では届かない
            2023年 11月 11日
            返信 引用 

        やるとしても経済的な締付けであって武力行使では無いでしょう
        NATO加盟国に対して真正面から武力衝突するのは、あまりにも無謀かつ無意味ですから
        そういう意味で上のpさんは「なにか根拠ある推測?それともただの妄想?」と聞かれているのだと思いますよ

        (国際的に認められてはいませんが)武力行使も外交の一形態ですので、損得勘定を抜きに武力行使をする事はまず無いのです
        11 』


たむごん
2023年 11月 11日

返信 引用 

ウクライナ軍・ロシア軍、アウディーイウカのボタ山(高台)攻防は、両軍ともに正面突撃を繰り返しているということですね。
203高地の戦いは、(犠牲が多いため)戦術が批判されてきましたが、ウクライナ戦争を見れば見直すべきなのかもしれません。

アウディーイウカ攻略の是非は、ひとまず置いておくとして。
ウクライナ軍が、アウディーイウカ方面に増援をどの程度派遣できるのか、アウディーイウカ後方に防衛陣地を構築しているのかが重要と考えています。

アウディーイウカのコークス工場は、地下施設を利用した地下要塞になっている事は、既に報じられています。
アウディーイウカ後方に、似たような強度の防衛陣地を構築する事は難しいため、ウクライナ軍が撤退を遅らせている理由の一つとして理解しています(ロシア軍も偵察等で把握していると考えるべきです)。
2 』