EU外相、北朝鮮への制裁示唆 ロシアへの武器供与で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD074UD0X01C23A1000000/
『欧州連合(EU)の外相にあたるジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表が8日、都内で日本経済新聞の取材に応じた。北朝鮮がウクライナ侵攻を続けるロシアに武器や弾薬を提供したとの情報に触れ「懸念している」と表明。「事実と確認できれば欧州側も何らかの対応をとる」と明言し、制裁などの追加策をとる可能性を強く示唆した。
日米韓の3カ国は北朝鮮からロシアへの複数回に及ぶ軍事装備品や弾薬の提供を確認したとの声明…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『日米韓の3カ国は北朝鮮からロシアへの複数回に及ぶ軍事装備品や弾薬の提供を確認したとの声明を発表している。北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返す現状についてボレル氏は「とても懸念している」と述べ、EUとして「全面的に日本と連帯している」と協調する立場をアピールした。
ウクライナ支援「これまでと同じことを続ける」
ボレル氏はウクライナ支援の重要性を訴えた(8日、東京都港区)
ウクライナ支援をめぐってはEU加盟国の一部が軍事支援に反対したり、支援に反対する政党が支持を伸ばしたりするなど「支援疲れ」が目立ち始めた。ボレル氏は「戦争が始まってから行ってきたことを今後も続けなければならない。支援疲れにひたっている余裕はない」と語り、今後も軍事面や資金面などの支援を継続する必要があると力説した。
ウクライナのEU加盟交渉開始にはEU加盟27カ国すべての同意が必要になる。ボレル氏は交渉が始まった場合、「ウクライナは戦場での戦闘と、EU加盟国になるための国内改革という2つの戦いをしなくてはならない」と指摘。EU加盟が実現すれば「(ロシアの)プーチン大統領にとって最大の敗北となるだろう」とウクライナによる一段の努力に期待を示した。
対中国政策「競争力にも注意を払う必要がある」
ボレル氏は中国を10月に訪れ、王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相と会談した。EUはサプライチェーン(供給網)の分断(デカップリング)ではなく、リスク軽減を意味する「デリスキング」を対中国政策の基本に掲げる。「これは反中国運動ではない」と断ったうえで、「ロシア産天然ガスに過度に依存することは危険であると(ロシアのウクライナ侵攻で)学んだ」として特定の部品や原材料を中国に依存する割合を低下させる必要があると強調した。
欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は10月に中国を訪問し、王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相㊨と会談した=ロイター
「中国とはできるだけ協力したいが、競争力にも注意を払う必要がある。わたしたちの対中貿易赤字はここ数年急増してきた」とボレル氏は懸念を示した。EUは中国による電気自動車(EV)向けの補助金に関する調査に入った。中国は反発しているが、「わたしたちは保護主義者ではない。EUは世界でもっとも開放的な経済だ。(リスク軽減は)中国もやっている」と反論した。
イスラエル・ハマスの停戦「いまは議題ではない」
G7外相会合ではパレスチナ自治区ガザの人道支援に向けて、戦闘を一時的に止める「人道的休止」が必要だと訴える共同声明をまとめた(8日、東京都港区の外務省飯倉公館)=代表撮影
ボレル氏も参加した主要7カ国(G7)外相会合はパレスチナ自治区ガザの人道支援に向け、戦闘を一時的に止める「人道的休止」が必要だと訴える共同声明をまとめた。「人道支援物資をガザに搬入するとともに、人質の解放を促すことだ。とくに水、燃料、食料、医薬品を運ぶ必要がある」。ボレル氏は人道的休止の目的を説明した。
同時に「不幸なことだが、停戦はいまの議題とはなっていない」と語り、イスラエルとガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの停戦をめぐる議論は時期尚早との認識を示した。将来に向けてはイスラエルとパレスチナ国家が安定かつ平和的に共存する「2国家解決」が「唯一の実現可能な解決策」としたうえで 「暴力の連鎖を止めるならば、2国家解決に基づく安定した政治的解決を提供する必要がある」と強調した。
(編集委員 瀬能繁)
Josep Borrell スペイン出身でマドリード工科大卒業。スタンフォード大学修士、マドリード・コンプルテンセ大学博士。スペイン社会労働党のゴンザレス内閣で閣僚を歴任。欧州議会議長、スペイン外相を経て2019年12月から現職。76歳。
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
竹内舞子のアバター
竹内舞子
経済産業研究所 コンサルティングフェロー、CCSIアジア太平洋 CEO
コメントメニュー
分析・考察 いわゆるウクライナ「支援疲れ」や対ロシア制裁の手詰まり感への対応という意味では、ウクライナ侵攻への軍事協力に対する北朝鮮への制裁はEU加盟国にとってやりやすい活動だといえるのかもしれません。
北朝鮮制裁をどのようにして実効的なものにするのかという課題はありますが、「ロシアによるウクライナ侵攻への軍事支援を行えばEU加盟国の制裁を受ける」というメッセージを各国に与えて行動を抑止する効果はあると思います。
2023年11月9日 22:31』