ガザ地区に人道回廊を設置 物資搬入や市民退去促す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100O90Q3A111C2000000/
『2023年11月10日 13:14
【ワシントン=坂口幸裕】米政府高官は9日、イスラエルが数日前にパレスチナ自治区ガザ北部に2つの「人道回廊」を開設したと表明した。物資搬入や戦闘地域からの退去を可能にする。イスラエルが人道支援を目的とした1日4時間程度の戦闘休止を始めることも明らかにした。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は9日、記者団に「イスラエルがガザ北部で毎日4時間の一時停止を始めると理解している」と話し…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は9日、記者団に「イスラエルがガザ北部で毎日4時間の一時停止を始めると理解している」と話した。米政府はイスラエルにイスラム組織ハマスが実効支配するガザでの戦闘を一時休止するよう求めてきた。人質解放や戦闘地域からの市民の退去などにつなげる狙いがある。
バイデン米大統領は9日、イスラエルによる一時的な戦闘休止について「期待していたより少し時間がかかっている」と言及。首都ワシントン近郊で記者団の質問に答えた。イスラエルには3日間の攻撃休止を要請していたのかと問われ「3日以上の休止を求めた。さらに長い休止を要請した」と明言した。
カービー氏はイスラエルが戦闘を休止する3時間前に事前通告すると説明した。「必要な限り続けてほしい」と述べる一方、いつまで継続するかについては言及を避けた。
カービー氏はその後の米CNNテレビのインタビューで「これは正しい方向への一歩だ」と訴えた。「ハマスとイスラエルの交戦に巻き込まれず、時間を確保することで民間人の犠牲を減らすことができる」と強調した。
これまでイスラエル側は一時的な戦闘休止に慎重な姿勢を示してきた。ネタニヤフ氏は6日に「人質の解放なくして、ガザでの停戦はありえない」と話した。人道物資の搬入や人質解放を可能にするため、過去に複数の場所で局所的に1時間のみ「戦術的な休止」に踏み切ったケースに触れていた。
米政府はかねてアラブ諸国などが要求する「即時停戦」を否定しつつ、地域を絞った戦闘の一時休止(pause)が必要との立場を取ってきた。カービー氏は「現時点で停戦が適切だとは考えていない。10月7日にイスラエルを奇襲攻撃したハマスの行動を正当化することになる」と重ねて主張した。
バイデン氏やブリンケン米国務長官はネタニヤフ氏に人道目的の戦闘休止を受け入れるよう直接働きかけてきた。背景にはイスラエルによるハマスへの報復に伴う犠牲者拡大に反発するアラブ諸国を含む国際社会への配慮がある。
イスラエルによるガザ攻撃に伴うパレスチナ側の民間人死者は1万人を超え「この戦争が自衛であるとは認めない」(ヨルダンのサファディ外相)などと非難の声が強まる。米国はイスラエル支持一辺倒では、中東地域で同国が孤立すると懸念する。
24年11月の大統領選まで1年を切り、国内世論も意識する。米CBSテレビなどが10月30日から11月3日に実施した世論調査によると、バイデン氏の地盤である民主支持層の意見は割れる。イスラエルとパレスチナに同情するとの回答がいずれも約8割と拮抗している。
【関連記事】
・イスラエル軍、戦闘休止「方針転換ではない」
・ガザ衝突、3カ月続けば貧困率45%上昇も 国連調査 』