「イスラエルは1週間で支持失う」 元首相、人道危機に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR090EH0Z01C23A1000000/
『2023年11月9日 16:29
イスラエルのバラク元首相が日本経済新聞の取材に応じた。パレスチナ自治区ガザの人道危機が続けば「イスラエルは1週間で国際世論の支持を失う」との懸念を示した。イスラム組織ハマスとの戦闘の人道的休止も選択肢だとの考えもにじませた。
強硬姿勢を貫くネタニヤフ政権への風当たりはイスラエル国内でも強まっており、武力衝突の行方に影響を与える可能性がある。
テルアビブ市内で7日に取材に応じたバラク氏はイスラエル…
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『テルアビブ市内で7日に取材に応じたバラク氏はイスラエル軍出身で穏健派の重鎮。左派の労働党を率い1999〜2001年に首相、オルメルト政権とネタニヤフ政権下で国防相(07〜13年)などを歴任した。
穏健派といえども戦闘反対ではない。ハマスはイスラエル市民を「虐殺した」と激しい口調で非難し、武装組織として無力化しなければならないと強調した。「野蛮なテロリストを無罪にはできない」とも述べた。
ガザで民間人の犠牲者が膨らんでいるのは「ハマスが自らの市民を砲弾の当たるところに連れていき、人間の盾として利用しているからだ」との認識も示した。
ただガザの状況を世界中のメディアが報じるなか、民間人の犠牲が膨らめば「自由主義諸国の支持を失う」との危機感をあらわにした。
「1週間のうちに欧州と、3週間以内には米国ともあつれきが生じるだろう」(バラク氏)。日本で開かれた主要7カ国(G7)の外相会合はガザの人道支援のため、戦闘の「人道的休止」が必要だと訴える共同声明をまとめている。
さらに言葉を選びながら「人質交渉や必須の人道支援のためのごく短時間の停戦(戦闘休止)のやり方はおそらくある」と話した。
戦闘休止に賛成なのかと重ねて問うと「賛成ではない」と述べつつも、「乳児にミルクがないとか、病院に医療物資が届かない状況は許されず、我々は搬入を認める方法を見いだすだろう」と含みを持たせた。
強硬派のネタニヤフ氏にとってパレスチナ自治政府の力を弱め、ハマスによるガザの実効支配を続けさせることが好都合だったとバラク氏はみる。その結果、ハマスに奇襲攻撃されたとの批判は、イスラエル政界で与野党を問わず漏れてくる。
1973年の第4次中東戦争など政権の失策が指摘された過去半世紀の戦争は「すべて政治リーダーの辞任につながった」とバラク氏は指摘。ネタニヤフ氏は引責辞任すべきだとの考えがにじんだ。
(テルアビブ=久門武史、ロンドン=赤川省吾)
Ehud Barak1942年生まれ。59年イスラエル国防軍入隊、91年参謀総長。政界に転じ内相、外相を歴任、97年労働党党首。99〜2001年の首相在任中、パレスチナとの和平を目指した。
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赤川省吾
日本経済新聞社 欧州総局長
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ひとこと解説 テルアビブ市内に住むバラク元首相。1時間以上にわたった取材中、何度もネタニヤフ批判を口にしました。挙国一致の戦時下であることを踏まえ、「辞任しろと公言したくない」と言いながらも3つの失点を指摘。
① 司法改革で三権分立を脅かした② ハマスを放置③ 汚職などの罪から逃れるという個人的な利益のため、権力を維持しようとしたーー。
特に③については与党リクード内からも批判が漏れ、ネタニヤフ氏の命運は尽きた感じ。
今後のイスラエルは①政界再編②パレスチナ・アラブとの対話③ガザ管理政策ーーの3つが複雑に絡みながら進む展開となりそうです。
日本の役割は対話の仲介。中国やロシアに任せてはなりません。
2023年11月10日 1:07 (2023年11月10日 1:19更新) 』