米国、アラブ・イスラエル双方と溝 「ガザ停戦」巡り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN050MX0V01C23A1000000/
『【ワシントン=坂口幸裕】イスラエルとイスラム組織ハマスが衝突するパレスチナ自治区ガザでの「停戦」を巡る米政府の調整が袋小路に陥っている。イスラエルは米国が求めた人道目的とした「攻撃の一時停止」を拒否。アラブ諸国は4日、イスラエルの報復を容認する米国に「即時停戦」が必要だと迫った。
米国とアラブ諸国との立場の違いは、ブリンケン米国務長官、ヨルダンのサファディ外相、エジプトのシュクリ外相がヨルダンの…
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『米国とアラブ諸国との立場の違いは、ブリンケン米国務長官、ヨルダンのサファディ外相、エジプトのシュクリ外相がヨルダンの首都アンマンで会談後に臨んだ4日の記者会見で浮き彫りになった。
最初に発言したサファディ氏はイスラエルのガザ攻撃について「これは戦争犯罪だ。アラブ諸国は罪のない人々の殺害と破壊を終わらせる即時停戦を要求している」と主張。イスラエルが子どもを含む9000人超を殺害したと言及し「この戦争が自衛であるとは認めない」と強調した。
会見に同席したシュクリ氏も市民や医療施設などを標的にするイスラエル軍に関し「ガザで起きた不幸な殺害事件は正当化できない。自衛権に反する行為を正当化する議論は受け入れられない」と断言。「条件なしの即時停戦と国際法違反の行為をやめるよう求めたい」と話し、国際法違反かどうかを調査するよう国際機関に促した。
一方、ブリンケン氏は「ハマスへのイスラエルの自衛権を支持する」と改めて表明した。いま停戦すればハマスが態勢を立て直し「(奇襲攻撃した)10月7日にやったことを繰り返すだけだ」と否定的な考えを示した。米国はかねてイスラエルには報復する「権利と責務がある」と繰り返してきた。
「イスラエルは戦争法、国際人道法を順守し、民間人の犠牲を防ぐためにあらゆる手段を講じる義務がある」とも強調した。人道目的での「攻撃の一時停止」をイスラエルに求めていくと重ねて提起。「ガザの民間人を保護し、外国人を脱出させ、ハマス打倒という目的を達成する重要なメカニズムになりうる」と断言した。
ブリンケン氏はアンマンでサウジアラビアやカタールなどを含むアラブ諸国の外相らと会った。イランや親イラン勢力が中東地域をさらに不安定にする行動に出ないよう抑止する重要性などを確認したものの、ガザ攻撃を続けるイスラエルに対する足並みの乱れは明らかだ。
米国は自らが後ろ盾になっているイスラエルにも苦慮している。ヨルダン訪問に先立ち、ブリンケン氏は3日に訪れたイスラエルでネタニヤフ首相らと会談。ガザの中心都市を包囲する同国に人質解放などのため攻撃の一時停止を働きかけたものの、結論は出なかった。
ブリンケン氏は4日に攻撃の一時停止について「イスラエル政府と可能性を検討することで合意した」と表明したが、実現性は見通せない。ネタニヤフ氏は会談後「全ての人質が解放されない限り、一時的な停戦は受けいれない」と演説した。
戦闘の一時停止による人道支援には「準備と国際的なパートナーとの調整に時間がかかる」(ブリンケン氏)とみられる。イスラエル側は戦闘の一時停止がハマスを利する結果になると警戒しているもようだ。
イスラエル、アラブ諸国の双方との意見の隔たりが鮮明になった米国の中東外交は難路にさしかかっている。
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小黒一正
法政大学経済学部 教授
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分析・考察 安全保障や中東問題は専門外ですが、ハマスとイスラエルの戦いが激化し、「第5次中東戦争」のトリガーとなる可能性は本当にないのか、心配しています。周知のとおり、1970年代のオイルショックは、第4次中東戦争に起因するものであり、例えば1974年、日本のインフレ率(消費者物価指数)は20%を超えました。現在、日本のインフレ率は既に2%を超えており、注視が必要に思います。
2023年11月5日 18:50 (2023年11月5日 19:08更新)