ガザ地区紛争で、最もありそうな一時的な決着
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『上図は、大イスラエルと呼ばれている地域の範囲で、旧約聖書の最初の書の創世記15章にも書かれているもので、神がイスラエルに与えるとした「約束の地」です。今の戦争は今から数千年前から始まった領土問題なのです。つまり、イスラエルのリクードや連立を組んでいる宗教シオニズムも、最終的には、この領土をイスラエルとして占める事を目指しています。つまり、ヨルダンとレバノンは、まるまる消滅してシリア・イラクの大部分、サウジアラビアの一部、エジプトのナイル川沿岸地域に渡る広大な領土の奪還を目指しています。こうして、考えるとレバノンのヒズボラ、シリア、ヨルダン等が、武装勢力を組んでイスラエルを攻撃する理由が判ります。自分達の国が消滅する上、国民がまるごと難民になってしまうから、彼らは必死なのです。
もちろん、これらは、何かしらの具体的な見込みを持つ目標ではなく、日本の北方領土返還みたいに、当てがなくても掲げておく目標のようなものです。習近平氏の中国も、口に出しませんが、唐の時代の最大領土までは、中国の領土として奪還したいと考えていますし、元気だった頃のイスラム過激派のISISも、イスラム国家の最大領土の範囲である中東と東はイベリア半島~北アフリカまで、自分達の土地だと主張だけはしていました。領土問題とは、そういうものです。
現在、イスラエル軍は、ガザ地区を南北に分断して、包囲していて、北部市街地へ向けて侵攻を進めています。あらかじめ、侵攻をアナウンスしていたので、激しい市街戦というよりは、テディーベアと呼ばれている装甲ブルドーザーによって、空爆で瓦礫の山と化した市街地を、遮蔽物の無い更地にしながら、中心部へ向かって侵攻しています。
さて、ここから、最もありそうなシナリオを推察します。恐らく、イスラエル軍は、ガザ地区の住民をエジプトに追い出すまで、進軍の手を緩めないと思われます。発生する220万人とも言われる住人が、まるごと難民になるのですが、それは、イスラエルがエジプトに資金を提示して、シナイ半島に難民キャンプを作らせて、そこへ居住させるように仕向けるのではないかと思います。先日の記事でも書きましたが、エジプトとしては、拒否したい話ですが、大金を積まれるとなると話は別です。なぜなら、今、エジプトは、経済危機の真っ最中で、国が破綻するかどうかの瀬戸際だからです。パレスチナ難民が流入するにせよ、相当の資金を貰えるのであれば、受け入れる可能性があります。そして、それだけの資金をイスラエルは準備できます。
恐らく、役割として、エジプトには、同胞の難民を助ける慈悲深い役どころを与えて、表面上いくらイスラエルを非難しても構わないという密約を結ぶのではないでしょうか。つまり、エジプトは、国際舞台で株を上げて、イスラエルは非難の的になりますが、それは両国が承知の上。難民の生活を支えて、かつエジプト政府が財政を立ち直らせるだけの十分な資金をイスラエルが与える事で、パレスチナ自治政府に無断で、両者の密約によるガザ地区のイスラエル編入が強行されると思います。
武力でちょっかいを出してきそうなイランやシリア、レバノンについては、アメリカが空母2隻を派遣して、威嚇を効かせています。素早く事を進めて、短期間に占領と住民の追い出しを既成事実化してしまえば、それが恐らくは定着します。ウクライナ侵攻におけるロシアと違って、イラクをアメリカが攻撃した時のように、短期間で勝負を決めてしまえば、どんな形にせよ定着した現状を、ひっくり返そうとする国は現れないでしょう。ガザ地区を占領し、エジプト領のシナイ半島に難民キャンプが出来た状態をひっくり返そうとすると、その国は220万の難民の処遇について責任を持つ必要が出てきます。そこまで、真剣にかかわる気持ちが、今の中東のアラブ諸国にあるかと言えば、恐らくありません。余りにも長い時間、紛争を続けてきましたから、イスラエル建国当時、中東から追い出す事を確約して団結していたアラブ諸国は、今では見る影もありません。
実際、アメリカがイラクに侵攻した時、根拠になっていた「大量破壊兵器」は、どこにもありませんでしたが、それを今でも持ち出して、国連で問題にする国は無いじゃないですか。どんな間違った原因で始まった戦争でも、決着が短期間でついて、状態が固定化してしまったら、敢えて「正義を行う」なんて理由で、状態をひっくり返そうなんて国は現れないものです。自身の国民が傷つかないのであれば、敢えて火中の栗を拾いに行く国は無いのです。
もし、手を出してくるのが、ヒズボラやイラン、シリア止まりであるならば、今地中海に展開している戦力と、既に中東情勢を見据えて、イスラエルにアメリカが送り込んだ駐留部隊で、十分に威嚇できます。他の国は、国内ではデモや暴動、国連ではイスラエルに対する非難が噴出するでしょうが、実際に国として動かないはずです。後は国際連盟として、ガザ地区からの難民に対して、基金を設立するなりして、大量の資金を投入すれば、恐らくこちらも現状を追認する形で抵抗は収まるのではないかと思います。後は、エジプトとアメリカ軍合同で、難民キャンプの中のハマス狩りをすれば、ガザ地区に関する騒乱は沈静化します。
これによって、イスラエルは、更地で地中海に面した価値のある土地を手に入れ、かつガザ地区からのミサイル攻撃を心配する必要が無くなります。それに比べれば、エジプトに一時的にくれてやる資金や、世界から非難を受ける事は問題ではありません。これを理由にイスラエルと正面切って戦争をしようという国は、多分出てきません。無理矢理とは言え、難民の収まり場所が出来ているからです。まぁ、後一万人くらい死ぬかも知れませんが、どんな形にしろ解決策に状態が収まっています。イスラエルのネタニヤフ政権は、責任を取る形で崩壊するでしょうが、政権と引き換えるだけの成果として十分の価値があるでしょう。
ちなみに、ネタニヤフ政権の与党であるリクードは、右よりですが、一応政治政党としてのバランス感覚は持っています。問題は、連立している極右政党の宗教シオニズムなどの政党です。極右というものが、どういう思想か判ります。彼らは、本気でパレスチナ人をパレスチナ自治区から追い出す気ですし、なんなら大イスラエルの地域を確保する事を考えています。ちょっと自分の意見を聞いてもらわなかったぐらいで、国会の正当な手続きを踏んでいるのに、簡単に極右呼ばわりする日本の野党は、本物の極右というものが、どういうものか学ぶ機会です。目的の為の人死を気にしないのですよ。そして、本来ならば汚職で刑務所にブチこまれているはずのネタニヤフ氏が首相の座にいるのは、こうした極右政党と連立しているから可能なので、彼らの言う事を完全に無視する事はできないのです。言ってしまえば、権力維持の為にタイトロープを渡っている事になります。地獄に堕ちて良い人間の一人です。
これは、国際政治の力学で考えた、紛争の原因や歴史を一切無視した、一番に可能性があると私の考えるガザ紛争の未来です。ただし、「一時的な」と表題で入れているように、紛争が解決した結果ではありません。火種では、あり続けるでしょうけど、イスラエルが置かれている状況が、極端に悪化するわけでもないので、さして問題にはならないと思われます。』