米長官「戦闘の一時停止」要請 イスラエル首相は難色
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR031N80T01C23A1000000/
『2023年11月3日 20:51 (2023年11月4日 7:13更新)
【この記事のポイント】
・ブリンケン米国務長官がイスラエルを再訪問
・人道支援のため、攻撃の一時停止を働きかけ
・ネタニヤフ氏は「人質解放が先」と停戦拒む
【イスタンブール=木寺もも子】ブリンケン米国務長官は3日、イスラエルを再訪問した。イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザの中心都市を包囲する中、人質解放などのため、攻撃の一時停止を働きかけた。中東訪問は10月に続き約2週間ぶりだが、今回はガザの人道状況へ…
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『中東訪問は10月に続き約2週間ぶりだが、今回はガザの人道状況への懸念を強くにじませた。
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「パレスチナ人を守るためにさらなる措置が必要だ」。ブリンケン氏は、イスラエルのネタニヤフ首相やヘルツォグ大統領と会談した後の記者会見で、同国の自衛権を改めて支持した。そのうえでイスラム組織ハマスが実効支配するガザの民間人被害を、最小化する必要性を強調した。
イスラエル側との会談では、一時的な戦闘の停止も協議したという。ブリンケン氏は、短期間の停戦はガザに必要な人道支援の拡大や人質の解放交渉に役立つと訴えた。
イスラエル側は強硬な姿勢を崩していないようだ。同国メディアによると、ネタニヤフ氏は会談後、「全ての人質が解放されない限り、一時的な停戦は受けいれない」と演説した。米国が求めたガザへの燃料搬入についても否定した。
米国は以前から、イスラエルによるハマスとの戦いを支持する姿勢を変えていない。だが、ガザの被害拡大を受け、発言のトーンを微妙に変化させている。バイデン大統領は1日、イスラエルとハマスの衝突には「一時停止が必要だ」と述べた。
イスラエル軍は2日、ガザの中心都市ガザ市の包囲を完了したと明らかにした。大規模な市街戦はいつ始まってもおかしくない。
ハマスとの大規模な衝突以降、イスラエルは周辺国に拠点を置く親イラン組織などとも交戦している。レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者、ナスララ師は3日に初めて演説し「我々はあらゆる可能性に対して備えがある」とイスラエルに警告した。
一方で、ハマスによる10月7日の奇襲について「パレスチナ人だけの決定、実行だった」として関与を否定した。8日以降、イスラエルとの戦いに参戦したと明言したが、「敵(イスラエル)がレバノン侵攻を始めるなら、大きな過ちだ」などと述べるにとどめ、積極的な対イスラエルの戦線拡大には踏み込まなかった。
ブリンケン氏はイスラエルに続いてヨルダンを訪問するほか、トルコ外交筋によると、11月5日には同国を訪れる計画もある。
周辺国の訪問には、パレスチナ危機の収拾に向け、中東の友好国と協力関係を再確認する意味がある。ブリンケン氏は前回の中東訪問では、イスラエルのほかヨルダン、サウジアラビア、カタールなどアラブの6カ国を回り、紛争が地域に飛び火しないよう協議した。
ただ、ブリンケン氏が10月にイスラエルを訪れた際、自らの出自に触れ「私もユダヤ人だ」と述べ、強固な連帯を示したことに対し、中東諸国の間では反発も広がった。ガザの被害拡大で、地域の反イスラエル感情はさらに強まっている。
ブリンケン氏の前回訪問に続くはずだったバイデン大統領の10月18日のヨルダン訪問は直前に中止となった。前夜に起きたガザの病院爆発を受け、アラブ側が態度を硬化させたためだ。同国のアブドラ国王やパレスチナ自治政府のアッバス議長、エジプトのシシ大統領との首脳会談は実現しなかった。
ヨルダンのサファディ外相は今月2日の声明で、ブリンケン氏との会談で「ガザでのイスラエルの戦争を直ちに止める必要性を訴える」と述べた。
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