空爆で更地になったガザ地区を、ネタニヤフ政権は返すだろうか?
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『 まだ、地上部隊が本格的に侵攻していないガザ地区ですが、ネタニヤフ首相は、絶対にハマスとの戦いを止めないと言っています。彼が言うには、地上侵攻してハマスを根絶した後、ガザ地区から撤退すると言っているのですが、これは果たして信じられるのでしょうか。空爆で更地になったガザ地区は、新しく都市設計をして、入植するには絶好の条件です。多くの犠牲を払って占領下に置いた地域を、簡単に手放すとは思えないのですね。
この考え方の根拠になっているのは、ガザ地区の反対側にあるヨルダン川西岸地域の「入植」と呼ばれるイスラエルの力ずくでの領土侵犯が、ネタニヤフ政権下で行われていたからです。実は、彼自身も政権担当時に結んだアブラハム合意(アラブ首長国連邦・スーダン・モロッコ・バーレーンとの国交正常化)の条件として、「入植」を合意時点で凍結する事を約束しています。しかし、第6次ネタニヤフ政権が発足すると、連立している極右政党の意向もあり、積極的に入植を再開し、パレスチナ人から土地を奪っています。
上の地図で、赤い地域がパレスチナ自治区です。沿岸にある長方形の地域がガザ地区。アリの巣のように右側に点在しているのがヨルダン川西岸地域で、合わせてパレスチナ自治区と呼ばれます。もともと、両地域ともにPLO(パレスチナ解放機構)の流れを組むファタファという政党が第一党で管轄していましたが、世界から集まる支援金を私的流用する腐敗っぷりに反発して、ガザ地区で勢力を延ばしたのがハマスという「政党」です。この政党が武装部隊を持ち、ファタファを追い出して実効支配しているのが、現在の状態で、ハマスは政党であり、そこが持っている武装部隊がテロリスト認定されているハマスです。最初の頃、ハマスは住民の福祉にも力を入れて、病院や食料、ライフラインの手当に手を尽くしていたので、実はパレスチナ人からの支持は高いです。直近の選挙では、議会の過半数を取って制度的には与党になっています。ここで、アメリカとイスラエルの横槍が入って、非常事態宣言を発令する事で、選挙結果の無効とアッバス議長の政権を維持しています。その後、イスラエルに徹底抗戦を訴えるハマスは先鋭化し、ガザ地区の住民を人間の盾にする形でイスラエルにテロ攻撃を仕掛けています。
で、もともとは地図の点線の地域の全部が、パレスチナ自治区だったのです。「入植」によって、イスラエル軍が銃で住民を追い立てて、その場所に建物を建てて実質的に支配していった為、虫食いのような状態でイスラエルが管理する地域が存在します。警察も裁判所もイスラエルなので、パレスチナ人が不法な占拠を訴えても、全部敗訴しますし、受け渡しを拒むと、最悪、撃ち殺されます。イスラエル人がパレスチナ人に対して、何をしても、大概は罪になりません。黒人差別の盛んだった昔のアメリカ南部と考えてもらえれば、近いものがあります。
この「入植」を、アブラハム合意時点で凍結すると約束しても、ネタニヤフ政権は、続けたのですよね。既成事実を作る事で、それを固定化して、結果として自分の領土に編入してしまうわけです。一応、境界としては、地図の点線がパレスチナ自治区ですが、入植された場所では、パレスチナ自治区の法律は通用しません。イスラエルが管轄しています。
過去の実例を見るに、ガザ地区の空爆で更地と化した北部に地上侵攻したとして、そこで侵攻を止めるかどうか、さらには、ハマスを制圧後にガザ地区から撤退するかどうか、極めて怪しいと言えます。恐らく、色々な理由を付けて、軍を常駐させ、結果的にガザ地区のパレスチナ人を、国境を接しているエジプトへ難民として追い払って、自国に組み入れるのではないかと推測できます。それに近い事を、過去にやっているので、そこそこ可能性は高いと思います。もちろん、侵攻中には国際法を遵守して、民間人には被害を出さないという体で、世界からの非難を躱すでしょうが、数十年単位の時間をかけて、自国に組み入れるのじゃないかと言う心配があります。そもそも、ネタニヤフ政権の連立している極右政党は、公然とパレスチナ人を完全に追い出せと言っています。
この問題についてイスラエル側に近く解説する人は、ハマスがテロリズムを仕掛けた事、イスラエルが国際法の手続きを守って、事前告知などの手順を踏んで空爆を行っている事などを挙げて、擁護する立場を取るのですが、長年に渡って、ネタニヤフ政権が「入植」を強行してきた事には触れないのですよねぇ。逆に、パレスチナ擁護に立つ人は、ハマスが民間人の避難を妨害して、人間の盾として、被害が出ている事で国際世論に訴えようとしている事に触れようとしない。つまり、女性や子供が死ぬ程、同情が集まるから有利になるという戦術を取っています。
この地域については、民族の存続を賭けて、綺麗とか汚いとか言う倫理を超えたところで戦っています。両方共に悪と言えます。なので、恐らく、解決不能な紛争なのです。
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