米大統領、イスラエルに人道尊重念押し 地上作戦拡大で

米大統領、イスラエルに人道尊重念押し 地上作戦拡大で
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『【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は29日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話協議した。イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザで地上作戦を拡大するなか、国際人道法を尊重して一般市民の被害を避けるように念押しした。

米ホワイトハウスによると、バイデン氏は「イスラエルにはテロから市民を守る当然の権利と義務があり、民間人の保護を最優先する国際人権法と整合的にそうすべきだ」と伝えた。ガザへの人道支援を直ち…

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『ガザへの人道支援を直ちに急増させる必要があるとも訴えた。

バイデン氏は29日、エジプトのシシ大統領とも電話し、ガザに住む民間人への支援を拡大させていく方針を確認した。支援物資はエジプトとガザの境界に位置するラファ検問所から搬入されており、支援拡大に向けてエジプトの協力が不可欠になる。

バイデン氏の発言には、イスラエルに対して自制を求める国際世論への配慮がにじむ。国連総会は27日の緊急特別会合で人道回廊の設置や人道的休戦を求める決議を採択し、アラブ諸国もイスラエルへの批判を強めている。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)も29日、CBSテレビでハマスがイスラエルの攻撃を避けるため民間人を「盾」に活用していると批判しつつ「だからといって(イスラエルが)無実の民間人を守る責務が軽くなるわけではない」と話した。

イスラエル軍は、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦闘で攻勢を強めた。ガザへの地上作戦を拡大し、民間人の死傷者が増えている。

ガザで起きていた通信障害は29日までに解消に向かったもようだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、バイデン政権がイスラエルに通信妨害を停止するよう求めた。人道支援などの調整が難しくなり、国際社会で批判が広がっていた。

バイデン政権はイスラエルとハマスの戦闘激化を受け、中東の他地域でも軍事的緊張が一段と高まると警戒する。これまでに親イラン武装勢力がシリアやイラク駐留米軍をロケット弾や無人機で攻撃していると非難してきた。

サリバン氏は29日のABCテレビのインタビューで「イランや親イラン勢力が米兵を攻撃すれば我々は反撃する」と重ねて明言した。「イランは我々のメッセージを理解していると思う」とも話し、自制を要求した。

米軍は26日、シリア東部でイラン革命防衛隊や親イラン武装勢力が使っていたとされる兵器や弾薬の貯蔵施設2つを空爆した。

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察 イスラエル支持が強いアメリカ国内でも、ガザのパレスチナ人の人道危機を求める声は強く、国内政治の分断要素となりかねません。バイデン大統領の所属する民主党では、左派のパレスチナ系のラシダ・タリーブ下院議員が、X(旧ツイッター)でパレスチナ支援とイスラエル批判を発信しています。これに対して共和党右派の親トランプ派で「お騒がせ議員」として有名なマジョリー・テイラー・グリーン下院議員が問責決議案を提出しています。民主党内もイスラエル支持議員は多いのですが、左派との結束を維持するためには、また国際世論をイスラエルを批判するロシアなどに有利にさせないためにも、イスラエルに釘をさす必要があるのでしょう。
2023年10月30日 8:29 』