イスラエル、ガザ北部の病院周辺空爆 レバノンにも反撃
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『【エルサレム=共同】パレスチナ赤新月社は29日、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ北部ガザ市にある同団体系列のアルクッズ病院周辺に空爆を続けたと発表した。軍は28日に「戦争が新たな段階」に入ったとして本格的な地上侵攻に向けて攻撃を強化。病院やその地下にイスラム組織ハマス関連施設があるとみている可能性がある。民間被害が拡大すれば、国際的な非難が高まるのは必至だ。
イスラエルは赤新月社に病院から退避するよう重ねて要求しており、周辺への空爆で威嚇する狙いがありそうだ。29日にはガザに加え、レバノンやシリアからイスラエルへロケット弾攻撃などがあり、イスラエル軍は両国のロケット発射地点などを報復攻撃した。
パレスチナ赤新月社は声明で「病院には酸素発生器や自家発電機もあり、攻撃を受ければ大規模な火災が発生する」と強調し「イスラエル軍により、病院に避難する市民や患者が危険にさらされている」と非難した。
イスラエル軍の地上部隊は29日、ガザ北部の海岸沿いなどでハマスと衝突、ハレビ参謀総長は「われわれはガザの内部と入り口で敵を激しくたたきのめす段階にいる」と兵士を激励した。
軍によると、ハマスが拘束する人質が新たに確認され、計239人になった。軍当局は29日、ガザに供給する水の量を増加させたと発表。地元メディアによると、担当者は「ガザで水が不足することはない」と語ったが、実際に市民に行き渡るかどうかは不明だ。
レバノンのイスラム教スンニ派系武装勢力はイスラエル北部へロケット弾15発を発射したと発表。軍によると、北部キリヤトシモネの建物が破壊された。軍は報復攻撃をしたほか、ハマスを支援するレバノンの民兵組織ヒズボラの対戦車誘導ミサイル部隊も空爆した。
シリアからの攻撃主体は不明だが、シリア人権監視団(SOHR)は29日、イスラエル軍がシリア南部ダルアーを空爆したと発表した。
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細谷雄一
慶應義塾大学法学部 教授
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分析・考察
イスラエル軍は、自国の防衛のための正当な自衛権行使としてガザにおけるハマスの武装拠点を攻撃する必要性を確信しているが、他方でそのことが国際世論からの非難に繋がることを、イスラエル世論の一部やアメリカ政府は深刻に懸念しているのだろうと思います。
ハマスの武力攻撃でイスラエル軍がガザに報復的な侵攻をすることを、当然ながらハマスは想定しており、それだからこそ記事にあるように「病院やその地下にイスラム組織ハマス関連施設があるとみている可能性がある」。
それにより、イスラエル軍の攻撃が一般市民や病人に犠牲を生むことを、国際世論が非難することを想定してのことであろう。現時点でその難問への解は不在に見えます。
2023年10月30日 11:49 』
