危機交渉における「弱さを偽る」戦略(上)

NIDS
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Tokyo Japan
防衛研究所 National Institute for Defense Studies
NIDSコメンタリー
第282号 2023年10月26日
危機交渉における「弱さを偽る」戦略(上)
—理論的前提とロシア=ウクライナ間の危機交渉の事実関係
http://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary282.pdf

 ※ この文献は、絶対見といた方がいい…。

 ※ 「交渉」が成功または失敗するのか、戦争になるのかならないのかを、考察する時の、「考え方、考察、分析」の「概念、枠組み」について、語っている…。

 ※ これは、「前編(前振り)」なんで、「後編(「危機交渉における『弱さを偽る』戦略(下)——明確な脅しを欠いたロシアによる危機交渉の論理」)の掲載が、待たれる…。

 ※ こういう「緻密な」考察の論稿を読むと、巷間流通している「有識者の解説」や、「コメンテーターのご発言」が、いかに「雑駁」で、まともな「批評」に耐え得ないものであるのかが、まざまざと分かるな…。

『政策研究部防衛政策研究室研究員本山功

はじめに
本稿は、2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの全面侵攻(以下、ウクライナ侵攻/侵
攻)について、その開始直前の危機交渉にみられた特徴と戦略的背景を説明することを試みる。

ロシア
は、その侵攻に先立って、2021年秋頃からウクライナとの国境地帯に軍を集結させ緊張を高めてき
た。

しかしながら、ロシアはその侵攻開始まで侵略的意図を否定し続け、カ、つ、ウクライナはもちろ
ん、交渉相手とみなしうる米国やNATOに対しても、明確で最大限の脅しを発することはなかった。

このことは、戦争を交渉の失敗と捉える国際政治学や強要•抑止論における見方を単純に当てはめれば、
不可解なことといえる。

本稿は、このような一見不可解にみえる現象の背後にある戦略的論理を理論研
究の紹介を通して読み解き、侵攻直前のロシアの行動を理解する一助となることを企図する。

本稿では、ウクライナ侵攻直前の時期にロシアとウクライナ、又はロシアと米国•NATOとの間で行
われた危機交渉が、なぜ明確な脅しを欠いたものであったかについて、国際政治学における合理的選択
論に基づいた理論を用いて説明しようと試みる。

ウクライナ侵攻が我々の社会に与える影響は大きく多
岐に及ぶため、この戦争に関する研究は、国際政治研究や地域研究の文脈に限っても、多様な問いとア
プローチをもつ。

研究者たちが掲げる代表的な問いの対象としては、例えば、戦争の原因I戦争の様態
‘戦争が他地域に与える影響3、戦争の将来(激化•拡大や終結)くなどが挙げられる。

また、それぞれ
の問いに答えるアプローチとしても、ロシアやウクライナなど各地域の抱える歴史的経緯や、近年の政
治•社会的背景から答えようとするものや、国際政治一般にかかる理論を用いて説明しようとするもの
などが存在する5。

その中で本稿は、侵攻開始前の交渉におけるロシアの戦略について、国際政治の理論
の一つである危機交渉の理論による解釈を行う。

そのため、この戦争の原因や様態、将来の見通しなど
について直接的に扱うわけではないし、ロシア・ウクライナ地域が抱える歴史的背景についての考察に
も限界がある。

しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻を非合理的だと解釈したり、交渉理論にょ
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る説明の限界を示す事例だと解釈したりするのではなく、抑止論や強制外交論を下支えする合理的選択
論の範疇でロシアの行動を統一的に説明できることを示すという点で、本稿は一定の役割を果たす。

本稿は以下のように構成される。まず第1章において、戦争を交渉の失敗と捉える国際政治学上の見
方を紹介し、その見方によれば強制外交では脅しの信憑性が問題となることを説明する。
さらに第2章
において、国際危機に臨む国家が脅しの信憑性を確保するためにとりうるシグナリングの手法について
説明する。

次に第3章では、今般のウクライナ侵攻直前の事実関係を概観し、ロシアによる明確な脅し
を欠いたまま交渉が行われたことを確認する。

そして第4章では、そのようなロシアの行動は、第1章
や第2章で説明した理論を単純に援用すると不可解なものと解釈できることを示す。

これに対して、後
編(下)の第5章では、合理的選択論が、そのような一見不可解な行動についても統一的に説明するよ
うな論理を提供していることを理論研究の紹介を通じて示し、最後に第6章において、その論理を今般
の事例に当てはめてロシアの行動を解釈する。

第1章危機交渉の理論
戦争と交渉
現代の国際政治学には、国家等のアクターのもつ選好とアクター間の戦略的相互作用を分析の主眼に
おき、国際社会にみられる戦争や平和、外交、経済関係、国際組織や制度といった様々な事象を、各ア
クターが互いに影響を及ぼし合いながら下した戦略的な意思決定の産物と捉えるような枠組みが存在す
る6。この枠組みの下では、国際政治は希少な財を巡る争いと捉えられ、各国家は、自身の望むかたちで
財が配分されるよう交渉(bargaining)を行っていると認識される7。
このような認識のもつ特徴として、戦争の勃発を、政治の失敗としてではなく交渉の失敗として捉え
ることで、平時に行われる政治との間に連続性を見出していることが挙げられる。このような見方は、
古典的には、カール・フォン・クラウゼヴィッツ(Carl v〇n Clausewitz)が戦争を「政治におけるとは
異なる手段をもってする政治の継続」8と表現したことにまで遡れるが、冷戦期の戦略家であるトマス・
シェリング(Thomas C. Schelling)が「ほとんどの紛争状況は本質的に交渉状況である」’との考えに基
づく研究を始めた頃から、現代の社会科学的研究にも用いられるようになった。この考えに基づいた紛
争研究では、国家間の相互作用をゲーム理論などに立脚した交渉モデルを用いて分析することによっ
て、戦争の開始、遂行、終結などに関する問いに答えようと試みる。なお、ここで用いられる交渉とい
う語には、その日常的な用法でしばしば想起される「話し合い」という意味に留まらず、後述のような
パワーの存在を背景とした(日常語でいう)「脅迫、恐喝」という意味も含まれうる。
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戦争を交渉の一形態として捉える見方では、次のような命題を議論の出発点とすることが一般的であ
る。すなわち、戦争遂行にかかる莫大なコストを考慮すると、合理的なアクターにとって、戦争で対峙
する両者ともが戦争よりも好ましいと捉えるような合意が本来存在する、というものである僅。戦争
は、財政や経済上の費用が嵩むというだけでなく、人々の生活や尊厳、時にはその命までも損なわせる
という意味で、多大な社会的コストを強いるものである。このような莫大なコストを考えると、領土や
資源、又はなんらかの政治的権益を得たり失ったりするような戦争の結果について、そこへ交渉によつ
て戦争なしで到達できるのならば、勝者も敗者もそれを受け入れるはずである。このような意識のもと
で、なぜ戦争が勃発し、継続し、終結する(しない)のかを探る研究は、どのような要因が平和的交渉
解への合理的な到達を阻害するのかを探索してきた11。それらの研究は、戦争の発生や抑止の失敗を非
合理的決定の産物であるとは見なさず、合理的に戦争が発生しうる環境や条件を模索するものである。
交渉による平和解への到達を阻害する要因の一つとされるのが、情報の不完備性である立。国際関係
において他国の意思や能力を正確に読み取るのは困難である。そして、その読み違えは、各国が抱く
「戦争の結果」についての期待や認識に直且菅吾を生むことになる。そして、各国の「戦争の結果」につい
ての期待は、合意可能な交渉解を検討するうえでの土台となるものであるため、その期待についてのズ
レは、交渉解の成立を阻んでしまうこととなる。
強制外交
このような国際関係における情報の不完備性の問題を考えると、外交によって国家の意思を正確に伝
達することで、不合理な戦争を回避しようとする考え方には一定の説得力を見出せる。その中でも特
に、国際関係における脅しや軍事的威嚇に着目して、その意図が正確に伝わらないために戦争を回避す
ることができないとするのが強制外交論である也
強制(coercion)とは、脅しによって相手の行動を変化させようとする政策のことであり、たいてい
軍事的威嚇を伴う。強制を試みる国家は、要求に従わなければ被害や損害を与えるという脅しを他国に
対してかけることで、他国に本来望まなかったような行動をとらせようとする。シェリングは、国家に
よる軍事力の使い方を「力づく(brute force)」と「強制」とに分類して、武力を直接使用して目的を
達成する方法(前者)と、武力を脅しのための手段として間接的に用いる方法(後者)を区別した生
なお、強制の政策はその目的を現状維持とするか現状変更とするかによってそれぞれ抑止(deterrenc-
e)と強要(compellence)に分類されるが糾 本稿では次節以降、現状変更を試みる国が武力行使の脅
しを行う強要の側面を取り上げる。またその際、現状変更のために脅しをかける国を「挑戦国」、脅し
をかけられた現状維持を試みる国を「防衛国」と呼ぶことにする。本稿で強要を取り上げるのは簡単の
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ためであるカヾ、抑止と強要は根本的には同質であり、後述の信憑性や決意の伝達というテーマは抑止に
おいても議論の中心となる。
このような強制の概念を念頭におくと、国家同士が希少な財を巡って繰り広げる交渉において、ある
国が軍備や武力を用いて他国を傷つけるカ(power to hurt)は、その国に交渉カ(bargaining power)
をもたらす源泉になると考えられる低。ある国が脅しによって相手国の行動を望み通りに変えた場合、
その強制は成功したとみなされる。強制が成功するためには、相手国が、①要求に従わなかった場合に
は脅しが実行されると信じていることと、②脅しが実行され戦争に至るよりも譲歩して財を諦める方が
好ましいと考えていることが必要である。すなわち、強制は、脅しを受けた相手国をして戦争を忌避さ
せることで譲歩を引き出そうとする政策であり、戦争によって相手国を傷つける力がその交渉力を下支
えしているのである。
危機交渉
戦争や武力行使の脅しを背景とした交渉が国家間で行われ、まだ実際の戦争には至っていないような
状況を国際危機と呼び、そこで行われる交渉を危機交渉(crisis bargaining)と呼ぶ。戦争と平和の関係
を連続的に捉える前節での認識に基づけば、危機交渉は、両者の際(きわ)にあたる部分で行われると
いえる日。このような危機交渉において国家は、軍事行動や脅し、譲歩などの手段を通じてコミュニケ
ーションをとるものと理解される吐
そのコミュニケーションにおいて重要となるのは、前節の強制外交の考え方に基づけば、脅しの信憑
性(credibility)をいかに確立するかという点である。信憑性は、主に抑止論の文献で発展してきた概念
であり、パトリック・モーガン(Patrick M. Morgan)によれば脅しカヾ「信じられている質」のことであ
る也 ある脅しが機能するためには、要求を受け入れなければその脅しが本当に実行され受け容れがた
い危害が加えられるであろうと、脅された側に信じてもらう必要がある2°。したがって、脅しの信憑性
の源泉となり、ひいては危機における交渉に成功をもたらすのは、(脅しを堅持して実行したり、脅し
に抵抗したりすることで結果的に)戦争に至ることも辞さないという国家の政治的意思の強さである。
この政治的意思は決意(resolve)と呼ばれ、その国の相対的な軍事的能力と、危機の争点となる課題に
ついてどの程度の価値を見出しているかという2要素によって決められると考えらえるい。この決意が
相手国に伝わることで脅しの信憑性が確保されて、ひいては譲歩を引き出すことに繋がるため、危機交
渉における各国は、武力行使も辞さないという決意を競い合う(contest of resolve)ことによって交渉
に競り勝とうとするのである22。そこで各国は、先述の危機交渉におけるコミュニケーションを通し
て、自国の決意を相手国に伝達して脅しの信憑性を確保しようとするのである。
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この信憑性を確保しようとする試みは、2種類の困難に直面する23。第一の困難は、脅しをかけた挑
戦国が本当に武力行使の意図をもつのかを、脅しをかけられた防衛国からは直接観測できないことであ
る。国際危機において、相手国に武力行使の意思があるか、十分な軍事的能力を持っているかという情
報には不確実性が付きまとう。そして、戦争が一般に大きなコストを伴う悲惨な行為であることを踏ま
えると、挑戦国が防衛国に対して、その戦争のコストやリスクを負ってでも係争中の財を勝ち取りたい
という選好を持っていることを十分に示せなければ、脅しの信憑性が確保されないのである。第二の困
難は、この不確実性の存在によって、挑戦国が、本当は武力行使の意図がないにも拘らず、譲歩を引き
出すためにその決意があるように偽る誘因を持つということである2んここで仮に、挑戦国が、戦争コ
ストを受け入れるほどの高い価値を係争中の財に見出しておらず、したがって武力行使の決意がない場
合を考える。この場合でも、挑戦国が決意をもつふりをし続け、(第一の困難で議論した通り、防衛国
は挑戦国の決意の有無を直接観測できないため)防衛国がそれを信じて譲歩してくれれば、結果的に危
機が戦争に繋がることはなく、挑戦国は戦争コストを負わずに有利な交渉解を得られるのである。こう
して、危機交渉において対峙する国のうち、決意の相対的な強さが勝る方の国が相手に譲歩を強いるこ
とができるとすれば25、決意の有無にかかわらずそれをもっているように偽る誘因が生まれるのであ
る。
国際危機に臨む国家は、武力を背景とした脅しによって目的を達成しようとするカヾ、国際関係に内在
する情報の不確実性や戦争コストの存在によって、武力行使の決意を相手国に確実に伝えられなけれ
ば、その脅しの信憑性を確保することができない。さらに、そのような不確実性に起因して、脅しをか
けようとする国には武力行使の決意を「装う」誘因が働くため、脅しは本気であると単に伝えるのみで
はその信憑性を確保することはできないということである。
第2章国際危機におけるシグナリング
このような脅しの信憑性に係る困難を解決するために、国家は、危機交渉におけるコミュニケーショ
ンにおいて武力行使の決意をもつ国家をそうでない国家からを差別化するようなシグナルを発すること
で、自国の脅しがカラ脅しでないことを示そうとする26。そのような手法はコストのかかるシグナリン
グ(costly signaling)とよばれ、少なくとも3種類のメカニズムが存在し、それぞれ、埋没費用、瀬戸
際外交、自己拘束と呼ばれている27。現実に行われる種々のシグナリングには、これらのメカニズムの
うち複数の性質を兼ね備えるものが多く存在するが、本節ではまず理念型を考えることでそれぞれの性
質の違いを検討する。
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埋没費用のメカニズム(sunk costs)は、係争中の財へ高い価値を見出している国家でなければ支払
えないような負担を自ら負うことによって、戦争コストを負う決意がない国家から、決意をもつ国家を
差別化しようとする試みである28。すなわち、戦争コストを負ってでも財を確保するために脅しを実行
するか、戦争コストを回避するために脅しを撤回して財を諦めるかという最終的な意思決定に先立つ
て、予め莫大な負担を必要とする行動をとってしまうことで、財を巡って争う決意を伝達しようと試み
るのである。そのようなコストを支払うために、危機に臨む国家は、予備役兵を含む大規模な軍事動員
や部隊展開を行ったり、軍備拡大を行ったり、核兵器を外国展開して維持したりする29。これらは単に
財政的な負担を要するのみならず、経済•社会的コストも引き起こすと考えられる。例えばイスラエル
における予備役兵の全面動員は経済活動へ与える影響が非常に大きく、長期間維持することが困難であ
ると考えられることから、危機における情報伝達効果が高いとされている3°。
瀬戸際外交のメカニズム(brinkmanship)は、核による脅しの信憑性が疑問視される中で考案された
考え方であり、「偶然に委ねる脅し」31によって一見不合理にみえる脅しの信憑性を確保しようとする試
みである。前節での記述の通り、脅しに信憑性の問題が伴う原因の一っとして、その実行には多大な戦
争コストがかかることが挙げられる。この問題は核兵器の登場と第二撃能力の確立により深刻化した。
つまり、相互確証破壊の状況下では、ある国による核使用は(相手国からの報復によって)その国自身
への壊滅的被害をもたらすものとなるため、核による脅しはその実行についての信憑性をもたなくなる
ということである。この信憑性の問題を解決すると考えられたのが、国際危機において、各国が一歩ず
つ核戦争の「瀬戸際」へと近づいていくような措置を取り合うことで自国の決意を伝達し合おうとする
瀬戸際外交の政策である。先述の「偶然に委ねる脅し」はその中核となる概念であり、危機において各
国の指導者が、自身の意思決定の手を離れて、意図せざる結果として偶然核戦争へ至ってしまうような
状況を、意図的に作り出すことで相手国への信憑性をもった脅しが実現するというものである。すなわ
ち、核攻撃の脅しは、相互確証破壊の状況下では自国にも破滅をもたらすため意図的には実行されない
と考えられうるカヾ、期せずして核交換へ至ってしまうような危険な状況を作り出すこと自体は意図的に
実行可能だということである。こうして、各国は瀬戸際外交を展開し、互いに競ってリスクをとりあう
ことで自国の決意を示して、国際危機に競り勝とうとするのである32。
自己拘束のメカニズム(tying hands)は、後に撤回しにくいような脅し方をすることで、その信憑性
を確立しようとする試みである。代表的な具体的として、国際危機において公然と脅しを行うことで、
のちにその脅しを撤回した場合に指導者が罰されるような環境を作り出し、脅しが実行される信憑性を
高めようとする手法が挙げられる。脅しによって危機を作り出した指導者はその行動にアカウンタビリ
ティを負い、脅しを実行できなかった場合には自身の能力や指導力に対する評価に悪影響を負うと考え
られ、この悪影響を観衆費用(audience cost)と呼ぶ33。脅しを実行できずに引き下がった指導者が罰
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を与えられる仕組みは、一義的には国内観衆が国内政治過程を通して(民主国の場合は国民が選挙を通
して)実行するものと考えられるカヾ、国際観衆たる諸外国からの評判が損なわれるという経路で実行さ
れるとの考えも存在する。また、冷戦期の西ベルリンのような攻撃を受ける可能性のある重要地点に同
盟国の小規模な部隊を駐留させる、仕掛け線(trip wire)と呼ばれるような政策も、同盟国が自国の拡
大抑止の脅しに信憑性を与えるような自己拘束的行動の一種と理解される。
これらの埋没費用、瀬戸際外交、自己拘束のメカニズムは、先述の通り、すべてコストのかかるシグ
ナルによって決意を示そうとする試みであるが、それぞれ以下のような観点から対比することができ
る。第一に、コストを支払う条件やタイミングという観点を検討する。埋没費用型では、強制の成否や
戦争の有無などの結果にかかわらず、危機の起点となる脅しに伴って「事前に」コストが支払われ、挑
戦国の負担となる。これに対し、自己拘束型では、挑戦国の指導者が実際にコストを負わなければなら
なくなるのは脅しを実行できず強制に失敗した場合のみであり、強制が成功した場合はもちろん、危機
が戦争へと至ってしまった場合でも(戦争コストは負うものの)観衆費用を負うことはないことから
「事後」的なコストであるといえる。また、瀬戸際外交型は、戦争コスト自体を確率的に背負うことで
コストのかかるシグナルを発しようとするものであることから、実際にコストを支払うのは、強制の成
否にかかわらず危機が戦争に至ってしまった場合のみといえる。
第二に、それぞれの手法がどのような国に用いられるかという点を検討する。埋没費用型の脅しは、
「決意をもつ国」がその決意を伝達するのに適した手法といえる。決意をもつ国は、脅しに伴って大き
なコストを事前に支払うことで、大きなコストを負ってでも得ようとするほどに高い価値を係争中の財
について見出していること示す。決意をもたない国は、すなわち財に対する価値評価が低いため、大き
なコスト負担に耐えられず、この手法をとることに適さない。そのため埋没費用型のコストの支払いが
決意をもつタイプともたないタイプを差別化できるのである。このように、埋没費用型の脅しが単に、
決意をもつ国が信憑性をもってそれを伝達できるようにするための手段である一方で、自己拘束型の脅
しは、決意をもたない国が決意をもつような環境を作り出すこともできる手法といえる。公然の脅しに
よって指導者が観衆費用を負うということは、言い換えれば脅しを撤回する際の期待利得を下げるとい
うことであり、脅しを実行するという選択肢の相対的な魅力を高める行為といえる。自己拘束型の脅し
は、自身のインセンティブを操作することでその信憑性を高める手法であり、決意をもたなかった国
が、危機を通して決意をもつ(すなわち、引き下がるよりも脅しを実行して戦争を選びとるような選好
をもつ)に至る場合があるのが特徴といえる。これらに対して瀬戸際外交型の脅しは、危機に臨む各国
の相対的な決意の高さを競い合うものであり、決意をもつ国にとって特に有利であるという意味で埋没
費用型の脅しに近い性質をもつが、決意を持たない国にとって元より実行不可能な埋没費用型と異な
り、決意をもたない国がある程度実行可能な政策であるともいえる。
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第3章 ロシアによるウクライナ侵攻直前の経緯
以上でみてきた国際政治学における交渉の考え方は、今般のウクライナ侵攻直前の各国関係について
も適用できる。本章では、侵攻開始直前の事実関係を整理することで、ロシアからウクライナや米国•
NATOに対して明確な脅しがなかったことを確認する。なお、以下の情報のうち、現在も続くウクライ
ナ侵攻の当事国や関係国の指導者などの公式な発言やメディアへのリークについては、その発信が意図
的で選択的である可能性があることを付記しておく。また、肩書は当時のものである。
ロシア・米国(軍事的緊張の高まりとロシアによる侵略意図の否定)
ロシアは、2014年にクリミア侵攻を行った後、東ヨーロッパ地域での軍の集結や演習を繰り返して
きた。その中でも、2021年の春にはとりわけ大規模な軍の集結が行われた。4月には、ウクライナとの
国境付近や占領地域に集結したロシア軍が10万から12万人に達したと報じられた34。ロシアはその目
的を「抜き打ち検閲」のためであると説明したものの、専門家らは部隊の動きが現実の軍事行動の準備
を示していると指摘し、その目的が強制であると分析した35。この動きによって高まった軍事的緊張
は、ロシアによる抜き打ち検閲終了の発表と部隊の一部撤収により、同年夏前には鎮静化した。
しかしながら、2021年秋頃にはロシア軍が再びウクライナの国境地域に集結し始めた。米国では、
ロシアが当初より実施を予告していた演習の終了後にも部隊を引き上げないことを受けて、10月には情
報コミュニティから国家安全保障会議(NSC)に対して、ロシアによるウクライナへの侵攻の可能性が
報告されている36。その後、米国はロシアの侵攻意図を見抜いていると示す「情報攻勢」37を行うように
なり、10月末から一般にも軍事的緊張の高まりが報じられるようになったほか、12月にはメディアへ
の情報開示を通じてロシアによる侵攻の可能性を指摘するようになった。その後も、米国政府はロシア
に対して侵攻の招く結末を警告しつつ、2022年1月には、バイデン大統領が公式にロシアによる侵攻
の「明らかな可能性」38を明示した。特に、この1月から2月24日の侵攻開始まで、米国政府は、収集
したロシア軍の動きに関するインテリジェンスの公開や、国務省によるファクトシートの公開などにょ
って、ロシアによる侵攻の可能性が高いことを訴え続けた39。
このような米国政府やメディアによる言説に対して、ロシア政府当局は、一貫して侵攻の意図を否定
し続けた。2021年12月2日の米口外相級会談後の共同記者会見では、将来的に侵攻が実現すれば経済
制裁を課すこと示唆したブリンケン国務長官に対して、ラブロフ外相は「ロシアは戦争を望んでいない
がNATOの拡大が安全を脅かしているのだと応酬」如した。2022年1月に偽旗作戦の計画が米国によっ
て暴露された際にも、ロシアのペスコフ大統領府報道官が偽旗作戦や侵攻の意図を否定したも。さら
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に、ロシア国内のメディアも、西側諸国が主張するロシアの脅威は架空のものであるという言説や、ウ
クライナこそが地域での紛争拡大を引き起こそうとしているという言説を流布し続けた42。さらにロシ
アは、2021年12月に米国とNATOに向けて行った要求が2022年1月に米国によって拒否された(米
国は、主な要求であったNATOの不拡大を明確に拒否し、ミサイル配備制限等の措置について交渉が可
能であるとした)のちにも、ペスコフ報道官が「楽観できる余地を残さなかった」としつつも「対話を
継続する見通しは常にあり、それは我々とアメリカの両方の利益になる」43と述べたり、ラブロフ外相
が「真剣な対話の開始に希望を与える」44と評価したりしていた。その後も、2月の侵攻開始までラブ
ロフ外相が侵攻の計画や意図を繰り返し否定したり45、米国が在キエフ大使館を閉鎖した後でさえ、外
交的解決の余地を残し続ける方針に対してプーチン大統領が「肯定的に反応した」とロシア系メディア
で報じられたりした46。さらには、侵攻開始の前週にはロシアの国連次席代表(大使)が「これらは全
て西側の皆さんの頭の中で起こっている」と述べたり、国防省が「南部・西部軍管区からの兵員が演習
を完了し駐屯地へと帰還しつつある」と公表したりしていた47。このように、ロシアは、ウクライナへ
の侵攻意図を否定し続けるとともに、ウクライナを巡る危機は外交手段によって解決が可能であるとの
姿勢を繰り返し示していた。
こうして、ロシアからウクライナあるいは米国やNATOに対して、具体的で現実的な要求はなされ
ず、要求が受け入れられなければ侵攻を招くという明確で最大限の脅しも発せられなかった。米国シン
クタンクの専門家の中には、2021年12月に米国やNATOに発せられた要求を最後通牒と捉える見方も
存在している48。実際に、2022年1月に要求が拒否された際には、プーチン大統領がテレビ番組におい
て「適切かつ報復的な軍事技術的措置をとり、非友好的な措置に厳しく対応する」と述べ侵攻の可能性
を示唆したことも事実である49。しカ、しなカヾら、プーチン大統領は同時に、「我々にはそうする権利があ
ることを強調したい」50と述べており、2021年7月に公表した論文において示した歴史観を繰り返して
いたに過ぎないといえる。そして、このような歴史観に基づく主張自体は、「挑発的な内容であること
はたしかだとしても、ロシアがウクライナに攻め込むと予告するような内容であるわけでもない」うIと
考えられる。さらに、ロシア政府によって侵攻の意図が一貫して否定され続けていたことからも、ロシ
ァは、侵攻を示唆しつつ具体的な要求を発するような脅しは発していなかったといえる。旧ソ連地域を
専門とする研究者が、当時、ロシアは軍事的緊張を高めたことにより一定の外交的勝利を得たと認識し
ていたのも52、ロシアによる要求が最後通牒的な性格を帯びていなかったことの傍証となりうる。
欧州諸国(外交的解決を模索する独仏)
軍事的緊張の高まりから侵攻の可能性を警告する米国とそれを否定するロシアに対して、欧州諸国の
受け止めはまちまちであった。米国から欧州諸国への情報提供は、1〇月末頃から始まった。イギリス、
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フランス、ドイツの3か国が、10月末にローマで行われたG20の際にバイデン大統領からある程度詳
細なインテリジェンスの提供を受けたほか、NATOに加盟する30か国(当時)は、11月中旬の北大西
洋評議会においてヘインズ国家情報長官からロシアによる侵攻を示唆する情報を提供された第。しかし
ながら、フランスとドイツを含む多くの国々は、このような警告に対して懐疑的であった54。このよう
な懐疑的態度は、2003年のイラク戦争時から米国のインテリジェンスが政治的操作を受けやすいと考
えられていたことに加え、情報提供の直前にあたる2021年8月に行われた米軍のアフガニスタン撤退
時に米国のインテリジェンスコミュニティがアフガニスタン政府の持久力を過大評価していたことなど
が要因で形成されていたとされる。一方で、イギリスとバルト三国は例外的に、ロシアによる侵攻の可
能性を深刻に受け止めたとされる55。この、侵攻の可能性に懐疑的なドイツやフランスと深刻な懸念を
持つイギリスという構図は、侵攻意図を否定するロシアへの対応や危機へ臨む路線にも違いをもたらし
た。前者は外交的な努力によって危機を解消しようとする路線に立ち、後者は抑止や武器供与によって
侵攻に備える路線に立ったのである。イギリスでは、12月にラダキン国防参謀総長が「ウクライナへの
全面侵攻という最悪のシナリオの深刻さは、ヨーロッパでは第二次世界大戦以来見られなかった規模に
なるだろう」56と述べたほか、ロシアによる侵攻意図の否定に対してもトラス外相やウォレス国防長官
が反論しつつ抑止を試みる発言を続け57、2022年1月にはウクライナへの対戦車兵器の供与を発表した
58〇 —方で、フランスのマクロン大統領は、11月から2022年2月までプーチン大統領との電話会談を
繰り返し行い、2022年2月の侵攻前にもバイデン大統領とプーチン大統領との首脳会談を提案した5七
また、ドイツはショルツ首相のもと、天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の認可停止や武器
供与を拒み続け、駐米ドイツ大使が本国に向けて「(ドイツカヾ)信頼できないパートナーと見なされて
いる」と忠告するほど消極的な対応をとり続けた6°。
ウクライナ
さらに、侵攻を受ける当事国であるウクライナ自身でさえ、本格的な侵攻の蓋然性が高いと判断して
いたか定かではない。ウクライナのゼレンスキー大統領は、10月末から11月初旬にかけてスコットラ
ンドで行われたCOP26において、米国のブリンケン国務長官からロシア軍の集結や侵攻の可能性につ
いて、一対一での情報提供を受けた叫 その後もウクライナは米国から継続的に情報提供を受け続け、
軍事的緊張の高まりを深刻に捉えていた。しかしながら、ロシアによる肩透かしを繰り返し受けてきた
経験や、国内的なパニックを引き起こすことによる経済崩壊への恐れなどから、ウクライナから発せら
れるメッセージは硬軟入り混じる内容となった。ある一方では、ゼレンスキー大統領は、11月頃からロ
シア軍の動きを警戒したり戦争へのエスカレーションの可能性を指摘したり、戦争が起きた場合にウク
ライナ軍が抵抗する準備ができているという発言を繰り返した62。しかし他方では、2022年1月末には
「ウクライナはタイタニック号ではない」と述べつつ、2021年春の危機よりも大きな脅威はないとの
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NIDSコメンタリー第282号
評価や、西側諸国の警告により国内がパニックに陥り状況が不安定化することへの懸念を示した63。こ
のほかにも、侵攻の危険を否定する発言を繰り返したり、「悠長な」64軍の増強計画を承認したりするな
ど、ゼレンスキー大統領に米国等の警告がどれほど深刻に伝わっていたかは定かでない。
脅しの欠如
以上の侵攻開始直前の事実関係を踏まえると、次のことが明らかになる。第一に、ロシアからウクラ
イナや米国•NATOなどに対して、全面的な軍事侵攻を示唆する明確な脅しは発せられておらず、また
その程度が侵攻直前に最大限に達したようには見受けられない。第二に、軍事的緊張の高まりに対する
各国の認識は様々であり、米英がロシアによる侵攻の脅威を深刻に受け止めているのに対して、独仏は
比較的穏健であり外交的手段で解決できる可能性が高いと捉えていたようである。また、ロシアによる
明確な脅しが欠けていたこともあり、ウクライナ自身もロシアのもつ侵攻への決意を完全には信じられ
ていないようであった。
ロシアによる明確な脅しがかけていたという認識は、地域を観測し続けている研究者にも共有されて
いるようである。例えば山添博史(2023)は、軍事的緊張が高まる中でドイツやフランスの首脳がモスク
ワを訪問して協議を行うなかで「プーチン大統領は、軍事的解決を要するほどの深刻な問題があるとい
う認識を伝えなかった」65と評価している。また、小泉悠(2022)も、2022年初頭の段階において「軍事
屋」として開戦の可能性を時間の問題だと認識しつつも「ロシア屋」として「プーチンが何をしたいの
か未だにつかめずに」おり、彼らの主張が「どうにも抽象的」であったと回想している66。廣瀬陽子
(2022)は、自身が侵攻開始前に下していた評価について「プーチン大統領が領土的野心を持っていない
という前提で、彼の決定を予測していた」67と振り返っており、ロシア側の要求が不透明であったこと
を示している。
第4章理論の適用
本章では、危機交渉の理論をロシア・ウクライナ間での危機交渉の事例に当てはめて、前章までで説
明してきた理論の単純な適用からは、侵攻の直前にはロシアによる明確で最大限の脅しが観測されるは
ずであることを示す。
ロシアによるウクライナ侵攻を危機交渉の理論から捉えるとき、交渉に関与するアクターや係争中の
財が何であるかという問いについては、互いに排反でない複数の答えが並立しうる。まず、戦争の開始
直前の交渉を行っていると考えられるアクターは複数存在する。交渉の片方の当事者がロシアであるこ
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NIDSコメンタリー第282号
とは間違いないが、もう一方の当事者、すなわち交渉相手は、一義的にはウクライナであると考えらえ
ると同時に、米国やNATOであるとも考えられる。さらに、どのような財を巡る争いなのかという点に
ついても、さまざまな可能性が考えられる。これは、戦争の目的や原因がなんであったかという点と密
接に結びついている。例えば、ロシアやその指導者たるプーチン大統領は、NATOの東方拡大やウクラ
イナの「反ロシア」性を問題視していることから68、ウクライナのNATO加盟に関する政策や、ドネツ
ク・ルガンスクにおける政策の変更を求めた争いであると認識しているかもしれない。また、ウクライ
ナで民主主義体制が成功することをロシアが脅威と認識したことが戦争原因であると考えれば6七ウク
ライナの政治体制やゼレンスキー政権の存続を巡る争いである考えらえる。さらに、クリミアやドンバ
スという領土の帰属を巡る争いと捉えたり、戦争目的が時間とともに変遷していると捉えたりする見方
7°からは、係争対象の財が何であったかについてそれぞれ異なる説明がなされるだろう。
しかしなカヾら、本稿にとっては、いずれのアクターによるいかなる財を巡る争いだったのかという点
は分析の主眼ではない。本稿の目的は、危機交渉におけるロシアの行動の背景にある論理を理解するこ
とであるため、その交渉の対象がウクライナであるか米国•NATOであるか、係争対象となる財が何で
あったかという点は、(ロシアが一方の当事者であるという点に合意がとれる以上は)分析において決
定的な要因ではない。これらが何であったとしても、なんらかの目的を達成するために軍事動員を行
い、国際的な緊張が高まり、さらには全面戦争に至ったというロシアの行動は事実として存在してお
り、これを危機交渉のレンズを通して見ることは可能だからである。
ロシアの目的や想定していた相手がどの国であったかにかかわらず、交渉理論の示唆する通り、強要
が成功し交渉によって譲歩を引き出せれば、戦争による目的達成よりも良い結果が得られることは明ら
かなはずである。軍事侵攻をすること自体が目的であったと考えることは自然ではなく、ロシアが軍事
侵攻を強く好む選好を持っていたとしても、それはなんらかの目的達成のために最良の手段が軍事侵攻
だと認識していたからに過ぎないといえる。これを踏まえれば、ロシアは強要を成功させるためのコス
卜のかかる脅しを行うはずであると考えられる。すなわち、ウクライナや米国•NATOなど、ロシアが
交渉相手とみなすアクターに対して具体的な要求を行い、それらが受け入れられなければ戦争に至ると
いう脅しのメッセージを明確に発するということである。この脅しは、ウクライナとの国境線沿いに軍
を集結させたり、実際に戦争遂行に必要となる物資を整えたりすることによって信憑性を裏付けされ
る。さらに、理論的な予測として、このような脅しは交渉が不調であるほど本格化し、侵攻開始の直前
には最大限のものが発せられると考えられる。
このように、合理的選択論に立脚した危機交渉の理論を単純に援用すると、ウクライナ侵攻前に明確
な脅しを欠いていたロシアの行動は、一見不可解である。この事実は、ロシアという主体の非合理性
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NIDSコメンタリー第282号
や、より一般には国際政治上の問題を合理的選択論で捉えることの限界を表しているという見方を促進
しているかもしれない。しかしながら、危機交渉の理論には、このような行動を(合理的選択論の範囲
を逸脱することなく)統一的に説明する研究が存在する。後編(T)ではそのような理論研究を紹介
し、今般のウクライナ侵攻の事例に当てはめて解釈を行う。
「交渉が目的」か「戦争が目的」か
ロシアによるウクライナ侵攻の開始直前期について危機交渉理論の立場から考えることは、開戦意図を巡
る分析について一つの示唆をもたらす。それは、軍事的緊張の高まりに際して開戦の可能性を分析する際
に、「交渉目的」カ、「戦争目的」かを二分法的に論じることはできないということである。また、これは戦争
への準備の充実度は必ずしも侵攻への本気度合いを反映していない場合があるという点と密接に関連する。
国内論壇では、ロシア軍集結による軍事的緊張の高まりについての分析が、「外交的勝利を得るための駆け
引きの道具と捉え、軍事侵攻の可能性を低く見積もる」見方と「侵攻の準備と捉え、軍事侵攻の可能性をあ
る程度高く見積もる」見方があった、というように対称的な捉えられ方がされる場合がある。例えば、前者
のような見方の例として廣瀬陽子(2022) 71が挙げられる。廣瀬(2022)は、当時の自身の分析について
「ロシアは外交的勝利を獲得すれば、軍事侵攻に及ぶことはないと考えていた。」と振り返りつつ、「なお、
侵攻が『ある』と事前に予測した論者も少なくなかった。特に、軍事専門家は、ロシア軍の配置からして侵
攻が『ないわけない』と考えた人がほとんどだったようだ」としている。実際に、後者のような見方の例と
して挙げられる小泉悠(2022)は、「ロシアが本気だと考える理由は他にもあった」72として、衛星画像によ
って兵士の集結状況や、普段は使用されていない予備飛行場への戦闘機や戦闘爆撃機の展開状況、野戦病院
の多数の設置状況を確認したことをその根拠に挙げている。
侵攻の有無を予測するという観点からいえば、両者の予測には違いがあったため軍の集結を「交渉目的」
と捉えるカ、「戦争目的」と捉えるかは対称的な見方とされるかもしれないが、理論的には両者は整合的•補
完的でありうる。危機交渉の理論が示唆するのは、例え軍事的威嚇の目的が交渉による勝利のみであり、実
際には戦争をする意図がなかったとしても、交渉での勝利を得るためには本気で戦争をする用意があるよう
に装う誘因が働くということである。本稿第2章で述べたように、軍事アセットの集結や大規模な演習は、
威嚇の信憑性を高めるためのコストのかかる脅しの手段であるとも考えられる。そして、その質や量が充実
し、実際の戦争を戦う準備が整うほど、威嚇の信憑性を高める効果は増すのである。強制(抑止と強要を含
む)カヾ、実際に戦争を戦う決意を競うことで相手から譲歩を引き出そうとする戦術であることを踏まえれ
ば、物理的な戦争準備が十分整えられていることは、依然として、交渉による勝利を目的とすることと矛盾
しないのである。
(後編「危機交渉における『弱さを偽る』戦略(下)——明確な脅しを欠いたロシアによる危機交渉の
論理」に続く)
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NIDSコメンタリー第282号
1例えば、 William Spaniel, What Caused the Russia-Ukraine War? (self-pub., Kindle, 2022);小泉悠『ウクライナ戦争』(筑摩書房、2022 年)など。
2小泉『ウクライナ戦争』(筑摩書房、2022年)。
3例えば池内恵(編)『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』(東京大学出版会、2022年)や、鶴岡路人『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮社、2023年)、増田
雅之(編著)『ウクライナ戦争の衝撃』(防衛研究所、2022年)。
4 Hein Goemans and Branislav Slantchev, “Why Ukraine Shouldn’t Talk to Russia一Yet”, The Atlantic, May 17, 2023, https://www.theatlantic.com/ideas/archive/2023/05/russia-ukraine-war-peace-talks-negotiations/674079/.
5後者の例が注1のSpaniel (2022)や注4のGoemans and Slantchev (2023)である。また、本稿の関心から外れるため省略したが、リアリズム等の枠組みでこ
れを説明しようとする試みもある。
6このような考え方に基づいて執筆された代表的な教科書として、Jeffery A. Frieden, David A. Lake, and Kenneth A. Schultz, World Politics (New York, NY:
W. W. Norton &Company, 2010),が挙げられる。また、書籍としては David A. Lake and Robert Powe||, eds., Stmtegic30ice
(Princeton, NJ: Princeton University Press)•が、日本語文献としては、鈴木基史•岡田章(編)『国際紛争と協調のゲーム』(有斐閣、2013年)や多湖淳『戦争
とは何か』(中央公論新社、2020年)がある。
7 Dan Reiter, “Exploring the Bargaining Model of War”, Perspectives on Politics 1,no.1(2003): 27-43.希少な財とは、国境線の位置やある国の政体や政
策、天然資源など様々なものが考えられる。
8カール・フォン・クラウゼヴィツツ(著)篠田英雄(訳)『戦争論』(岩波文庫、1968年)58頁。
9 Thomas C. Schelling, The Strategy of Conflict (Cambridge, MA: Harvard University Press,1960), 5.なお、この引用部にも表れている通り、戦争をある
交渉の失敗と捉えた場合でも、戦争の遂行やその終結に至るプロセスもまた交渉過程と捉えられる。
10 James D. Fearon, “Rationalist Explanations for War”, International Organization 49, no.3 (1995): 379-414.
11詳しく は Robert PowelL “Bargaining Theory and International Conflict ,z, Annual Review of Political Science 5, (2002):1-30.カ、、邦語であれば多湖淳
『戦争とは何か』(中央公論新社、2020年)を参照。なお、具体的にどのような仮定をおくかは研究の関心やモデルの目的によって異なる。
12 James D. Fearon, “Rationalist Explanations for War”, International Organization 49, no.3 (1995): 390-401.
13石田淳「コミットメントの罠ーー現状維持の覚悟と錯誤」鈴木基史・岡田章(編)『国際紛争と協調のゲーム』(有斐閣、2013年)190頁。
14 Thomas C. Shelling, Arms and Influence (New Heaven, CT: Yale University Press,1966), 2-6.
15 Ibid., 69-78.
16 Ibid., v.
17キューバ危機における米ソの駆け引きなどが瀬戸際外交と呼ばれるのは、この戦争と平和の「際」との認識も反映している。
18 James D. Morrow, “Capabilities, Uncertainty, and Resolve: A Limited Information Model of Crisis Bargaining”, American Journal of Political Science
33, no.4(1989): 941-972.
19 Patrick M. Morgan, Deterrence /Vow (Cambridge: Cambridge University Press, 2003),15.訳は筆者であり、原文は”the quality of being believed”〇
20脅しの成功条件には様々な議論があるが、定式化された厳密な議論は、Branislav L. Slantchev, Military Threats (Cambridge: Cambridge University Press,
2011)•や Robert Powe||, Nuclear Deterrence Theory: The Search for Credibility (Cambridge: Cambridge University Press,1990)•および Frank C.
Zagare and D. Marc Kilgour, Perfect Deterrence (Cambridge: Cambridge University Press, 2000).を参照。
21 Glenn H. Snyder and Paul Diesing, Conflict Among Nations: Bargaining, Decision Making, and System Structure in International Crises (Princeton,
NJ: Princeton University Press), 189-190.なお、resolveは、覚悟と和訳される場合もある。
22 Shelling, Arms and Influence,また、”contest of resolve”の語の出典は PoweII, Nuclear Deterrence Theory, 33.
23 James D. Fearon, “Signaling Foreign Policy Interests: Tying Hands versus Sinking Costs”, The Journal of Conflict Resolution 41,no.1(1997): 68-90.
24 Jeffery A. Frieden, David A. Lake, and Kenneth A. Schultz, World Politics (New York, NY: W. W. Norton & Company, 2010): 96-99.
25原則としてはその通りであるカヾ、厳密にはその限りではない。PoweH, Nuclear Deterrence Theory, 59-60.
歴本稿が扱う「シグナル」や「シグナリング」は、(国際危機の文脈において)決意をもつ国家が、自国による脅しをそうでない国家が発するような脅しから区別
するためのものである。国際問題に関する外交評論などでしばしば用いられる、日常用語としての「シグナル」「シグナリング」とは必ずしも同義ではない。本稿の
ような用法について詳しくは、例えば澤木久之『シグナリングのゲーム理論』(勁草書房、2014年)を参照。
27 James D. Fearon, “Signaling Foreign Policy Interests: Tying Hands versus Sinking Costs”, The Journal of Conflict Resolution 41,no.1(1997): 68-90.
また、この 3 種類への分類の仕方は Jeffery A. Frieden, David A. Lake, and Kenneth A. Schultz, World Politics (New York, NY: W. W. Norton & Company,
2010).による。
28 埋没費用の概念については Michael Spence, “Job Market Signaling”, The Quarterly Journal of Economics 87, no.3 (1973): 355-374.
29 核の海外展開に関しては Branislav L. Slantchev, Military Threats (Cambridge: Cambridge University Press, 2011):36•を参照。
30 Jonathan Shimshon, Israel and Conventional Deterrence: Border Warfare from 1953 to 1970 (Ithaca、NY: Cornel! University Press,1988),110.
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NIDSコメンタリー第282号
31Shelling, Arms and Influence, 199.なお、偶然に委ねる脅しに対しては、経験的事例に乏しいという批判もある。その具体的内容や、この概念と核抑止理論
における他の概念との関連、統一的な論理の説明に関してはPoweH, Nuclear Deterrence Theory.を参照。
32 Shelling, Arms and Influence, 103.
33 James D. Fearon, “Domestic Political Audiences and the Escalation of International Disputes”, American Political Science Review 88, no.3 (1994):
577-592.
34 Matthias Williams and Robin Emmott, “Ukraine says Russia wiH soon have over 120,000 troops on its borders,” Reuters, April 20, 202
1, https://www.reuters.com/world/euroDe/russia-reach-over-120000-troops-ukraines-border-week-ukraine-says-202l-04-20/; Reuters, “OFFIC
IAL Russian military build-up near Ukraine numbers more than 100,000 troops, EU says,” Reuters, April 19, 2021, https://www.reuters.co
m/world/europe/russian-military-build-up-near-ukraine-numbers-more-than-150000-troops-eus-2021-04-19/.
35 「抜き打ち検閲」との発表等事実関係については、山添博史「2021年春のウクライナにおけるエスカレーション危機」『NIDS □ メンタリー』第165号、防衛研
究所(2021年 5 月13 日);強制が目的との分析については Michael Kofman, “Russia’s Military Buildup Near Ukraine Is an Intimidation Tactic,” Mo
scow Times, April 3, 2021, https://www.themoscowtimes.com/2021/04/03/russian-military-build-up-near-ukraine-is-an-intimidation-tactic-a73
461; Mykola Bielieskov, “The Russian and Ukrainian Spring 2021 War Scare,” Center for Strategic and International Studies (CSIS), Septem
ber 21,2021, https://www.csis.org/analysis/russian-and-ukrainian-SDring-2021-war-scare.
36 Ellen Nakashima and Ashley Parker, “Inside the White House preparations for a Russian invasion/’ The Washington Post, February 14, 2022,
https://www.washingtonpost.com/national-security/2022/02/14/white-house-prepares-russian-invasion/.
37小泉『ウクライナ戦争』61頁。
38 BBC News, “Ukraine crisis: Biden warns Russia may invade next month,” January 28, 2022, https://www.bbc.com/news/world-euroue-60164537.
39新垣拓「ウクライナ戦争と米国ーー強まる大国間競争の流れ」増田雅之(編著)『ウクライナ戦争の衝撃』(防衛研究所、2022年)4-7頁。
40小泉『ウクライナ戦争』60頁。
41 BBC News, “Russia-Ukraine: US warns of ‘false-flag’ operation,” January 14, 2022, https://www.bbc.com/news/world-euroDe-59998988.
42 BBC News, “Kremlin media: Ukraine preparing to attack, not Russia,” January 26, 2022, httus://www.bbc.com/news/world-europe-60140566.
43 BBC News, “Ukraine crisis: Biden warns Russia may invade next month,” January 28, 2022, https://www.bbc.com/news/world-euroue-60164537.
44 BBC News, “Ukraine crisis: US rejects Russian demand to bar Ukraine from Nato,” January 27, 2022, httus://www.bbc.com/news/world-eur〇De-
60145159.
45 BBC News, “Ukraine crisis: Don’t create panic, Zelensky tells West,” January 28, 2022, httDS://www.bbc.com/news/world-europe-601 /4684.
46 Karen DeYoung, Robyn Dixon, Loveday Morris, and Rachel Pannett, “U.S. closing embassy in Ukraine capital as Putin appears to leave diplomatic
door open,” The Washington Post, February 14, 2022, htt。s://www.washingtonD〇st.com/world/2022/02/14/ukraine-russia-Dutin-nato/.
47 BBC News, “Ukraine conflict: Where are Russia’s troops?,” February 23, 2022, https://www.bbc.com/news/world-euroDe-60158694
48 Seth G. Jones, Joseph S. Bermudez Jr., and Philip G. Wasielewski, “Russia’s Gamble in Ukraine,” CSIS, January 27, 2022, https://www.es
is.org/analysis/russias-gamble-ukraine.
49 Mary Ilyushina, “Putin threatens “retaliatory military-technical” measures as standoff with U.S. and NATO over Ukraine escalates/’ CBS News,
December 22, 2021,https://www.cbsnews.com/news/russia-ukraine-war-news-Dutin-retaliatory-military-technical-measures/. ; Dave Lawler,
“Zelensky questions U.S. warnings of “imminent” invasion in Biden cal|,” AXIOS, January 27, 2022, https://www.axios.com/2022/01/28/zelensky-
biden-call-imminent-invasion.
50 Mary Ilyushina, “Putin threatens “retaliatory military-technical” measures as standoff with U.S. and NATO over Ukraine escalates/’ CBS News,
December 22, 2021, https://www.cbsnews.com/news/russia-ukraine-war-news-putin-retaliatory-military-technical-measures/.
51小泉『ウクライナ戦争』72頁。
52廣瀬陽子「プーチンはなぜ予想外の戦争を始めたのか」『アスティオン』97、(2022年)29-42頁。
53 Erin Banco, Garrett M. Graff, Lara Seligman, Nahal Toosi, and Alexander Ward, “Something Was Badly Wrong’: When Washington Real
ized Russia Was Actually Invading Ukraine,” Politico, February 24, 2023, https://www.politico.com/news/magazine/2023/02/24/russia-ukrain
e-war-oral-history-00083757.
54 Ibid; Shane Harris, Karen DeYoung, Isabelle Khurshudyan, Ashley Parker, and Liz Sly, “Road to war: U.S. struggled to convince allies, and Zelensky,
of risk of invasion\ The Washington Post, August 16, 2022, https://www.washingtonpost.com/national-security/interactive/2022/ukraine-road-to-
war/.
55 Ibid.
56 Deborah Haynes, “Russian invasion of Ukraine could be on scale ‘not seen in Europe since WWII‘,UK armed forces head warns,” Sky News,
December 8, 2021, https://news.sky.com/story/russian-invasion-of-ukraine-could-be-on-scale-not-seen-in-europe-since-ww2-uk-armed-forces-
head-warns-12490120.
57 Cristina Gallardo, “Putin ‘stil| committed’ to further invasion of Ukraine, UK warns,” Politico, February 21,2022, https://www.politico.eu/
article/putin-committ-invasion-ukraine-uk-warns/.
58 Paul Dallison, “UK sending anti-tank weapons to Ukraine”, Politico, January 17, 2022, https://www.politico.eu/article/uk-anti-tank-missiles-
ukraine/.
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NIDSコメンタリー第282号
59 11月の会談については Reuters, “Macron, Putin agree on need to de-escalate migration crisis in Belarus -Elysee,” November 16, 2021,htt
ps://www.reuters.com/world/europe/macron-Dutin-agree-need-de-escalate-migration-crisis-belarus-elysee-2021-11-15/; [2 月 の会談については R
euters, “Putin tells Macron he wants talks to curb NATO expansion/’ December 15, 2021, httDS://www.reuters.com/world/uutin-tells-macr
on-he-wants-talks-curb-nato-expansion-2021-12-14/;1月の会談については Reuters, “Putin told Macron he did not want to escalate Ukraine
crisis – French official/’ January 29, 2022, https://www.reuters.com/world/europe/macron-speak-putin-seek-clarity-over-ukraine-france-says-2
022-01-28/.
60板橋拓己「ドイツの戦略的転換ーーショルツ政権の課題」『戦禍のヨーロッパーー日欧関係はどうあるべきか』(日本国際問題研究所、2023年)57-69頁、
https://www.iiia.or.iu/Ddf/research/R04 Europe/01 -O4.Ddf。直接引用は58頁からであり、カッコ内は筆者の捕捉による。
61 Shane Harris, Karen DeYoung, Isabelle Khurshudyan, and Ashley Parker and Liz Sly, “Road to war: U.S. struggled to convince allies, and Zelensky,
of risk of invasion”, The Washington Post, August 16, 2022, https://www.washingtonpost.com/national-security/interactive/2022/ukraine-road-to-
war/.
62 France 24, “Zelensky warns Ukraine ‘entirely prepared1 if Russia attacks,” November 26, 2021, https://www.france24.com/en/live-
news/20211126-zelensky-warns-ukraine-entirely-Drepared-if-russia-attacks.
63 BBC News, “Ukraine crisis: Don’t create panic, Zelensky tells West,” January 28, 2022, https://www.bbc.com/news/world-europe-601746
84; Dave Lawler, “Zelensky questions U.S. warnings of “imminent” invasion in Biden callz” AXIOS, January 27, 2022, https:〃www.axios.co
m/2022/01/28/zelensky-biden-call-imminent-invasion.
64小泉『ウクライナ戦争』113頁。
65山添博史「プーチン政権による軍事作戦目的の主張」『大国間競争時代のロシア』(日本国際問題研究所、2023) 25頁。
66小泉『ウクライナ戦争』85頁。
67廣瀬「プーチンはなぜ予想外の戦争を始めたのか」38頁。
68山添博史「ロシアのウクライナ侵攻ーー旧ソ連空間と国際規範への大惨事」増田雅之(編著)『ウクライナ戦争の衝撃』(防衛研究所、2022年)25-49頁。
69 Robert Person and Michael McFaul, “What Putin Fears Most”, Journal of Democracy 33, no.2 (2022):18-27.
70例えば、松里公孝「露ウ戦争におけるロシアの目的ーー政権打倒、征服、そして領土整理へ」『ロシア・東欧研究』51、1-20頁;小泉悠「ロシアの対ウクライナ
戦争ーー核抑止下での通常戦争」『ロシアのウクライナ侵攻』(NIRA総合研究開発機構、2022年)85-104頁。
71廣瀬「プーチンはなぜ予想外の戦争を始めたのか」29-42頁。
72小泉『ウクライナ戦争』75頁。
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NIDS
Tokyo Japan
防衛研究所 National Institute for Defense Studies
NIDSコメンタリー
第282号 2023年10月26日
PROFILE
本山功
政策研究部防衛政策研究室研究員
専門分野:数理政治学、安全保障論、危機交渉(抑止•強要)
本欄における見解は、防衛研究所を代表するものではありません。
NIDSコメンタリーに関する御意見、御質問等は下記へお寄せ下さい。
ただし記事の無断転載•複製はお断りします。
防衛研究所企画部企画調整課
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代表:03-3268-3111(内線 29177)
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