ロシアの動員数は損失を十分カバー可能、10ヶ月間で38.5万人を確保
https://grandfleet.info/russia-related/the-number-of-mobilized-people-in-russia-is-enough-to-cover-the-losses-securing-385000-people-in-10-months/
『安全保障会議を主催したメドヴェージェフ元大統領は25日「1月1日から10月25日までに約38.5万人(契約軍人30.5万人+志願兵8万人)が軍に入隊し、毎日1,600人以上が軍との契約に署名している」と述べ、この数字が事実なら「ウクライナでの損失」を十分カバーできる格好だ。
参考:В этом году на военную службу поступили 385 тысяч человек, сообщил Медведев
参考:В России создадут новый армейский корпус и флотилию
参考:Путин решил продолжить работу по доукомплектованию ВС контрактниками
参考:Контрактники и добровольцы: разница в статусе и выплатах. Объясняют юристы
2024年も同じペースで動員が続けば、ロシア軍は新たに40万人近い人員が確保できる格好だ
ロシア軍は2017年まで90万人体制=国防省スタッフ1万人、参謀本部スタッフ1.1万人、陸軍28万人、海軍(海軍歩兵を含む)15万人、空軍16.5万人、戦略ロケット軍5万人、空挺部隊4.5万人、特殊作戦部隊0.1万人、鉄道部隊2.9万人、その他軍属(通常の徴兵に応じた新兵)18万人で構成されていたが、2018年1月1日に発効した法令で「101万人体制」に移行。
出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0
さらにプーチン大統領は2022年8月「ロシア軍を115万人体制に拡張する法令」に署名、この法令は2023年1月1日に発行して正式に「115万人体制」へと移行したのだが、ショイグ国防相は1月17日に「プーチン大統領がロシア軍の規模を150万人体制に拡張することを決定した。2023年~2026年までに大規模な兵力増強が行われる」と述べて「150万人体制への移行」を発表、ロシア軍の規模は侵攻前と比較して「49万人増」になることが確定した。
この大規模な兵力増強についてメドヴェージェフ元大統領は25日「新たに約38.5万人が軍に入隊した」と明かして注目を集めている。
出典:Дмитрий Медведев
安全保障会議の副議長を務めるメドヴェージェフ元大統領は25日の会議で「国防省の報告によると1月1日から10月25日までに約38.5万人が軍に入隊し、内30.5万人が契約軍人で残りの8万人は志願兵だ。毎日1,600人以上が軍との契約に署名しており、2024年も契約軍人の確保に努めて1個軍団、7個師団、19個旅団、49個連隊、1個艦隊を新たに編成する」と述べ、この数字が事実なら「ロシアの兵力増強ペース」はウクライナでの損失を十分カバーできるだろう。
ロシア軍の死傷者数については諸説あるが、どれだけ大きな損害を出しても「前線の戦力密度」に決定的な変化は見られず、バフムートを彷彿とさせる戦いをアウディーイウカで実行しているのを見ると「兵士の供給能力は損失をカバーしている」としか言いようがなく、2024年も同じペースで動員が続けば新たに40万人近い人員が確保できる格好だ。
出典:Минобороны России
因みにメドヴェージェフ元大統領が言及した「38.5万人」は4月~7月に召集される春の徴兵(2023年は14.7万人)や、10月から12月に召集される秋の徴兵(2023年は13万人)とは別物で、義務的な徴兵で召集された兵士は国外作戦(特別軍事作戦が実施されている地域は徴兵者の勤務地域から除外)に派遣されることはない。
メドヴェージェフ元大統領が言及した「契約軍人」は(恐らく動員の呼び出しに応じて)ロシア国防省と契約を交わした職業軍人のことで、志願兵と契約軍人の大きな違いは「自発的な参加」で待遇面は契約軍人と同等だが軍人格(飽くまで分類上の話)ではなく、志願兵にも幾つかのカテゴリーが存在し「ストームZ(懲罰部隊)」も志願兵で構成されたボランティア部隊になる。
関連記事:ショイグ国防相がロシア軍の大増強を発表、49万人増の150万人体制
関連記事:ショイグ露国防相、ロシア軍を49万人増の150万人に拡張する可能性
※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России
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投稿者: 航空万能論GF管理人 ロシア関連 コメント: 34 』
『 たまねぎ
2023年 10月 26日
返信 引用
40万の労働力があれば、道路や橋、トンネル、ビル、工場、結構なインフラや施設が造れるし、
肉体労働者だけでなく育成に時間と金がかかるスキルを持った労働者も混じってるでしょうに…
戦争ってのは本当に勿体ない。
19
kame
2023年 10月 26日
返信 引用
単純に割に合わないですからね。だからこそ、欧米含め資本主義が第一の国だと兵隊の損失には厳しい目が向けられるし、判断にも時間が必要となる。良くも悪くも、ロシアはソ連時代から大きな変化もなく今まで発展しきていたせいで、時代錯誤とも言える手段をとってる訳ですが、逆に言えば、相手国はどうしたってそれに付き合わなければいけない訳で、無理やりロシアの土俵に上げられてしまっているとも言えるのが現状なんでしょう。
10
名無
2023年 10月 26日
返信 引用
単純に数を揃えることで、数字合わせは出来るのだろうけど質はどうなんだろ?
5
航空太郎
2023年 10月 26日
返信 引用
軍人としての真っ当な訓練は到底間に合わないので、促成栽培、最低限の集団行動と武器の使用ができれば良し、みたいな話にせざるを得ないでしょう。それでもロシアの戦いかたならそれで十分で、劣る戦闘力は数で押切る、という割切りでしようね。人口が5倍いる独裁政権だからこそできる戦い方で、削り合いの果てにロシアが立っていれば勝ちという、ソ連時代からの伝統です。
そんなのに付き合わされるウクライナ軍からすれば、酷い話だと思います。
1
kame
2023年 10月 26日
返信 引用
元々の人口数が違うから当然といえば当然な気がする。
軍隊の士気がどうこうという話もあるが、前線に出て、敵と相対した場合、逃げるよりも倒して生き残ろうとする人の方が割合的には多いわけで、これだけ大規模な戦争になってると数人から数十人程度の脱走兵なんて誤差にもならない。
逆にウクライナ側は既に総動員をかけており、年齢制限に関してもギリギリまで拡張しているため、ほぼ限界まで徴兵しているのは間違いなく、ロシア以上に具体的な成果が無ければ厭戦気分が広がる可能性もありそうだ。
12
2023年 10月 26日
返信 引用
174人が反抗して戦地に行くことを拒否したらしい。
懲罰として穴に埋められるだか落とされるとかで食事も満足にさせないとある。
1週間もすると、それで何でも言うことを聞くようになるとのこと。
中には餓死してしまう人もいるとの証言もある。
督戦隊といい、こんな国に生まれなくてよかった。
100人越えてるけど万単位だから誤差の範囲でしょうね。
鼻毛
2023年 10月 26日
返信 引用
この数字はたぶん盛ってるけど、大義も無くあれだけ損害の出る戦争でよくこんなに志願兵が集まりますよね。国内経済死んでるから軍事工場と兵隊以外に職がないのかな
14
bbcorn
2023年 10月 26日
返信 引用
メドヴェージェフのほらばなしですね。
順当に行ってたら キューバなんかから人さらってくる必要もないわけで
足りてないでしょ。
今のロシア人にどこまで耐えられるからだな。
無制限な動員に。
特別軍事作戦が全力の全面戦争になってることに。
19
あ
2023年 10月 26日
返信 引用
まあ、こっからはウクライナ、ロシアともに我慢比べですねえ・・・。
先に音を上げた方が負けるか、両者共倒れでそこが停戦ラインになるか・・・。
まあ、ロシアの場合はプリゴジンの乱みたいに、突拍子もなく崩れる可能性も否定はできないですが。
7
ブルーピーコック
2023年 10月 26日
返信 引用
「毎日1,600人以上を軍との契約に署名させている」なら信じられるんだけどな。促成栽培で出来るロシア兵士のレベルはどのくらいなのやら。
2
あ
2023年 10月 26日
返信 引用
主力兵士の為の、肉盾・・・?
TKT
2023年 10月 26日
返信 引用
どこの国家の軍隊であっても、精鋭と呼ばれる部隊、その兵士は全体からすればごく一部であり、その他大半の兵士、部隊は素人である一般市民に毛が生えたような兵士、そういう兵士で編成した部隊に過ぎません。
とはいえそれはウクライナ軍の領土防衛隊なども同じであり、前哨戦などはほとんど素人に毛が生えた兵士同士の小競り合いになります。
しかしまた素人に毛が生えたような兵士でも、スコップで塹壕を掘ったり、地雷を埋めたり、弾薬や燃料を運んだりするのには十分であり、ただやみくもに銃を撃つだけの威嚇射撃ができるだけでも、後方で待機していた戦略予備の精鋭部隊、空挺軍のような部隊が来るまでの時間稼ぎはできます。
陸上自衛隊でいえば精鋭は第一空挺団や水陸両用団、素人に毛が生えたのは予備自衛官補ですが、予備自衛官補でも警戒監視や、精鋭部隊が移動するまでの時間稼ぎができればいいという考えです。
別に精鋭部隊でなくてもできる任務をやらせることで、兵力の節約ができるわけです。
1
VIVA
2023年 10月 26日
返信 引用
ロシアとウクライナの人口比は4:1であることを考えれば、まあ長期では断然ロシアが優勢でしょうね
占領地域拡大ボーナスによってウクライナの人口も吸い取れる訳だし
13
panda
2023年 10月 26日
返信 引用
政治体制や人口規模から不可能ではないでしょうが
経済規模に見合わない軍備、急速な兵力増強による労働力減少、中長期的には国家を衰退させる悪手となるでしょう
9
拓也さん
2023年 10月 26日
返信 引用
それはそのままウクライナにも言えることなので…。やはり我慢比べだと思いますね。
8
panda
2023年 10月 26日
返信 引用
ご指摘の通り、ウクライナも同じでしょう
しかしウクライナの場合はやらなければ即亡国、選択肢がないと言うだけの話です
12
拓也さん
2023年 10月 26日
返信 引用
ウクライナに関してはアメリカに財政面でも軍事面でも大きく依存しているので、その国の鶴の一声によって全ての努力が無駄になってしまう可能性があるのが恐ろしいところです。 中小国の運命と言えるのかもしれませんが大国に生殺与奪を握られているようで、ウクライナは必要以上の我慢を強いられているように見えてならないです。特に武器供与はもっとスムーズにできたんじゃないかなって少し勘ぐってしまいます。
6
MAT
2023年 10月 26日
返信 引用
あまり突っ込みが来てない事ですが、彼らの話す一個艦隊増強とは一体……
艦隊を増やしても港も船も足りないのでは……?
2
分析
2023年 10月 26日
返信 引用
大義がないから兵士にならない、士気が低いと侮るのは危険だと思います。
ウクライナ側、被侵略側の視点からすれば、ロシアは単なる時代遅れの侵略国家で国際犯罪を行っている残念な国ですが、
彼らの論理で言えばウクライナ東部に在住するロシア民族を守るため、NATOのロシア侵略()からロシア本国を守るための正義の防衛戦なのです。
かつてのキリスト教十字軍もチンギスハン時代のモンゴル帝国軍も秦の始皇帝配下の軍も大日本帝国軍も、自らが悪として戦ったのではなく、正義の味方として侵略を行なっているのです。
11
拓也さん
2023年 10月 26日
返信 引用
まあ西欧も百数十年程前まではアフリカやアジアを「文明化」の名のもとに蹂躙しまくってましたからね。 我々の目から移るとあまりにも遅れていて愚かしい行為ですが日本も80年程前は、今のロシアと同じように思われていたことでしょう。加えて太平洋戦争初期、日本兵は東洋の魔術によって痛みを感じないだとか死なないだとかアメリカ兵は本気で信じていました(これは義和団の乱でも同様の事例が見られる)。 だからこの誤解を払拭しないといつまで経っても戦況を見誤ってしまうかもしれませんね。
2
理想はこの翼では届かない
2023年 10月 26日
返信 引用
ロシアで生まれ育った訳ではないので完全な理解はできませんが、東西冷戦からのNATO拡大を見続けていると国家としての生存競争のレッドラインは確かに存在したのだろうとは思います
かつての日本も植民地支配により国力を競い合った列強に対して、遅れをとる事がすなわち生存競争脱落だったために是非はともかくとして、東南アジアへの進出・日独伊三国同盟・対米開戦へと至った訳ですから
どちらにも言い分があり、考えがあり、正義がある。だからこそいつまでも争うのが人間ですね。悲しい
1
リック
2023年 10月 26日
返信 引用
確かに、既にパレスチナに対して完全に軍事的経済的優位性を確立したにも拘らず
「相手の息の根を止めなければ我々は滅ぼされるかもしれない」と言う被害妄想に国家全体が取り憑かれてしまったイスラエルと見比べれば
NATOやアメリカの影とシャドーボクシングしているロシアの暴走は共感できる方ではありますねぇ
4
ななし
2023年 10月 26日
返信 引用
ただしウクライナやNATOは全くロシアに攻め入ったり侵略を宣言したりしてませんがね
プーチンの妄想が誰よりも誇大すぎるだけです
1
ななしのシロウト
2023年 10月 26日
返信 引用
ロシア軍は兵士の数は揃えられるかもしれないが、多数の将校・下士官を失っているので、
軍隊としての機能はどうなるのか疑問
4
あ
2023年 10月 26日
返信 引用
だから無闇矢鱈の歩兵突撃が今のロシアにとって戦術として合理的なのかもしれませんね。
それにしたらロシア戦車の損害数が膨大ですが。
4
けい2020
2023年 10月 26日
返信 引用
戦車兵の育成も同じような感じだとしたら、やはりまとまっての突撃が多くなるのかも
1
成層圏
2023年 10月 26日
返信 引用
>2017年まで90万人体制
ロシア陸軍28万人に対して、陸自17万人。
面積比を考えれば、日本も結構多い感じがする。
(もちろん、中国、韓国、北朝鮮と比べればそんなことないけどね。)
3
ハハッ
2023年 10月 26日
返信 引用
そう考えるとNATOで国防を考える前提とはいえ、ドイツ陸軍の6万人はコンパクトだよな。
充実した兵器に支えられた精鋭揃いなんだろうなぁ
けい2020
2023年 10月 26日
返信 引用
実働師団数で3-4個ですし、一騎当千なんでしょうね
hiroさん
2023年 10月 26日
返信 引用
ロシアは戦争を宣言すれば総動員が可能になり、あっと言う間に数百万人が動員可能ですからね(装備が足りるかはともかく)。
日本は総動員なんかできないし、予備自衛官を招集しても3~4万人程度。
決して多いとは言えないでしょう。
けい2020
2023年 10月 26日
返信 引用
総人口で1億4340万人しかいないロシアで、150万人とか独ソ戦並みの末期動員体制を実行中か
プーチンと仲間は自分たちが生きてる間だけロシアが持てばOK路線すぎる
ウクライナ戦争がどう終わっても、ロシアの社会体制と経済に未来が見当たらない
3
M774A6
2023年 10月 26日
返信 引用
中国の属国になるんじゃないですかね。割と順当な路線です。
日本の南と北で協調して事を起こされかねず、さらに日本海が丸ごと危険になりかねず日本としてはあまり好ましくありませんが。
米国が北極海とベーリング海を挟んで中国勢力圏と対峙し、NATOおよびEUも中国勢力圏と近い距離で対峙することになってそこでも困るという動きはあるかもしれません。
名無し
2023年 10月 26日
返信 引用
ロシアの兵器不足は見て取れるけど、人に関しては確かに不足してる感じはしないよね
もちろん兵士1人1人の質は落ちてるし、死傷者も大量に出てるけど、それでも前線が急に破綻するような事にはなってない
こういう人海戦術マネジメント力だけは侮れないな
2
はげ
2023年 10月 26日
返信 引用
チェチェン紛争もグダグダボロボロの状態から盛り返したからね
侮ってはいけない相手
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