【コラム】日本の精神的・道徳的優位に立って堂々と(1)
https://japanese.joins.com/JArticle/204445?servcode=100§code=140
※ 韓国人の「精神世界」が、垣間見えるコラムだと思うので、紹介する…。
『2015.08.14 10:58
光復(解放)と分断70年を回顧しながら、ふと1991年に英国で起きた真剣な論争が思い浮かんだ。当時サッチャー首相は大英帝国が欧州の一部として吸収されることを屈辱に思い積極的に反対したが、70年代に首相をつとめたエドワード・ヒースは13%を超える失業率のもとで競争力のない英国が欧州連合(EU)に加入するのは国益のために当然だと主張した。
結局、英国は92年に欧州通貨連合(ユーロ圏)に加入しないという留保条項と共にマーストリヒト条約に加入する。国家のアイデンティティを守りながらも国家の未来を苦悩して出したバランスの取れた決定だったと思う。
同じ島国でありながらも日本はバランス感覚において英国とは全く違うようだ。日本の人々は集中力が強い。生涯同じ仕事を熱心にして、1つのことを深く掘り下げ職人になり、高い技術力を蓄積して後代へと継承する。それでノーベル賞も数多く受賞し富を蓄積して、暮らしよい豊かな国になった。
一方で日本人たちは片一方に傾く傾向が強い。時にはバランス感覚不足で誤った考えを修正する復原力も弱い方だ。また日本人の間では他人に配慮し迷惑をかけることを嫌うが、国外を眺める時は常に欲を出して遠交近攻(遠くの国と手を握り近い国は攻撃する)をしたがり、それを野望と考える。
日本はまた経済的な一流国家としての自尊心とアイデンティティに対する執着が強いながらも、精神的・道徳的なアイデンティティの価値を相対的に低く評価している。このようにバランス感を失って精神的な基礎が揺らぎながら、日本は植民地時代の韓国を残忍に蹂躪(じゅうりん)して第2次世界大戦時は人間としての尊厳と価値を踏みにじり、想像できないほど残酷で野蛮的な行動もはばからなかった。
日本人は個人的には非常に立派で精神的に健全な人々が多い。しかし日本では、さまざまな人が集まれば自分の意向をあまり示さない指向があり、社会の誤った方向を正す集団的知性や市民社会活動も微弱だ。メディアの政府牽制や誤った社会現象に対する批判もそんなに強くない。こうなれば国家社会の自浄機能が弱まる。
日本は多分に二重的だ。古代日本は百済など韓半島(朝鮮半島)から多くを学んだ。しかしその後力量を強化して壬辰倭乱(文禄・慶長の役)を起こした。明治維新以降、西欧文明を受け入れて国力が伸張すると満州事変、日中戦争に続き真珠湾を攻撃して太平洋戦争を起こした。』
『敗戦後、過去70年間にも日本は似たような3つの失策を犯した。
最初は周辺被害国と本当に和解して道徳的・倫理的価値を蓄積する機会を捨てたことだ。被害国に対する謝罪の気持ちの代わりにお金で間に合わせようとした。彼らの経済援助によって東アジア諸国が豊かになったと片づけながら、過去の歴史に対する巧妙な論理開発に重点を置いて自己矛盾に陥っている。
2番目は東アジア外国為替危機の時の日本の身の振り方に関することだ。日本は東アジアで途方もない富を蓄積した。しかし97年タイで東アジア金融危機が初めて発生して韓国まで火が広がった時、日本は中途半端に、そして米国の後ろに隠れて守備的にのみ対応した。東アジアは日本のそっけない姿をまざまざと目撃した。
3番目は改革・開放以後の中国の扱いに失敗したことだ。中国を未開で危険な国と考えて敬遠視したが、中国の急速な膨張を見ながら中国への恐怖心と共に抵抗感も生まれた。米国に従ってアジアインフラ投資銀行(AIIB)への加入を拒否した。中国は勝者のパーティーにひたり、日本は内心後悔している。中国は一層自由になった。中国を多国フレームにまとめて牽制することに失敗したのだ。
以上のケースで見るように、日本は自己破壊的な偏見の中で、すまないと思う術も知らずにバランス感と羞恥心まで弱くなってしまったのではないのか疑わしい。精神的な後進国症候群に陥る感じだ。
したがって今、日本に最も緊急な課題は20年余りの長期停滞から抜け出すことよりも精神世界の健全さとバランス感覚を回復することだと考える。結局は精神世界が経済も支配するためだ。
かつて日本のリーダーは国内に困難が生じれば外敵を作って国民をそちら側へと追いやった。日本人たちはリーダーに従順になりながらバランス感覚なしに誤った戦争にともに没頭した。今の安倍政権もこれと似たような方向へ向かう雰囲気だ。今回は日本国民が過ちを正すバランスのおもり役を果たすことを期待する。
そして重要な隣国である日本が強い国(Able men)を超えて品格ある良い国(Good men)、国際社会で道徳的に自由な国(Free men)になることを願う。
今や韓国が真の独立を完成するには、国力を持続的に伸ばして国論を1つに結集し、名分と道徳的優位に立って堂々としながら大乗的な姿勢で日本に対応することだ。上位の中堅国家らしく感情的な対応をやめて冷徹で賢明な振る舞いで能力と品格ある一流国家にならなければならない。それが日本を克服する道だ。
韓日関係は新たな未来へと向かっている。両国の未来世代はどんな精神的遺産を礎に共に会わなければならないだろうか。次の50年は、両国関係が微分的な利己心に揺らがずに積分的な拡大バランスに深化したら良いだろう。
チョン・ドクグNEAR財団理事長 』