国連総長、ガザ攻撃は「国際人道法違反」 イスラエル反発
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『【ニューヨーク=佐藤璃子】国連のグテレス事務総長は24日の安全保障理事会で、パレスチナ自治区ガザの人道危機を巡って「(イスラエル軍の攻撃は)明白な国際人道法違反だ」との認識を示した。「イスラム組織ハマスによる攻撃は何もないところから突然起きたわけではない」とも発言し、これに反発したイスラエルはグテレス氏の辞任を求めた。一方、イスラエルとパレスチナ側は非難の応酬を繰り広げた。
安保理は24日、ガザの情勢について協議する外相級の会合を開いた。グテレス氏は冒頭「パレスチナの人々は56年間、息苦しい占領下に置かれてきた」と述べ、ハマスによるイスラエル攻撃は歴史や文化的な背景のなかで起きたことを認識する必要があると強調した。一方でハマスによる攻撃を正当化することはできないとの見方も示した。
グテレス氏の発言に即座に反応したのがイスラエルだ。エルダン国連大使は24日「テロ行為を正当化している」として事務総長の辞任を求めた。イスラエルは同日予定していたコーヘン外相とグテレス氏の会談も中止にしたという。
エルダン大使は会合の合間に開いた記者会見で「まともな人間であれば理解できない発言だ。グテレス氏は事務総長を辞任しなければならない」と強調し、今後は国連との関係を見直すと述べた。
安保理会合では、各国からハマスによる人質の解放や人道回廊の設置を求める声が相次いだ。参加したイスラエルとパレスチナの外相は互いの暴力行為を批判し合った。
パレスチナのマルキ外相は「イスラエルはパレスチナ市民への虐殺を止めるべきであり、安保理はそれを実現させる義務がある」と主張した。安保理に対し、即時停戦と人道アクセスの確保、イスラエルによるガザ住民への強制避難の呼びかけ撤回を求めた。
これに対しイスラエルのコーヘン氏は、ハマスに誘拐された子どもたちの写真を掲げ「想像をはるかに超えた生きる悪夢である」と語った。「ハマスの殲滅(せんめつ)はイスラエルの権利であり、義務だ」と語気を強めた。
全面的にイスラエルを支持してきた米国の代表として、会合に出席したブリンケン国務長官は「イスラエルに対するハマスのテロ攻撃を明確に非難しなければならない」と批判した。そのうえで「我々はハマスがパレスチナ人の代表ではないことを知っている。パレスチナ市民は守られなければならない」と述べた。
イスラエルとハマスの衝突をめぐっては、安保理で一致した対応をとれずにいる。国連総会は26日に同議題をめぐる緊急特別会合を開催する。
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察
ゲリラというのは一般群衆のなかに紛れ込んで、識別しにくい。パレスチナ市民を守らなければならないのは正論だが、市民とハマスをどのように区別するか、課題が残る。なによりも、人質解放を求めないといけない。ハマスは二人ずつ人質を解放しているが、実際に拘束されているのは200人ぐらいとみられている。国連の事務総長はガザを訪問して、人質解放を直接求めて、そのうえ、イスラエルに対して、停戦を求めるべきではないか
2023年10月25日 7:52
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説
グテレス国連事務総長の「(イスラエル軍の攻撃は)明白な国際人道法違反」「ハマスによる攻撃は何もないところから突然起きたわけではない」といった発言へのイスラエルの強い反発を、英経済紙フィナンシャルタイムズは1面で大きく取り上げていた。ロシアのウクライナ侵攻とは異なる、パレスチナ問題の複雑さ・今回の紛争解決の難しさを、あらためて確認させられるエピソードである。当たり前のことだが、戦争は暴力行為。民間人に被害が出る場合、それは大きな悲劇として報じられ、国際世論に影響してくる。米欧は現在、人道支援や人質解放交渉を材料にしながらイスラエルのガザ本格攻撃先送りを図っているものの、その先に明確な展望はない。
2023年10月25日 7:51 』