『ディフェンスエクスプレス』のインタビューに、ウクライナ軍の退役将校ミコラ・サラマカが答えた。宇軍がいちばん必要としているAFVは、…。
https://st2019.site/?p=21570
『Defense Express の2023-10-22記事「What Type of Armored Equipment Ukraine Lacks to Progress on Battlefield (Expert Opinion)」。
『ディフェンスエクスプレス』のインタビューに、ウクライナ軍の退役将校ミコラ・サラマカが答えた。宇軍がいちばん必要としているAFVは、重IFV――具体的には、マルダー、CV90、ブラドリー――である。戦車ではなく。
戦いが酣わになったとき、宇軍兵士の生き残りにちょくせつ貢献してくれるのは、これら重IFVである。
最前線では、末端の兵隊も、軍の高官も、M2ブラドリーを絶賛している。その防護力は確かである。また、下車した歩兵が1.5km以上もM2から離れて散開しても、確実に無線を中継してくれるので、部隊長による掌握が途切れることがない。
重IFVは、それ単体でも、数が少なくても、訓練が未精到でも、確実に兵士の命を救っている。
戦車はそうではない。湯水の如く大量に戦車を貰ったのならば話は別かもしれないが、今のレベルの少量の戦車を貰っても、それで戦線膠着を破る役には立たず、整備が大手間で、サポートのための人手と車両ばかりさいげんなくかかり、しかも、他兵種との訓練を何ヵ月も重ねない限り、ポテンシャル機能を発揮してくれない。その訓練にも、人とカネと時間が、底なしに使われてしまう。つまり今のウクライナ戦場が最も必要としているものではなく、むしろ他の有益アセット整備の邪魔をしている。戦車のために投じている手間とカネと人は、IFVに集中したほうが、はるかに良い。IFVは無駄にならない。大量でも少量でも、1両でも、素人兵が扱っても、確実に役に立つ。
※戦史叢書の『インパール作戦』を読むと、あんなところまで日本陸軍が戦車聯隊を1個、遠征させていることに驚嘆する。道路は、あったのである。ただし、日本の戦車はまるで役に立たなかった。制空権が英側にあり、そのため、昼間は戦車を樹林内に隠しておくしておくしかない。敢えて昼間に敵陣に向かって前進させても、正面から飛んできた対戦車砲弾1発で先頭車が擱坐してしまい、それを見た後続戦車は皆、後退してしまう。理想は夜襲に協力させることだが、当時の戦車は、夜間はかんぜんな盲目で、歩兵との協働野戦どころではなく、単車の自衛すらできないのであった(肉攻でかんたんにやられてしまう。だから英軍戦車も夜は陣地の一部として据えておくのみ)。この戦車聯隊を推進するための支援用トラックも相当の多数だったはず。なぜなら燃料が必要だから。そのトラックと人員を、他のこと――たとえば山砲弾薬と自転車と糧食と傷病者の運搬――に使わせていたら、ビルマ戦線の経過は大きく違っていたんじゃないかと思えるほど、そこでは、歩兵が大健闘していた。
※ウクライナ戦場では、昼も夜も、車両はうかつに動かせない。暴露すれば偵察UAVに発見され、そこに特攻UAVが飛来する。ただし今の「M2」と昔の95式軽戦車との違いは、暗視装置が段違いである。「M2」に対するロシア歩兵の肉攻など考えられない。夜道も高速で走れる。おそらくそれゆえに、「M2」を攻撃破壊したという露側のFPVドローン動画が、ひとつもないのである。昼間は、前線よりはるか後方に隠しているのだと想像される。そして夜間に急速に前線まで往復して、兵員や物資を運搬しているのだろう。』