残念ながら、争いを避ける為に「脅し」が有効な手段である理由
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/32683810.html
『 核兵器の存在意義については、それを使う前、所有しているという事が、最大の効果を発揮する場面であるという事は良く言われます。核兵器は、使ってしまったら魔法が解ける兵器なのです。恐らく、甚大な損害を相手に与える事は出来ますが、その後、一切の交渉が成立しなくなり、より早く大規模に相手を滅ぼした方が勝ちになり、恐らく勝った方も再起が疑われる程の被害を受けます。つまり、実際に使う前に、交渉のカードとして持っているからこそ価値が高い兵器です。今回、ロシアのプーチン大統領が参加した「一帯一路国際フォーラム」でも、恐らく核攻撃の指令を出せる機材の入ったモノらしき「核のスーツケース」を持ち込みました。本物かどうかは別にして、「威嚇する為の根拠としての兵器」としての核兵器の面目躍如というところでしょう。
残念な事ですが、交渉の場で威嚇というのは、実に効力を発揮しますし、それが無い為に招いてしまう悲劇もあるのです。これは、イスラエルを越境攻撃したハマス側から出てきた証言ですが、この計画を発動したのが2年前だそうです。この時間的なタイミングで思い当たるのは、アフガニスタンで、バイデン大統領のやらかした無様な撤退です。この時、タリバン側とは、撤退を決めた連合国軍に対して、攻撃をしないという約束が出来ていたのですが、タリバン側はタイミングを見て、約束を破って攻撃してきたわけです。その為、アメリカ軍は、ほうほうの体で逃げ出すように撤退する事になり、置き土産として最新のアメリカ製の軍備を無傷で渡してしまいました。
これをテロリスト視点で見ると、「アメリカは世界の紛争に対して完全に腰が引けている。本気で関わる気がないし、言葉は選挙の為の上っ面だ。バイデンが大統領のうちに、ひと暴れすれば、イスラエル寄りでまとまろうとしている中東の情勢を、ひっくり返せるぞ。今から準備だ」になるわけですね。つまり、バイデン大統領が、思いっきり腰を引きながら、撤退を急いでいる体が、テロリストにとっては、つけ入る隙がありますよというメッセージになり、最終的にハマスの越境攻撃にまで繋がったと思っています。
この頃の中東は、トランプ前大統領がイランとの核合意を一方的に破棄して手に入れたアブラハム合意を成立させていて、イスラエルとアラブ首長国連邦・バーレーン・スーダン・モロッコの国交正常化を果たし、パレスチナ人の心情を踏みにじる形で中東和平を推進していました。条件を満たせば、パレスチナ国家の樹立も認めるというアメも用意したのですが、エルサレムをイスラエルの首都として公認するなど、とても呑めない条件も含まれていました。いいかげんパレスチナ問題に嫌気の出ていた中東諸国の雰囲気に便乗して、盟主のサウジアラビアに鼻薬を効かせて無理矢理に成立させた中東和平です。とはいえ、イスラエルとアラブ諸国の間の国交正常化は、誰も成し遂げられなかった大きな外交成果でした。これを、「マズイ」と思っていたのが、ハマス・ヒズボラ・イランの反イスラエル連合です。なので、この流れをぶっ壊す、大きな事をする必要があったのです。
これは、バイデン大統領が、ウクライナ侵攻前に、「アメリカは絶対に直接介入しない」と、まるでロシアの侵攻を招くような断言を何回も繰り返していた態度にも通じます。濁しておけば済むものを、絶対に関わらないと何回も断言すれば、チャンスと思って侵攻を決断しますよね。結局、ドンパチが始まってから、大金を支出して援助したり、武器も供与する事になるのですから、プーチン氏に虚仮威しでも威嚇をしておけば、今の悲劇は起こっていなかったかも知れません。私、最初のうちは、ワザとロシアに手を出させる為の手管かと思いました。これで、ゼレンスキー大統領が、さっさと逃げて亡命政府でも作っていれば、ウクライナが物的被害ゼロで主権を奪われるだけで、西側はロシアを非難するカードが手にはいるわけで、それを狙ったと思っていました。どうも、違うみたいだったと、後で驚いたくらいです。(誤解の無いように書いておきますが、ロシアのウクライナ侵攻を肯定しているわけではありません。国家戦略として、十分に取りうる手筋を、自分なりに想定していたという事です)
また、今回のハマスの越境攻撃で、外国人を含む大勢の人質を確保しましたが、これが有効である事を教えたのもバイデン大統領です。イランとのアメリカ人捕虜との交換で、追い銭で60億ドルも支払っています。つまり、人質を取れば、アメリカは手を出せない(主に選挙対策で)という事を、中東問題の中心であるイラン相手にやってしまったわけです。つまり、何から何まで、「こうされると、我々は手が出せない」という見本を、今回のハマスの行動以前に見せてしまっていたのですね。
こういう腰の引いた外交というのは、中国にもサウジアラビアにも見透かされていて、アメリカのブリンケン国務長官が中国とサウジアラビアを訪問した時、わざと数時間遅刻しています。習近平氏と会見した時は、明らかに身分の差を見せつける上座と下座の形で「謁見」の体で迎えられ、ムハンマド皇太子の時には、夕方の会見の予定が、翌朝まで会見に姿を表しませんでした。これは、独裁国家特有の格上が格下を扱う時の待遇です。こういうあしらい方をしても、今のアメリカは席を蹴って退出できないと、「完全に上から目線で、舐めている」からできる事です。
バイデン大統領は2024年の大統領選挙用の外交成果として、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化を仕掛けているのですが、これに対するムハンマド皇太子の出した交換条件は、完全に弱みにつけ込んだものです。
・NATO並みの相互安全保証
・民生用核開発の承認
・アメリカの最新鋭武器の購入許可
つまり、サウジアラビアが安全を脅かされたら、アメリカは一緒に戦え。民生用核開発(ようは、核兵器に転用可能な技術開発)を認めろ。アメリカが開発した最新鋭武器は、何でも、こっちの要望通りに売れという、確実に中東情勢を悪化させる最悪の条件です。で、もし、今回のハマスの越境攻撃が無かったら、このままではないにしろバイデン大統領は乗り気だったと言われています。政治より選挙が大事なんですよね。私がアメリカの選挙の実態に絶望して、4年くらい前にブログの更新を中断した理由です。民主党、共和党の別無く、選挙対策の為に政治をやっている実態を見てから、完全に気持ちがダウナーになりました。今も、民主党はトランプ氏が選挙に出馬するのを妨害する為だけに、訴訟ラッシュを引き起こして法廷に足止めしようとしています。政策論争する気がゼロです。選挙に勝てば正義みたいな事をやっています。共和党の内紛も酷いものです。完全に好き嫌いで議会進行を妨害していたりするので、どっちもどっちです。
結局、アメリカという軍事大国の脅しの効力が無くなった結果、効率的に大量の人が殺せる兵器を使った紛争が、今のタイミングで各地で勃発したと言えるのです。端的に言ってしまえば、大虐殺を起こさない為に、武器による脅しが有効であるという結論になってしまいます。その役目を降りて、アメリカが日和ったとたんに、この有様です。 』