米同時テロ後の「失敗」、バイデン氏がイスラエルに警鐘
ネタニヤフ首相と会談、ガザ人道支援に合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1848N0Y3A011C2000000/
『【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は18日、イスラエルでネタニヤフ首相と会談した。パレスチナ自治区ガザへの人道支援物資の搬入を協議し、エジプトからの搬入に合意を取り付けた。ガザの病院での爆発についてはイスラエルの関与を否定した。バイデン氏は会談後の記者会見で2001年9月に起きた米同時テロ後の「失敗」に言及し、イスラエル側に一定の自制を求めた。
訪問直前にガザの病院爆発で多数の死者が出たこと…
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『訪問直前にガザの病院爆発で多数の死者が出たことでアラブ諸国が態度を硬化させ、予定していたアラブ首脳らとの会談は延期となった。中東の緊張拡大を防ぐ外交は難度が上がった。
バイデン氏はネタニヤフ氏との会談で「イスラエルの国民を守るために支援し続ける」と述べ、イスラム組織ハマスと戦う同国に連帯する姿勢を示した。「さらなる悲劇を防ぐため、イスラエルや地域のパートナーと協力し続ける」と強調した。
ガザの病院の爆発について「私がみたところ、イスラエルがやったものではなさそうだ」と指摘した。
ネタニヤフ氏は米国からの支援に謝意を伝え「この戦争を進めるにあたって、民間人を危険にさらさないためにあらゆる手段を尽くす」と語った。「勝利への道は長く険しいだろう」とも話した。
バイデン氏は会談後、記者団にエジプトからガザへの人道支援物資の搬入にイスラエルが同意したと明らかにした。米国は物資搬入のためにガザとエジプトの境界にあるラファ検問所を開通させるよう求めていた。
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イスラエル首相府も同日、エジプトからガザの民間人に支援物資を送ることを妨げないと発表した。物資がハマスに渡らないことを条件とした。
バイデン氏はガザとヨルダン川西岸のパレスチナ人に1億ドルの人道支援を実施することも表明した。水や食料、医療物資などの供与に充てる。18日の声明で「この地域のパートナーと緊密に協力し続ける」と記した。週内に米議会にイスラエルへの「前例のない軍事支援策を要請するつもりだ」と語った。
バイデン氏の発言は01年9月の米同時テロにもおよび「我々は激高していた。(テロ組織を)裁きにかけたが、間違えもあった」と指摘した。
イスラエル軍が計画するガザ地上侵攻に関し、冷静に達成可能な目標を設定すべきだとの見方を示したとみられる。イスラエルはハマス壊滅を目指すが、現実的に困難だとの見方は根強い。
同時テロ当時のブッシュ政権(第43代)は米世論の強い支持を受けてテロとの戦いを宣言し、アフガニスタン戦争を始めた。目標に掲げたアフガン民主化の進捗は鈍く、20年に及ぶ戦争で多額の戦費を使い、米軍に多数の死者を出した。
バイデン氏は21年、米国は国家建設に関与すべきではないと主張し、アフガンからの米軍撤収を決めた。撤収時の演説で、安全保障政策に関し「明確かつ達成可能な目標を掲げるべきだ」と語っていた。
一方、バイデン氏はイスラエル訪問後に予定していたヨルダンの首都アンマンでの同国のアブドラ国王、エジプトのシシ大統領、パレスチナ自治政府のアッバス議長との4者会談は先送りになった。ガザ保健当局は18日、17日に起きた病院の爆発で471人が死亡したと発表した。アラブ諸国はイスラエル軍の空爆によるものだとして猛反発している。
バイデン氏は17日の声明で病院の爆発に関し「怒りを覚え、深い悲しみを感じている」と言及。爆発の原因には触れず、真相究明に向けた調査を進めると説明していた。
米軍はイスラエル支援を続けている。米国防総省のシン副報道官は17日の記者会見で、米輸送機C17が12〜16日にイスラエルに軍事物資を5回届けたと明らかにした。防空ミサイルや弾薬を引き渡したとみられる。
イスラエル周辺で戦力増強も進める。オースティン米国防長官は17日、約2000人に対して中東への派遣準備を進めるよう命じた。米海兵隊の即応部隊はイスラエル沖に展開する。米軍は東地中海に展開する空母を2隻態勢にすると決めている。
米軍はイランやレバノンの親イラン武装勢力ヒズボラがイスラエルでの戦闘に参加しないように抑止力の強化を狙っている。
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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説 ①ガザ地区のイスラム過激派による誤射説。バイデン氏もこの見方を取ります。イスラエルは単に説を唱えているばかりではありません。病院爆発をめぐるハマスの工作員同士とされる通信の録音を証拠として公表しているのです。
https://m.youtube.com/watch?v=-N5Z1pTTfl4
②やり取りは、録音に付けられた英語のテロップを見る限りとても生々しい。話に出てくる場所なども現場に対応しているようです。
③録音の真実性を検証することで、病院爆発の真相に迫れるはず。今回の事態を水掛論と非難の応酬に終始させないためにも、手掛かりを確かめるべきでしょう。
2023年10月18日 23:58 (2023年10月19日 0:42更新) 』