中国政府系銀行、スリランカと債務再編に基本合意

中国政府系銀行、スリランカと債務再編に基本合意
「一帯一路」首脳会議が開幕
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM172DR0X11C23A0000000/

『2023年10月17日 19:32

【北京=川手伊織、ムンバイ=花田亮輔】中国の広域経済圏構想「一帯一路」の首脳会議が17日、北京で始まった。会議に先立ち、政府系の中国輸出入銀行はスリランカが同銀行から借りた42億ドル(約6300億円)の債務再編で基本合意した。途上国を借金漬けにする「債務のわな」への批判をかわし、新興国への支援姿勢をアピールする狙いがありそうだ。

首脳会議は4年ぶり3回目の開催となる。18日の式典では中国の習近平…

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『18日の式典では中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が基調講演するほか、ロシアのプーチン大統領らが演説する。

中国メディアによると、17日夕時点で24カ国の大統領や首相ら首脳級が北京に到着した。インドネシアのジョコ大統領は17日、中国の習氏や李強(リー・チャン)首相と会談し、李氏にインドネシアの新首都建設への投資促進を求めた。

首脳会議に先立ち、中国輸出入銀行はスリランカの債務再編に応じる方針で同国と合意した。同銀行からの借り入れはスリランカの対中債務の8割強を占める。

国際通貨基金(IMF)は新たな資金支援の条件として債権国との債務再編の進展などを挙げていた。最大の債権国である中国の金融機関との基本合意で前進した格好だ。スリランカは日本やインドとも調整している。

ただ合意内容の詳細は不明だ。中国がもつ他の債権の扱いも明らかになっていない。一帯一路首脳会議の直前の合意表明からは、過剰債務に苦しむ新興国への支援姿勢を打ち出す思惑も見て取れる。

習氏が13年に一帯一路の構想を表明してから10年がたった。莫大な資金力を背景に当初は一帯一路の参加国に積極投資を重ねたが、新型コロナウイルスの感染拡大などを経て最近は縮小傾向にある。

米アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)によると、19年まで年間1000億ドルに上った関連投資は20年以降は600億〜700億ドル台で推移する。

新興国の間で、融資の返済に行き詰まるとインフラ権益などを奪われる「債務のわな」への警戒感がくすぶるのが一因だ。スリランカは17年、南部ハンバントタ港の99年間に及ぶ運営権を中国に譲渡した。

中国にも投資戦略を修正せざるを得ない背景がある。新型コロナ禍などで新興国経済が打撃をうけ、融資条件の再交渉などに応じる事実上の不良債権が急増したためだ。米調査会社ロジウム・グループの調べでは、20〜22年に発生した融資の焦げ付きは768億ドルと、17〜19年の4.5倍に膨らんだ。

中国経済の成長鈍化という国内事情もある。新規投資の原資となる外貨準備高は3兆ドル超で横ばいが続く。景気の回復力が鈍く、若年層の就職難といった構造問題が国内の内向き志向を強めている。新興国への大盤振る舞いは市民の不満を高める懸念がある。

中国は一帯一路参加国との貿易を拡大させてきた。22年の貿易総額は13年から8割近く増えた。ただ貿易で稼ぐ恩恵は中国側に集中している。一帯一路参加国との貿易に限った中国の黒字額は23年1〜8月に2000億ドルを突破した。通年で過去最多だった22年をすでに上回り、貿易黒字全体の4割を占める。

参加国からみれば、中国市場へのアクセス拡大といった期待は薄れている。主要7カ国(G7)で唯一、一帯一路の覚書を結ぶイタリアは9月に離脱の意向を中国側に伝達した。

潮目が変わりつつある一帯一路を中国は経済外交のツールとしてどのように活用していくのか。習氏の18日の講演に関心が集まる。』