陰謀論? イスラエルのネタニヤフ首相が、ハマスを支援していた?
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『そんなバカなと思うかも知れませんが、世界の紛争地域で、最も物知り顔で解説してはいけない地域がパレスチナ問題です。なので、たった一つの真実が存在しないと考えたほうが良いです。敵の敵は味方という諺が似合う事象が、これほど頻繁に転がっている地域は、他にありません。まず、前提条件を詰めないと、なかなか理解できないところなので、先にそれを列挙します。当たり前の事ですが、その国の住民と国の代表者の思惑というのは必ずしも一致しません。なので、「パレスチナは~」「イスラエルは~」という主語で理解しよとうとすると、真実を見誤る可能性があります。
・パレスチナ自治区は、かつてエジプトが支配していたガザ地区と、ヨルダンが支配していたヨルダン川西岸地域に、イスラエルの領土で分断されて飛び地で存在しています。第四次中東戦争の結果、それぞれが手を引いて、両方を合わせてパレスチナ自治区として世界の多くの国で承認されます。そして、代表する国家機関として存在していたのがPLO(パレスチナ開放機構)です。イスラエルは、治安維持軍を置くのと平行して、境目に巨大な壁を建設して封鎖を行います。現在、イスラエルは完全撤退していますが、この壁と国境警備隊が両国を隔てています。
・ハマスは、PLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長に不満を抱いた市民から結成された組織です。当時のアラファト議長は、世界中から集まる寄付金を私物化しており、世界でも10本の指に入る富豪であり、フランスに愛人を囲うなど、立場を利用した傍若無人が目立っていました。なので、初期段階では、ガザ地区の住民の福祉に尽力したり、それなりに草の根の支持がある政党でした。PLOには、アラファト議長(故人、病死ですが、暗殺の噂も絶えない)の系譜であるアッバス議長が率いるファタファと、ハマスが議席で拮抗し始めます。実は、アメリカとイスラエルは、この当時は、ハマスを支援しています。ファタファを牽制する勢力として利用できると考えたからです。
・しかし、ハマスは除々に武闘派組織に変質していき、強硬派の支持を集約して、ガザ地区では議席の過半数を獲得します。その為、ヨルダン西岸地区を中心に勢力を維持するファタファと、ガザ地区を武力で実効支配するハマスに分裂します。ハマスの先鋭化は、極端に進み、ついにはイスラエルだけでなく、国境を接するエジプト側からもコンクリートの壁を立てられ、ガザ地区は完全に周囲を包囲される陸の孤島になります。同時にハマス内部の腐敗も進みます。ガザ地区に住む住民を人質にすれば、イスラエルから殲滅作戦を仕掛けられる事も無いし、武器庫を病院や学校の敷地に作れば、空爆される可能性も減ります。しかも、政党でもあるので、ガザ地区に入る支援金や支援物資は、ハマスを窓口として経由します。なので、ピンハネし放題です。今現在、ハマス幹部がカタールの高級ホテルで、ニュース映像を通じて戦況を見ているのは、そういう事です。なので、今のハマスはガザ地区住民の全面的な支持を得ているわけでは、ありません。
・ハマスは武装勢力としては、規模がイスラエルを脅かすほどではなく、かつ頻繁に攻撃を仕掛けてくるので、イスラム過激派の脅威を背景に政権を維持する政党にとっては、支持の源になります。特に本当の意味での極右・ユダヤ教原理主義者にとっては、彼らが定期的に問題を起こしてくれるほうが都合が良かったりします。また、不満分子がハマスとして集約されているほうが、バラバラに細かい集団で分派するより把握がしやすいという理由もあり、実はハマスに対してネタニヤフ氏が、アメとムチを使い分けて、場合によっては支援に近い事をしていたという告発があります。
・ネタニヤフ首相は、通算で6期も首相を努めたベテランですが、スタンスは強硬派であり、そういう支持層に押されて、何かしら襲撃や攻撃がある度に穏健派を押さえて政権を獲ってきた経緯があります。特に5期に、汚職がらみで政権を失い、再起は不可能と言われていたのですが、アメリカとサウジアラビアが、バイデン大統領の采配で仲が悪化するパワーバランスの変化で、自己防衛が働いたイスラエル国民の支持を受けて、まさかの再選を果たして現在は6期目です。その評判に違わず、連立政権の議会での優勢を活かして、司法を立法の下に置くという、三権分立を破壊する法案を通しました。つまり、最高裁判所が違憲と判断した法律でも、立法の判断を優先するという事です。独裁化が進んでいると言って良いでしょう。なので、実はイスラエル国内の世論も分断されていて、必ずしもイスラエル国民の意思を反映しているとは言えません。猛烈な反ネタニヤフ・デモも起きています。また、軍部の中でさえ、反発する将校は少なからずいます。
・ネタニヤフ政権になって、国粋主義が濃くなった結果、主にヨルダン川西岸地域において、「入植」という名のパレスチナ人が住んでいる地域の接収が活発になります。武器を携帯した軍隊が、住民に圧力をかけて追い出し、そこに建物を立てて、既成事実化して領土を主張するという行為です。民間人なので、相手は武器を持っておらず、抵抗して石などを投げると、銃撃される事件も起きています。これに対して、武力行使で抵抗していたのがハマスで、定期的にロケット弾でイスラエルを攻撃します。これを防ぐ為に開発されたのが、都市防衛システムの「アイアン・ドーム」です。ファタファは、バラバラに行動している武装勢力はいますが、政党としては穏健派と呼ばれていて、パレスチナ自治区の正統政府とされて、国際的な認知を受けてます。なので、武力衝突はヨルダン川西岸地域では頻度が低かったのですね。
・ここで、思い出して欲しいのは、もともとイスラエルとアメリカは、ファタファの勢力を削ぐ為にハマスを支援していたという事です。イスラエル視点から見ると、飛び地で「パレスチナ自治区」としている両地域が政治的に、まとまると、パレスチナ国家樹立への起点になる恐れがあったので、政治的な分断を狙ったのです。特にハマスは、ファタファがアラファト議長の流れを組む政党ですから、相容れない険悪な仲でした。具体的に行った事は、エジプト経由で交渉ができるガザ地区側の権力組織として受け入れ、かつ海外からの支援物資・資金が受け取れる組織に格上げしました。また、イスラエルが発行するガザの住民に対する労働許可証についても、その発行枚数を2000件~3000件だったものを2万件以上に増やしています。つまり、ネタニヤフ政権にとって、ハマスはガザ地区で力を失っては困る、政権維持の理由を作ってくれる組織だったという事です。
・説として、「ネタニヤフ首相は、ハマスに力を与えて攻撃させ、それを理由にガザ地区を武力制圧するシナリオを描いていた」という話もあります。しかし、これは、将来的に狙っていた可能性はありますが、時期としては、あり得ないほどに悪いタイミングなので、恐らく今回の襲撃を期待していたという事は無いと思います。恐らく、手のひらの上で踊っていたと思っていたネズミに噛まれたという表現が適切ではないかと考えます。ネタニヤフ首相としては、駒として完全掌握していたつもりが、牙を剥いてきたという事ですね。
・その根拠は、サウジアラビアとの国交樹立を、かなり本気で考えて画策していた為です。まず、この話は大統領選の目玉を作りたいバイデン大統領が、「中東平和」というお題目を手に入れたくて、両国に働きかけた事で始まります。イランとサウジアラビアの国交回復があったので、パワーバランスを立て直したいネタニヤフ首相にとって悪い話では、ありません。アメリカとイスラエルの意図を見透かしたサウジアラビアは、話に乗る条件として、自国の核兵器開発の容認というカードを切ってきました。核開発国のイラン、所持について否定も肯定もしていませんが、核兵器を既に所有していると噂されるイスラエルを牽制する為にも、サウジアラビアも核兵器を保有したかったのです。で、政治的な看板成果の欲しいバイデン大統領は、この話に乗り気だったと言われています。しかし、この越境攻撃で、恐らく道義的にサウジアラビアがイスラエルと国交樹立する可能性はゼロになりました。
・この事からも判るように、イランが中国の仲介でサウジアラビアと国交回復したと言っても、握った右手の反対の左手には、ナイフが握られているという事です。勢力的な優位が確定した時点で、何かしらの難癖をつけて、国交断絶する可能性は、常にあります。そもそも、サウジアラビアの兵器は、ほとんどアメリカ製なので、縁は切れないですし、ムハンマド皇太子が嫌いなのは、自身の犯罪疑惑を蒸し返してきたバイデン大統領だけです。アメリカと仲違いする気は、ありません。そもそも、イランが共和制国家である事、宗教が政治より上位にあるという国家体制が、王政を布いている周囲のアラブ諸国にとっては目障りなのです。よく言われるシーア派・スンニ派という宗教問題は、「国が存続」するという政治的な意味において、大した意味を持ちません。そんな事だけで殺し合いをする程、単純ではありません。
このイスラム国家に対して、内部の不満分子を支援して対立勢力として育てて内紛を誘発させるという手法は、どこかで聞き覚えがありませんか。まさに、アメリカがアフガニスタンで、やっていた手法です。旧ソ連がアフガニスタン侵攻をした時に、アメリカが支援した武装組織が、今ではアメリカに牙を剥いて、最終的にはアメリカ軍が負けて撤退する事になりました。この手法は、欧州がアフリカの植民地を監督する時に使っていた手法でもあります。少数部族を特別に優遇して、人数の多い部族を差別し、両者に対立を引き起こし、争わせる事で、憎しみが植民地化した自分達ではなく、現地部族同士の内紛になり、結果として統治しやすくなるという手法です。この方法は、ハワイ王国をアメリカの州に組み入れる時や、アメリカン・ネィティブ(インディアン)から土地を奪う時にも活用され、優秀な成果を挙げています。
ロシアがウクライナ侵攻で、子供をさらって再教育しているのも、この手法なのですが、侵攻された側が、ロシアの旧支配地域の中でも、突出して工業・技術・産業が発達した地域で、侵攻してきた側よりも平均的な教育レベルが高かったので、成功しませんでした。この方法が成功するには、弓矢で戦っているところへ、銃で制圧するぐらいの文明格差が必要で、現代的な教育がなされている地域に通用すると思っている事が、そもそもロシアの思い違いです。この辺りの意識も、ロシアの頭が19世紀である事を示しています。
ちなみに、私が今回書いた事が、「真実である」と主張する気は無く、一つの有力と考える解釈です。ネタニヤフ首相に対する告発は、イスラエル国内から出てきていて、実際にやりそうな人物である事は間違い無いのですが、それが真実である事を保証するものではありません。傍証から見た推測である事を、付け加えておきます。』