拡大路線、巨額投資曲がり角 米中対立に拍車も―「一帯一路」10年

拡大路線、巨額投資曲がり角 米中対立に拍車も―「一帯一路」10年
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023101600584&g=int

『【北京時事】中国の巨大経済圏構想「一帯一路」は、習近平国家主席による提唱から10年を経て曲がり角を迎えている。

巨額の投資で新興・途上国への政治的影響力を強めてきた中国だが、構想範囲の野放図な拡大は、米中対立を深刻化させる一因になったとも指摘される。

支援対象国が借金返済に窮する「債務のわな」も表面化。国際的な不信の高まりを背景に、習政権は「質の高いインフラ支援」を目指す方向へかじを切っている。

17日から「一帯一路」フォーラム 北京で、中ロ首脳会談も

 一帯一路は2013年9月、習氏が中央アジアのカザフスタンで提唱した「シルクロード経済ベルト(一帯)」構想に始まる。

かつて中国と欧州を結んだシルクロードの現代版として、沿線国の貿易や経済活性化を掲げた。同年10月には、南シナ海からインド洋、アフリカを経て欧州に至る「21世紀海上シルクロード(一路)」構想が示された。

 習政権は一帯一路を旗印に、新興・途上国での高速鉄道建設や港湾整備といった大型インフラ事業に相次いで参入。

やがて構想は、当初のルートに含まれていなかった中南米や太平洋島しょ国、北極海へも拡大した。

北米を取り囲むように勢力圏を広げる習政権の動きは、米国の安全保障上の警戒心をあおり、日豪印などとの結束強化にもつながった。

 一帯一路構想を巡っては、これまでに150カ国以上が中国との協力覚書に署名。中国政府が今月発表した一帯一路に関する白書によると、13~22年の関係国との貿易総額は年平均6.4%増加し、中国からの直接投資は累計2400億米ドル(約36兆円)超に上る。

 一方、スリランカなどで支払い能力を超えた負債を抱え込む「債務のわな」の実態が明らかになると、中国に批判が集中した。

習政権はリスク回避と収益性確保の観点から軌道修正を迫られ、21年ごろから「小さいながらも美しい」支援の推進を強調している。

デジタルや環境分野などで現実的な資金計画を伴う小規模事業に注力する方針だが、中国が途上国へ浸透する手段としての一帯一路の効力低下は避けられない。

 19年に先進7カ国(G7)唯一の構想参加国となったイタリアは「想定ほどメリットがない」ことを理由に離脱を検討。

ウクライナに侵攻するロシアと友好関係を保つ習政権に不信感を強めるバルト3国は昨年までに、中国と中東欧諸国の経済協力枠組みを脱退し、一帯一路から距離を置く動きを見せている。

構想はかつての拡大路線から参加国の引き留めに苦慮する局面となりつつある。 』