イスラエル、挙国一致政権を樹立へ 地上侵攻に備え
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR11DCB0R11C23A0000000/
『【イスタンブール=木寺もも子】イスラエルのネタニヤフ首相は11日、中道右派野党を率いるガンツ前国防相と挙国一致政権をつくることで合意した。同国メディアが伝えた。司法改革などの争点を棚上げし、イスラム組織ハマスとの本格的な地上戦に備える。
両氏の共同声明によると、挙国一致政権を樹立するほか、通常の内閣とは別にネタニヤフ氏、ガラント国防相、ガンツ氏で構成する小規模な「戦争管理内閣」をつくる。同内閣には元国軍トップら専門家もオブザーバーとして加わる。
両氏はハマスとの戦闘が続く間、議会で無関係の法案審議を進めないことや政令を出さないことでも合意した。政府はハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻を辞さない構えを示している。
イスラエルの内政は直近まで混乱していた。裁判所の権限をそぐ司法制度改革は激しい反発を受け、大規模なデモが続いた。さらにハマスによる攻撃を事前にエジプトから伝えられながら、十分に取り合わなかったとの報道もある。
主要野党との協力で政権を揺るがすこうした対立にいったん蓋をしたうえ、大規模な軍事行動に向けて政権の正統性を高める。
ただ、全ての野党が挙国一致政権に加わる訳ではない。中道政党を率いるラピド前首相はネタニヤフ政権に極右政党が加わっていることを理由に難色を示す。ネタニヤフ氏らは「戦争管理内閣」にラピド氏を迎える用意もあるとしている。
7日にハマスがイスラエルに大規模攻撃をしかけて以降、イスラエル側の死者は11日までに1200人を超えた。一方、ガザ地区への報復の空爆では1100人以上が死亡し、国連によると職員9人も犠牲になった。イスラエルによる封鎖で、ガザ地区では水や電気も乏しくなっている。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は11日、ガザで暮らす200万人以上の民間人について「避難路が開かれることを望む」と述べた。イスラエル、エジプトと協議していると明らかにした。
11日、エジプトの首都カイロで緊急の外相会合を開いたアラブ連盟は声明で、イスラエルによるガザ地区攻撃の即時停止を求めたうえ、全ての当事者に自制を呼びかけた。
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
植木安弘のアバター
植木安弘
上智大学グローバル・スタディーズ研究科 教授
コメントメニュー
分析・考察
イスラエルが挙国一致政権を樹立する背景には、ガザへの軍事侵攻が不可避との判断がある。
軍事侵攻すれば、イスラエル軍にも大きな損害が出るほか、150人規模と言われているイスラエル人の人質の多くが犠牲になりうる。
ハマスは人質を人間の盾として使っており、爆撃がある毎に人質を殺すとしている。
今回ハマスは民間人を標的にして無差別に死傷させており、これまでに1200人というこれまでにない規模の犠牲が出ていることから、イスラエル政権としては更なる犠牲を伴う軍事侵攻へ国民の支持を仰ぐことになる。
いつ軍事侵攻するのか、侵攻後再占領するのか引き上げるのか。
いずれにしてもハマスを壊滅させるのは困難であろう。
2023年10月12日 7:20 』