ハマスが奇襲開戦に使ったとビデオで宣伝しているのは、…。

ハマスが奇襲開戦に使ったとビデオで宣伝しているのは、…。
https://st2019.site/?p=21544

『Gareth Jennings 記者による2023-10-9記事「Hamas uses paragliders to breach Israeli border」。

   ハマスが奇襲開戦に使ったとビデオで宣伝しているのは、トライク(3輪台車)とモーター・パラグライダー(パラモーター)を結合した市販品で、これに2人の武装ゲリラが乗り、後席が操縦、前席が自動小銃での空対地掃射を担当する。着陸後は両名ともに歩兵となる。

 もっと簡略なモーターパラグライダーもある。1人用で、背中に直接エンジンとプロペラを背負い、台車も座席もない。トライクでシングルシーターという商品もある。

 レバノンの軍事専門家、リアド・カワジによると、おそらくこの空挺襲撃隊は、ガザではない外国のどこかで訓練を受けてきた。
 高い「壁」を易々と飛び越えてすぐ裏側に着陸し、壁の一部をイスラエル領土側から破壊する。あとは、その壁のほころびから、普通の歩兵ゲリラが浸透すればよい。

 ただし別なレバノン人でパラグライダーに詳しい人いわく。このビデオは宣伝用の演出でしかない。じっさいにはタンデムのパラグライダーでこんな狭いスペースには降りられないと。

 ※ただちに次のような想像をする。タンデム飛行ができるということは、その2人目の代わりに50kg爆弾を載せて行けるということじゃないか。あるいは、122ミリ榴弾×2発でもいいわけだ。

 また別の、レバノン軍の将軍の証言。イスラエルはハマスのメンバーがパラグライダー訓練をしていることは承知していただろう。しかし、今回のように、一斉に奇襲的にそれを使って攻撃してくるとは、思っていなかったのだ。そんな能力はパレスチナ人にはないと、みくびっていたのだ。

 開戦前、ガザ地区からは毎日、2万人のパレスチナ人労働者が結界の外に出てイスラエル領内で仕事をしてまた結界内に戻って寝ていた。ハマスの諜者が、イスラエル地区の弱点や急所を調べ上げるのは、雑作も無かっただろう。

 レバノン内に住むハマスの幹部いわく。われわれは今回の作戦を2年間、準備してきたのだと。

 ※そこで以下、モーターパラグライダーについて調べてみたが、こいつのポテンシャルには驚かされる。

 まず、英文ウィキの「Powered paragliding」の項目。
    パワード・パラグライディングはPPGと略す。パラモータリングともいう。
 背中に動力一式を担ぐスタイルのものを「パラモーター」という。

 米国など多くの国では、PPGには免許が要らない。
 低速&低空ゆえに、手軽である。しかも機材を持ち運びできる。すべてが低コスト。

 PPGは通常、24km/時(=15マイル)~80km/時で飛行する。高度は5500m以上までも行けるが、そこまで行っちまうと特別な許可が必要だ。

 主翼がリジッドではないので、不測の風向変化があると、翼形状が潰れ、まず低空では、立て直せず墜落する。

 パラモーターは、機材重量が20kg~41kg(=90ポンド)である。
 離陸時には、背負った人間が、3mばかり自分の足で走らなくてはならない。

 ある水平速度に達したあとは、スロットルを開けると、PPGは自動的に斜め上へ上昇する。けっして、一定の水平速度以上に加速することはない。

 パラグライダーを最も早く、軍隊の空挺部隊に導入したのは、レバノン軍である。2008年のこと。

 米陸軍とエジプト陸軍も、「パラモーター社」の「FX」シリーズを長年、研究している。

 しかし実戦で初めて使われたのは、2023-10-7のハマスによる奇襲開戦時である。

 調査によると、PPGのレジャーとしての危険度(事故率)は、自動二輪車よりは低く、四輪自動車よりは高い。

 ※背負い式の怖いところは、エンジンがガソリン内燃機関なので、上空でもしパイプからガソリンが漏れてエグゾーストパイプの熱で火災になった場合、のんびりと地上に戻るまで、パイロットは火で焼かれ続けなくてはならないかもしれないところだ。電動式の場合も、リチウム電池が燃え出した場合が怖い。車台式ならば、エンジンと乗員はすこし離れているので、少しはマシだろう。ちなみに2サイクル・ガソリン機関は40万円台、電動式は190万円台で売られている広告にヒットした。

 2018年のドイツの国内統計によれば、登録されているPPGパイロットは3万6000人おり、事故は232件発生。重傷者は109人。死者は9人であった。

 一部のパイロットは、予備パラシュートを抱えて行く。予備パラシュートの高性能な製品は、開傘高度が46m(=150フィート)であれば、かろうじて接地時沈降速度を秒速5.5mに制動でき、人は助かる。予備パラシュートは、素早く開くようにできている。

  米国でも、客商売でタンデム飛行をする場合には、無許可OKというわけにはいかない。

 英国の場合、パラモーターは、動力付きハンググライダーの範疇に括られる。機材が70kg未満で、失速速度が35ノット以下で、パイロットが走って離陸するタイプであるなら、登録も免許も不要。車輪付きのモーターパラグライダーも、客を同乗させず、失速速度が20ノット以下、機材重量75kg以下で、予備パラシュートを携行するならば、ほぼ同様。

 2009年9月に、PPGによって高度7589mに達したというレコードがある。そのときのエンジンは「HE R220 Duo」だった。

 未公認だが、有名なベア・グリルが、2007年5月にヒマラヤで、8990mまで行ったと主張している。彼はGilo Gardozoが特製した「パラジェット」エンジンをつけて飛んだ。

 PPGによる直線最長飛行距離記録は、1105kmである。スペイン人が2007年4月にカディス港からカナリア諸島まで洋上飛行した。

 次に、製品を市販している会社の宣伝HPより。
   バギーPPG「トライク」。

 三輪の車台にエンジンがついているので、数十kgのエンジンを背中に背負って立つ必要はない。
 数十kgのエンジンを背負って走る必要がない。
 したがって、女性、身体的虚弱者でもPPGが楽しめる。
 海岸のわずかな砂地から簡単に離陸してしまえる。 ※ビデオ動画あり。
 無風状態でも、滑走距離ほぼゼロの着陸ができる。 ※ビデオ動画あり。

 車台なしの、背負い型のPPGは、離着陸に失敗すると、保護ケージがあるとはいえ、やはりプロペラが破損するらしい。車台型なら、エンジンも地面との激突から守られる。

 ※まちがいなくロシアはこれの操縦法をベラルーシ国内でシリア人《難民》に教え、ポーランド国境を大混乱させる作戦に使いたいだろう。

メーカーのビデオを見ると、ほとんど訓練なんて要らないんじゃないかと思えるほどだ。国境のフェンスを越えるだけなら、たぶん、本当に、訓練は要らない。まったくの素人がいきなり動かせるという点では、自動二輪車よりも簡単なんじゃないか? 』