もう絶望しかないよ。

もう絶望しかないよ。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/32602055.html

『 イスラエルがテロ組織のハマスから越境攻撃を受けて、双方で2000人以上の死傷者が発生しました。恐らく、この戦争は、行く所まで行かないと止まりません。こんなところで、駄文を書いている自分の無力さに筆が止まるような出来事です。燃え盛る炎を遠巻きで、ただ眺める事しかできない事を感じずにはいられないからです。今回の戦争の遠因は、ひたすら上っ面の政策に終始したバイデン政権のアメリカにあります。国内をメチャクチャにした上、外交でもアフガニスタンに続く失態です。当事者ではありませんが、中東におけるアメリカの影響力を著しく減じた結果、「好き放題しても、アメリカは手を出してこない」というメッセージを紛争地域に送ってしまった結果が、これです。

武力による威嚇というのは、北朝鮮が核ミサイルを持ちたがるように、残念な事に「平和な状態」を維持するのに役に立ちます。注意して欲しいのは、実際の戦闘にまで至らないという意味での「平和な状態」であり、「平和」ではないという事です。人が「平和」を目指すのは、正しいのですが、実は平和を目指して軍縮やらでパワーバランスが崩れると、必ず「好機」と見て戦争を始める人達が出てきます。なので、自身の所属する国に対して、平和を希求して、一方的な軍縮や交戦権の放棄を進めると、結果として、それが戦争を引き起こします。今回のケースは、まさにそれで、引き金を引いたのは、バイデン大統領です。

元も子もないのですが、私は「共謀し、相手を滅ぼし、自己の繁栄を計る」のは、ホモ・サピエンスの宿痾のようなもので、それを持っていたので、亜人類の中からホモ・サピエンスが覇権を取ったと考えています。地球上の生物の基本ルールが淘汰であり、それを生き延びるのに最大の人類の武器になってきたのが、策謀・共謀する力だったりします。生き残る力=他を滅ぼす力です。人類は、辛うじて、それを理性で曲げようとしていますが、何か問題が発生し、解決が難しくなると、結局のところ力で解決しようとします。

中東におけるイスラエルの紛争の歴史は、史観によっても、立場によっても変わるので、ここ数年に限った動きについて、私の考えを述べます。以下は、今回の戦争の原因の経緯です。

・トランプ前大統領が、オバマ前大統領がイランと結んだ核合意を一方的に破棄。核開発の全面的な停止を行わないのを理由に経済制裁を発動。この時、イランから原油を買って間接的に経済を支える他国に対しても制裁対象にするとしたので、日本も含めて西側諸国は原油代金を精算して、禁輸を行う。まぁ、この時、精算する為の猶予期間があったにも関わらず、代金を払わず、アメリカからの制裁要求を理由に代金を踏み倒していたのが韓国です。しかも、恐らく、代金の代わりとして、日本から輸入したフッ化水素の一部をイランに渡していました。日本が韓国のホワイト国指定を止めたのは、これが原因です。フッ化水素は核兵器開発に必要な素材の一つです。で、トランプ大統領が、合意を破棄してまで、経済制裁をしたのは、イランがレバノンやガザ地区、ヨルダン川西岸地区のテロリストに、武器の援助をしていたので、資金的に締め上げる為です。恐らく、今回、ガザ地区のハマスが5000発とも言われるロケット弾を準備できたのも、イランに対する制裁が解除され始めたからです。この時、イランとの関係を切った代償として、トランプ外交は、エルサレムのイスラエルの首都としての承認、アラブ首長国連邦等4カ国のイスラエルとの外交関係樹立を引き出しました。正直な話、この時のアラブ諸国は、イスラエル排斥の戦いに疲れていて、それよりイランの核兵器開発問題の方が重要事項になっていました。最終的には、サウジアラビアがパレスチナより対イラン政策を優先したのが決め手になりました。

・これを、バイデン大統領が元に戻そうとします。理由としては、核合意で決められたIAEAの査察をイランが拒否をして、破棄と同時に新たな核兵器開発を始めたからです。イランが約束を守る国であるならば、核合意時点まで時計の針を戻す事もできたのですが、残念ながら資金ができると、イスラエルの殲滅の為に隣接国のテロリストに資金を提供するのがイランです。なぜ、そう言えるかと言えば、今までの振る舞いが、そうだからです。

・このアメリカの政策変更もあって、イスラエルにゴリゴリの右派政権であるネタニヤフ政権が再選します。つまり、自分の身は自分で守る的な勢力が国内的に強くなったわけです。この政権がヤバイのは、三権分立の司法を行政の下に置くような法案を通した事です。ちなみに、ネタニヤフ政権の支持層は、右派とユダヤ教政党です。つまり、国粋主義者の連立政権という事です。

・結果として、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治区と呼ばれる地域を、制圧して併合すべきだという意見が政治に反映され始めます。具体的には、「入植」という名のパレスチナ人の生活する地域の強制的な接収が始まります。実際に起きていた事は、自動小銃を持った軍隊が、「ここはイスラエル人が入植する事になった。☓☓までに出て行け」と、代替地も示さず脅して退去させるという行為です。相手は一般の民間人で武器をもっていないので、石を投げたりして抵抗すると、下手すると撃たれるという強行をしました。本気でパレスチナ自治区を、消滅させる行動に出た事で、紛争に発展します。

・これに対して、パレスチナ自治区でもハマスを中心に、定期的にロケット弾でイスラエルを武力攻撃するという対抗手段に出ます。これを、防いでいたのが、一時期話題になった都市防御システム「アイアン・ドーム」です。ちなみにハマスは、テロリスト認定されていますが、ガザ地区では議会でも多数派になっています。ただ、その時の手段が武力占拠によるものだったので、現在、ヨルダン川西岸地域を支配しているファタハが今でも正当政府と認知されています。ハマスを承認しているのは、シリアとイランだけです。ガザ地区に住むパレスチナ人からも、ハマスは絶対的な支持を受けているわけではなく、武力で制圧して実効支配しているに過ぎません。

・バイデン大統領がサウジアラビアのムハンマド皇太子が命じて、王政に対して批判的な報道をするジャーナリストをトルコ大使館内で謀殺したと疑われる件で、大統領選挙の公約を果たす形で蒸し返した事で、両国の関係が悪化。後に、サウジアラビアが、ロシアのウクライナ侵攻で、原油の増産を頼みに行ったバイデン大統領の要求を突っぱねたり、わざわざ中国の仲介でイランと国交回復する原因を作ります。そもそも、サウジアラビアはイランに対抗して、核兵器を持ちたいと考えているくらいなので、この国交回復は、完全にアメリカに対する当てこすりです。そもそも、サウジアラビアの武器は、ほぼアメリカ製ですし、関係は切れません。外交的に有利な位置を得る為の駆け引きです。しかし、中国も巻き込んで中東の盟主がイランと国交を回復した事は、この地域の政情不安を引き起こします。

・テロリストに武器と資金の供給をしているイランに対抗する足固めをする為に、イスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカの仲介でサウジアラビアとの国交正常化を目指します。そして、サウジアラビアは、核兵器開発の承認などを条件にアメリカに譲歩を求めます。この時点でも判るように、サウジアラビアは、イランとイスラエル、更には、その後ろにいるロシア・中国とアメリカを両天秤にかけて、自国に有利な交渉を展開しようとしています。サウジアラビアが核を持ったら、再びイランは宿敵に逆戻りです。よく言われるスンニ派・シーア派という宗教上の理由よりも、アラブ諸国の多くが王政なのに、イランが共和制である事が問題です。また、宗教が政治の上にあるのも問題です。つまり、イランという国を中東から排除したいという願望が、国家の根底にあります。政治体制や思想は、国境を超えて伝播するからです。

・前々から「パレスチナを救う」というアラブの結束が綻び、イスラエルとの国交樹立が進む様子に、ハマス・ヒズボラという支配圏を持つテロリストは、危機感を抱いていました。特に、中東の盟主であるサウジアラビアがイスラエルと国交正常化した場合、パレスチナ問題が棚上げされる可能性があります。それゆえ、刺し違える覚悟で、今回のイスラエルへの攻撃が強行されたと思われます。

とまぁ、ここ数年の動きだけでも、自身の都合で暗躍する中東情勢というのが、いかに複雑怪奇かが判ります。今回、ハマスがイスラエルの民間人を多数虐殺し、人質を取ったのは事実ですが、ネタニヤフ政権下のイスラエル軍が、銃でパレスチナ住人を小突いて追い出し、「入植」という名の侵略をしていたのも事実です。

こう考えると、オバマ元大統領がイランと結んだ核合意を、トランプ元大統領が一方的に破棄するという無茶をしてまで、イランが支援するテロリストへの資金源を絶ったのに、それを更にバイデン大統領が緩めた為、中東におけるアメリカの外交が混乱し、かつ、今回のハマスの攻撃を可能にする武器の準備が整ったという流れになります。つまり、バイデン外交の失敗が招いたと言えます。今回は、双方で犠牲者が大量に出ているので、最悪、ガザ地区の住人が数万人単位で死なないと、終点は見えてこないと思われます。人質の命は無視してでも、空爆を続けるとイスラエルは断言していますからね。

不幸なのは、ハマスがガザ地区の住民の総意でも無いし、極度に右傾化して、司法まで行政の下に置いて独裁体制を進めるネタニヤフ政権が、多くのイスラエル人の反感を買っている点です。いわば、両方とも、権力中枢にいる一部の人間が始めた争いの為に命を奪われています。特にイスラエル側は、戦争を命令する側に、あの交戦の絶えないイスラエルで、戦闘経験者がいません。政治屋と宗教政党の連立政権が、決定権を握っています。

良く言われる事ですが、まともな軍人は、周囲で人が大量に死ぬ事が判っているので、戦争が好きではありません。多くの場合、抑止力として周りとのパワーバランスを保つ為に存在します。それゆえ、とてもリアリストです。実際、戦争になるのは、実戦経験の無い、思想家が政権を握った時が一番危ないと言われています。つまり、この抑止力を、単なる理想主義で崩すと、結果として大勢の人が死ぬという事です。政治は思想ではなく、生存権を賭けた現実だからです。

※この程度の文書を書くのに、かなり疲労しました。それくらい、ここの歴史と憎悪の連鎖は、ヘビーです。うっかりした事を書けないし、正確に伝える事すら難しいです。多分、上記の文章も、解釈の一つに過ぎないし、いくらでも異論を唱える人もいるでしょう。私の能力でできるのは、この程度が限界です。』