イスラエルがガザ地区沿いの支配権を確保、30万人の予備役動員も完了

イスラエルがガザ地区沿いの支配権を確保、30万人の予備役動員も完了
https://grandfleet.info/middle-east-afria-related/israel-secures-control-along-the-gaza-strip-and-completes-mobilization-of-300000-reservists/

『イスラエル国防軍は「ガザ地区沿いにある全ての街の支配権を取り戻し、スマート・ウォール(国境の壁)の穴も戦車によって物理的に塞いだ」と発表、さらに「48時間以内に30万人の予備役を動員を完了した」と付け加えた。

参考:IDF says it has regained control of all Gaza border towns but terrorists may remain
参考:הוחזרה השליטה ביישובים, גלי תקיפה ו-300,000 אנשי מילואים. לעדכונים
参考:Iran Helped Plot Attack on Israel Over Several Weeks

イスラエル側は「何らかの脅威」に関する評価を間違えてしまった可能性がある

イスラエル国防軍のハガリ報道官は9日「ガザ地区沿いにある全ての街の支配権を取り戻し、ハマスに突破されたスマート・ウォールの穴も戦車によって物理的に塞がれ、これを攻撃ヘリや無人機で支援している。現在、どの街でも戦闘は起きていないが、まだテロリストが隠れている可能性もある」と発表した。

出典:GoogleMap 管理人作成(クリックで拡大可能)

この話が事実なら「ハマスがガザ地区外に確保していた街や入植地を全て奪還して約40kmに及ぶ国境ゾーンを確保した」という意味になるが、ハガリ報道官はハマスが発射したロケット弾の数についても「約4,400発(7日~9日)」と明かしたため、駐米イスラエル大使がCNNに明かした「4,000発以上」という数字は正しかったことになる。

ただハマスの報道官は「全てのパレスチナ人捕虜を解放し、ヨルダン川西岸とエルサレム(アル・アクサ・モスク)におけるイスラエル側の挑発行為を終わらせるため戦いは続く」と述べており、WSJ紙も今回の攻撃について「イラン革命防衛隊の幹部と4つの過激派代表(ハマス、イスラム聖戦、ヒズボラ、パレスチナ解放戦線)はベイルートで定期的に協議を行って今回の作戦を練り上げた。10月2日の協議で革命防衛隊は作戦実施のゴーサインを出した」と報じているのが興味深い。

出典:Tasnim News Agency/CC BY 4.0 DEED WSJ紙が過激派との調整を主導したと指摘したイラン革命防衛隊のイスマイル・カーニ准将

ハマスとヒズボラの幹部は「イスラエルに多方面から軍事的圧力を加えるのが本作戦の目的で、ネタニヤフ政権が内部分裂に隙に打撃を与えることを意図していた。他にも米国が仲介しているサウジアラビアとイスラエルの関係正常化協議を中断させる狙いもあった」と述べ、イスラエルのエルダン国連大使も8日「シリアとレバノンでイスラエルを取り囲むテロ組織の指導者が協議していたことを知っている。彼らはイランと可能な限り協調しようとしていた」と語ったため、イスラエル側も「何らかの脅威」が迫っていることを察知していたのだろう。

ただエジプト当局者はAP通信に「彼らにガザ地区の事態がまもなく爆発し『それが大きなものになる』と警告してきたが、イスラエル当局はヨルダン川西岸に注目してガザ地区の脅威を軽視していた」と述べているため、イスラエル側は「何らかの脅威」に関する評価を間違えてしまった可能性がある。

因みにイスラエル国防軍のハガリ報道官は「48時間以内に30万人の予備役を動員したが装備や食料に不足はない。これほど迅速にこれほど多くの予備役を動員したのは初めてのことだ」と述べた。

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※アイキャッチ画像の出典:Israel Defense Forces
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投稿者: 航空万能論GF管理人 中東アフリカ関連 コメント: 46 』

『 ホテルラウンジ
2023年 10月 09日

返信 引用 

>イラン革命防衛隊の幹部と4つの過激派代表(ハマス、イスラム聖戦、ヒズボラ、パレスチナ解放戦線)はベイルートで定期的に協議を行って今回の作戦を練り上げた。

ハマス→スンニ派
ヒズボラ→シーア派
イラン→シーア派
イスラム聖戦→スンニ派
パレスチナ解放戦線→パレスチナだけでに多分スンニ派

オールイスラムですよね
10

    ホテルラウンジ
    2023年 10月 09日
    返信 引用 

・UAEやサウジがイスラエルと関係正常化したのはイラン(シーア)が脅威になってきたから
・でもサウジアラビアは中国の仲介でイランとも関係改善
・イスラエルはアラブ系とユダヤ系が子供作りまくり競争をしてるがアラブ人の繁殖率には勝てず。
・だからイスラエルが強引に入植しまくって既成事実を作ろうとしているヨルダン川西岸地域をイスラエルに組み込んだ場合、2030年にはイスラエルではアラブ人の方が人数多くなる見込み(ユダヤ人は少数派になる)
・ネタニヤフは人口逆転の脅威からか右傾化を進めており、ヘブライ語を公用語と指定し、司法制度改革で一国家二民族の現状をユダヤ人を一等国民、パレスチナ人を二等国民に固定化を目指す(が国際的な批判を浴びてこれは失敗)

パラメータ多過ぎ問題w
33 』

『 野村
2023年 10月 09日

返信 引用 

想定通りすぎるというか、アラブの大半を敵に回しても継戦防衛でき、決して軍備縮小も平和ボケもしていないイスラエル相手に奇襲で一瞬打撃と衝撃を与えて、ハマスは結果何をしたかったかが全くわかりません。
エジプトやサウジの後ろ盾があるならともかく、ロシア側のイランだけでは反イスラエル感情も今は下火にしかならないでしょう。

イスラエル国民は日頃からテロや侵攻のリスクに隣り合わせで生きていますし、特に入植地に入る人はいわゆる貧困世帯で選択肢も多くないため、ガザ忌避の動きが加速するとも思えません。

ハマス自体もかつてのISIS,ISILのような勢いがあったわけでもなく、アラファト氏のように支援集めがうまかったわけでもなく。。。
陰謀かどうかはともかく、なんらかの勢力にうまく利用されて崩壊に向かわされた気がしますね。

イスラエルはハマスが潜んでいる可能性がある箇所は容赦無く民間人ごと空爆しますし、ロシアやアラブの春の政府軍と
違い、国際社会からもそれを実質許容されてしまっているので、パレスチナに住む人々が本当に気の毒です。
18

    ジュディ
    2023年 10月 09日
    返信 引用 

テト攻勢の再演を狙っていたのではないかと推測
2
        鳥刺
        2023年 10月 09日
        返信 引用 

    テト攻勢の場合は、プロパガンダのフィールドでの成功でアメリカの戦意を阻害したプラス面と、戦術的には惨敗で南ベトナム解放戦線は再起不能の打撃を蒙ったという大きなマイナスの両面がありました。

    そして、当時の北ベトナムには「戦力を涵養できる聖域」と「戦争をベトコンから引き継ぐ北の正規軍」が存在したわけですが、ガザには後背地は皆無ですしハマスには後詰はありません。ハマスが軍事的にイスラエルに勝利する見込みもありません。

    また、イスラエルの戦意には疑問の余地は皆無で、周辺の軍事バランスでも大きな優位を保っています。

    主体をパレスチナとすると、得られる利益は見えて来ませんね。

    しかし、ハマスの壊滅もガザの住民の犠牲も構わないというレベルで中東全体に及ぶ戦略構想を描いているプレイヤーから見れば、民衆レベルへの宣伝効果で地域のアラブ社会全体の不安定化、反欧米化を期待しているのかもしれません。
    14
            ジュディ
            2023年 10月 10日
            返信 引用 

        的を射た簡潔な解説をどうも

        ハマスはテト攻勢の自身に利となる部分だけに着目し、その上で部分的に再現したかったと推測している
        一時的にアメリカ大使館が占拠され、国際社会に対する宣伝戦で有利にたった点など自陣営に都合の良い面だけを評価したと考えられる
        元より、軍事的な格差からイスラエルの軍事的壊滅など夢見る状況でなく報道ありきの宣伝戦こそがハマスの主戦場だったと推測される
        4 』

『 名無し
2023年 10月 09日

返信 引用 

イスラエルがガザ地区を更地にするような報復をもし行ったら
アラブ諸国の今のところの反応から、イスラエルが関係改善を目指してたけどそのアラブ諸国との関係は昔の最悪な状態になる可能性があるんじゃないかな
中東戦争のような大規模な戦争にはならなくても、密かにハマスへの資金援助を増やすか戻す国が出てくるんじゃないかと

政治レベルでお互いに関係改善に動いてきたけど、アラブ諸国の声明からその改善は形骸化してて全く進んでなかったのは明らかで
さらにはイスラエルと国交を樹立してたUAEがハマス寄りの声明を発表
アラブ諸国の国民の反応見てると「(目標は全く設けずに)久しぶりにイスラエル相手にドンバチしよう!!」って感じに思える
だからアルカイダやISに密かに資金提供や協力してたアラブの富豪が存在したっぽいのと同じように、アラブ諸国からバレないようにハマスに協力する人が出てくるんじゃないかな、イスラエルの反撃の度合いによってはさらに
イランが支援してるのは明らかなのにサウジアラビアはハマスを非難する気がゼロだしね
アラブ諸国がハマスを公然と批判したら国民から反発されるかもしれないっていう背景があるのかもしれないが

どう転んでもイスラエル国民にもパレスチナ国民にも地獄が待ってそう…
15 』

『 58式素人
2023年 10月 09日

返信 引用 

イスラエルの場合、長期間の動員は無理では。
第四次中東戦争の時も、約1ヶ月で戦闘は終了しています。
ガザ地区を更地にしたいでしょうが、一気には出来ないのでは。
当面、兵糧攻めとUAVによる偵察/自爆攻撃と空軍による偵察/爆撃が主では。
敵の司令部と兵站組織の破壊と、兵糧攻めによる内部崩壊を狙うのでは。
これだけなら、1ヶ月くらいでしょうか。
4

    たむごん
    2023年 10月 09日
    返信 引用 

仰る通り、長期動員は無理です。
2014年のガザ侵攻も、2014年7月8日に攻撃開始、2014年8月26日に無期限停戦合意です。

1ヵ月で、まずは大方の目途をつけるというのは、鋭い分析と思います。
ガザ地区は縦深11kmしかないうえに、ライフライン依存のため簡単に封鎖できるわけですし(ハマスは兵糧攻めされた時にどうする計画なんでしょうかね…)
5 』

『 たむごん
2023年 10月 09日

返信 引用 

イスラエルは、さすがに地力がありますね。
予備役の動員が早い(元首相も前線に行っており驚きました!)

経済的に、3ヶ月程度が過去の戦訓から、限界と予想します。
ただ、イスラエル経済は順調であり、底力は以前より増しています。

対テロ戦争のため、西側諸国から外交的支持も確保しており、支援も見込めますね。
落とし所は、どこにするのかでしょうか。

日本陸軍や海軍も、初動の奇襲攻撃を行っていましたが、現代でも有効なのですね。
日本は、専守防衛を国是としてきましたが、現代線では無謀(初動の被害が大きすぎる)に感じます。
7 』

『 gepard
2023年 10月 09日

返信 引用 

国家の分析の際に、GDPや軍事力について着目するのは当然だがまず最初に着目するべきと私が考えるのは人口動態である。

イスラエルの人口は950万程度であるが、ユダヤ系がおよそ700万(約70%)に対しアラブ系(パレスチナ人)がおよそ200万(約20%)とアラブ系イスラエル人の割合がかなりを占める。更に出生率の高いアラブ系は年を追うごとに人口比でユダヤ系の優位を脅かし「イスラエルがいつかムスリムに乗っ取られる」ことは荒唐無稽な極右の陰謀論とは言い切れない事情がある。

こうした人口動態に基づいたユダヤ人の恐怖は、パレスチナ人追放やヨルダン川西岸の併合などを主張する極右勢力の伸長を招き、司法改革などネタニヤフ政権の権威主義体制強化とそれに対するリベラル高学歴者層の反発を招き大規模デモが頻発するなど社会の分断を深めてしまった。

今回の攻撃で短期的にはネタニヤフ政権は挙国一致体制を強化し支持率低下の問題も払しょくできる可能性があるが、根本的な人口動態に基づいた問題は解決しない。極右は今回の事態を利用して過激な解決策を求める可能性があるが、倫理的な面は無視しても、それはこれまでのパレスチナ封じ込め政策からの抜本的転換を意味し、貴重な国力を長期的かつ大幅にパレスチナに投じることを意味する。イランがその隙を逃すだろうか?

イスラエル人とパレスチナ人の平和的共存が大幅に後退した今、アラブ系住民を大量に抱えるイスラエルのかじ取りも非常に難しいものとなった。
一つの意見として参考にしていただければと思う。
17

    たむごん
    2023年 10月 09日
    返信 引用 

仰る通り、人口動態に着目するのは鋭いと思います。

イスラエルは、アラブ系の出生率が高い事に脅威を抱いており、先進国の中でも出生率を高める事を国策としてきました。
イスラエルの合計特殊出生率は、2020年3まで高める事に成功、ユダヤ教超正統派は6.64のようです(超正統派の話は今調べて驚いています)

日本も移民の割合が高まっていますが、ワラビスタンの偽装難民を見れば、日本民族が日本の全ての地域で主権を保てるのか怪しくなってきていますね。
10 』

『 nojigoo
2023年 10月 09日

返信 引用 

この事態の帰結がどこにあるのか見通せませんが、最終的には最大の犠牲を払うのがハマスとガザの人々で、次に大きな犠牲を負うのがイスラエルの政権と国民だろうと思います。

政治的にはイスラエル・米国と西側諸国・アラブ穏健派の政権がダメージを負い、イラン・ヒズボラ・中露北が政治的成果を得るということになる。

言ってみればガザ200万人の命を用いた自爆テロのようなものだったのではないでしょうか。

貧しい女子供のような弱者に爆弾を背負わせて幹部は安全な場所から指示を出す、そんな仕組みが国家レベルで再現されているとしたら恐ろしいことです。
8 』