EU、AI・量子技術の流出阻止 中国念頭にリスク評価
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0402S0U3A001C2000000/
『【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は3日、加盟国が持つ人工知能(AI)や量子など先端4分野の技術について、域外に流出して軍事転用されるおそれがないかリスク評価を始めると発表した。対中国を念頭に、対象分野の輸出規制の強化や対外投資規制を検討する。
米国は8月、AI、量子、先端半導体といった技術を対象に、米国の企業・個人による中国への投資を規制する新制度を導入すると発表した。政府に届け出を義務付ける。EUもこうした動きに追随し、AIと量子、先端半導体、バイオ技術の流出を阻止する方針を明確にした。
こうした先端技術が軍事転用され、安全保障上のリスクを高めるのを防ぐ。新技術が政府の監視能力を高め、市民の人権侵害が増える事態も懸念する。EUは中国を名指ししてはいないが、欧州委関係者は「中国政府と人民解放軍に我々の技術を与えてはならない」と明言する。
欧州委は今後、加盟国と連携してそれぞれの技術の脆弱性のリスク評価を進める。効果的な流出防止策も話し合う。EUは米国と同様の対外投資規制を検討する。ただ中国の反発は必至で、加盟国内には慎重論もある。制度設計は難航する可能性がある。
欧州委は6月に初の経済安全保障戦略を公表し、先端技術の保護に注力する方針を打ち出した。中国製の電気自動車(EV)を巡っても、EU域内で価格競争力を持つ背景に中国政府の補助金があるとみて、制裁関税も視野に入れて調査に乗り出した。
ブルトン欧州委員(域内市場担当)は3日、「X(旧ツイッター)」で「欧州は新たな地政学的現実に適応し、素朴な時代に終止符を打つ」などと強調した。
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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事
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ひとこと解説
欧州委員会の文書によれば、対象となる技術の選定は、技術の実現性と変革性、軍民融合のリスク、人権侵害のために技術が悪用されるリスクの3つの基準から10の領域の重要技術を選定し、その中でも技術の安全保障と技術漏洩に関して、最も機微で差し迫ったリスクがある領域が4つに絞り込まれたようだ。
リスク評価の作業は23年末までに実施、24年春に一連の取り組みの結果を踏まえた追加措置を提示する可能性があるという。対象領域を拡張する可能性も示唆されている。
2023年10月4日 15:51
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察
EUは突然目覚めたように、中国のEVに対して制裁関税を課すと報道されている。
今度はAIや量子技術の流出を阻止しようとする。EVは日米欧が出遅れているが、AIや量子技術は世界をリードしている。確かにそれを軍事利用されると、たいへんなことになる。
問題はそれに網をかけて流出を阻止しようとしているが、網に穴があるので、効果のほどはわからない。
なによりも、EUは一つの国ではなく、ある政策について同床異夢の感もある。EUが結束できるかはポイントになる
2023年10月4日 8:11 』