コロナ禍で社会は「分断」から「寸断」へ 吉川徹
https://www.jiji.com/jc/v8?id=202301sundanshakai
※ 『帰属する社会階級ごとに社会意識が決まる、というのは19世紀の社会についてマルクスが論じたことである。しかし今は、社会意識の面では、階級社会とも、年功序列社会とも、ジェンダー社会とも言い難い。かつては確実で分かりやすい結び付きであった社会的地位と社会意識の対応関係が、現代の日本社会では見通しにくいものになっている。』…。
※ まあ、そうだろうな…。
※ 今現在の社会(日本社会に、限った話しじゃない)は、所属する(と、思っている)「階層」が、「明日の安寧」を保障してくれるような状況じゃ無いからな…
※ 「明日をも、知れない『コンクリート・ジャングル』」だ…。
※ 的確に、「この先の方向性」を読んだヤツだけが、「生き残っていける」のは、「人類誕生」の昔から変わらない話しだろう…。
『2023年01月20日07時30分
誰が何を考えているのか見えない時代
社会調査のデータから今、ある確実なトレンドを読み取ることができる。日本社会のどの位置にいる人が、どんな価値観を持ち、いかなる心理状態にあるのかという関係性が年々はっきりしなくなっているのだ。
私たちが進めている研究プロジェクト(SSPプロジェクト=総格差社会日本を読み解く調査科学)では、人々の社会意識(ものの見方や考え方)について同じ質問を繰り返している。階層帰属、満足度、格差や不公平についての意識、価値観の保守性、将来展望の不安、他者への信頼感、仕事や家庭生活についての価値観、NPOや市民活動の積極性、政治的な意識、消費の活発性などである。
調査データから日本社会の仕組みを知る分析法として、性別、年齢、学歴、職業、収入などの基本的なプロフィルと、社会意識の関係性を見る重回帰分析という解析法がある。簡略に言うならば、一人ひとりに社会のどの位置にいるのかを尋ねて、その人のものの考え方を推測するクイズのような構図の分析モデルである。
それぞれの時代のデータをこのモデルで分析してみると、一つの傾向が見て取れる。人々の社会意識というものは、職業や収入、年齢など基本的なプロフィルの多寡や優劣によって左右されてきたが、その影響力や度合いが総じて弱まっているのだ。
かつては、人々の心のあり方は基本的なプロフィルから予測できた
平成の初めの頃はまだ、日本社会は年齢、性別、社会的地位と経済力が分かれば、その人のものの考え方や行動様式が今より確実に推測できる状態だった。ところが21世紀に入った頃から、社会意識の規定構造がはっきりしなくなり始め、分析モデルの予測力は現在はほぼ半減している。家族構成、居住地域、友人知人のネットワークなどに視野を広げても、今の日本人のものの考え方を左右している共通の要素は見つからない。
ディスコで「パラ・パラ」と呼ばれるダンスを踊る若者たち=2000年2月、東京都新宿区(AFP時事)
帰属する社会階級ごとに社会意識が決まる、というのは19世紀の社会についてマルクスが論じたことである。しかし今は、社会意識の面では、階級社会とも、年功序列社会とも、ジェンダー社会とも言い難い。かつては確実で分かりやすい結び付きであった社会的地位と社会意識の対応関係が、現代の日本社会では見通しにくいものになっている。』