米下院、マッカーシー議長の解任動議を可決 米国史上初

米下院、マッカーシー議長の解任動議を可決 米国史上初
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN03DUA0T01C23A0000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米連邦議会下院は3日、野党・共和党トップのマッカーシー議長の解任動議を与野党の賛成多数で可決した。下院議長の解任動議が可決するのは米国で初めて。与党・民主党の議員に加え、政府閉鎖を回避したつなぎ予算を巡る対応を問題視した共和の保守強硬派らが賛成に回った。

共和のマット・ゲーツ下院議員は2日、マッカーシー氏の議長解任動議を提出した。政府閉鎖を回避したつなぎ予算を巡り要求した…

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『政府閉鎖を回避したつなぎ予算を巡り要求した歳出削減などを受け入れず、民主と協力したことを問題視した。これまで解任動議を提出された下院議長はマッカーシー氏で3人目で、可決された初のケースになる。

マッカーシー氏の解任動議を巡る採決は賛成が216、反対が210、欠席が7だった。米メディアによると、8人の共和議員が賛成した。

現在の下院(定数435)の構成は多数派を握る共和が221議席で、民主が212議席をもつ。ゲーツ氏を含む20人ほどが所属する共和の保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議連)」は少数派ながら、与野党の拮抗をテコに下院で影響力を行使できる構図にある。

9月30日に成立したつなぎ予算に強硬派が強く求めていた国境の警備強化策は盛り込まれず、民主が賛成に転じたため可決を阻止できなかった。ウクライナ支援の継続に前向きだったマッカーシー氏の後任議長次第では、バイデン政権が急ぐ対ウクライナの追加予算の成立が一段と難しくなる可能性がある。

ゲーツ氏は1日、反対する追加のウクライナ支援を巡り「マッカーシーが与党・民主党と密約を交わした」と明かしていた。つなぎ予算から除外されたウクライナ支援の予算案を実現させる代わりに、マッカーシー氏が議長職にとどまるよう民主と協力する交渉をしている可能性を示唆した。

下院民主トップのジェフリーズ院内総務は3日、党所属議員に送った書簡でマッカーシー氏の解任動議に賛成する方針を伝えた。「下院共和の内紛を終わらせるのは、今や共和議員の責任だ」と記した。

ゲーツ氏らはマッカーシー氏が1月に議長に就任する際も反対した。15回目の議長選で当選した時、マッカーシー氏は反対派を取り込むため譲歩案を提示。1人でも解任動議を採決できるように条件を大幅に緩和した経緯がある。

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菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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分析・考察 米国が民主主義をとる以上、多数の賛成があれば下院議長が解任される事態は当然起こりえます。

とはいえ、ただでさえ党派分断が著しい米国で、野党・共和党内の内紛・造反によって自党の議長を追い出す米史上初の事態は異様そのものです。1月に15回の投票を経てようやく選出されたマッカーシー氏の苦難は予想されたことですが、かくも簡単にその座を追われるとは。与野党から多数のコンセンサスを得られる下院議長候補が果たして出てくるのか。米連邦政府予算での「妥協」は果たして可能なのか。米共和党は結束を取り戻すことができるのか。

米政治の混迷が極まりました。トランプ前大統領がこの問題で沈黙を保っているのも不気味です。

2023年10月4日 7:06 』