米フィリピン、海洋軍事演習 多国間での連携誇示

米フィリピン、海洋軍事演習 多国間での連携誇示
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『【マニラ=志賀優一】フィリピン海軍は2日、米海軍との合同軍事演習「サマサマ」を始めた。海上戦闘能力を高めるため対空戦などを想定した訓練を実施するほか、日本の自衛隊を含む他国との連携強化も進める。南シナ海で領有権を巡り対立する中国が海洋進出を活発化するなか、中国をけん制することになりそうだ。

「この演習は対潜戦から電子戦まで現代の海軍作戦にあらゆる側面で対処し、海上戦能力を洗練できる」。フィリピン海軍のトリビオ・アダチ司令官は同日、首都マニラにある同軍本部で開かれた合同軍事演習の開会式でこう強調した。

米海軍のカール・トーマス第7艦隊司令官は同日「全ての国でなく一国にのみ利益をもたらすため、ルールに基づく国際秩序は引き裂かれ、試されている」と語った。名指しは避けたが中国を念頭に置いた発言だ。

「一緒に」を意味するタガログ語のサマサマと名付けられた同演習は同日から13日まで、マニラ首都圏のほかフィリピン北部ルソン島の南部で実施する。フィリピン海軍の能力向上を主軸としており対空戦や対潜戦、対水上戦、電子戦に関する訓練を網羅する。

フィリピン軍は演習を通じて「国際的な防衛協力を強化するとともにルールに基づく国際秩序を前進させることを目指す」と説明した。

同演習では米比にとどまらず海上自衛隊や英国、カナダ、フランス、オーストラリアとの相互運用性を向上させるための訓練も実施する。ニュージーランドのほか東南アジア諸国連合(ASEAN)からはインドネシアがオブザーバーとして参加する。

多国間での連携が進む背景にあるのが、南シナ海で中国による海洋進出が活発化していることだ。ルソン島の西に位置し中国が実効支配するスカボロー礁(中国名・黄岩島)では9月下旬、中国海警局が約300メートルにわたる浮遊障害を設置した。

フィリピン政府は同国漁民への妨害であり国際法違反だと非難。同国沿岸警備隊(PCG)が25日、マルコス大統領の命令の下で除去していた。マルコス氏は29日、「フィリピン領海内なのは明白だ。我々はトラブルを起こしたいわけではない」と述べた。

PCGは18日、南沙(英語名スプラトリー)諸島で中国の海上民兵がサンゴなど海洋環境を破壊している可能性があると発表。8月には物資の輸送などをしていたフィリピン船が、中国船から放水銃を撃たれる事案があった。8月末に中国が南シナ海の大半を自国の領有権だと主張する新しい地図も発表した。

こうしたなかフィリピンが進めているのが米欧などとの協調だ。マルコス氏は9月8日にアルバニージー豪首相と会談し、安全保障分野などでの連携強化を確認した。27日にはマクロン仏大統領と電話会談し、南シナ海問題について協議した。 』