起きた事より挙動がゾッとするカナダのトルドー首相

起きた事より挙動がゾッとするカナダのトルドー首相
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『カナダのトルドー政権が、やっちまいましたねぇ。カナダ議会のみならず、海外を巻き込んで、大きな論争になっています。以下に、時系列で事件を説明します。

・9月22日に、カナダ議会がウクライナ大統領を招待。
・ゼレンスキー大統領が現れると、議場でウクライナ国歌を議員が合唱する大歓待。
・650億円の支援を、トルドー首相が表明。がっちりとゼレンスキー氏と握手。

まぁ、ここまでは良かったのですが、トルドー首相と言えば、左派でカナダ経済を壊しているイケメン首相です。彼も二世で、父親がピエール・トルドー氏という急進左派で、カリスマのあった指導者です。彼の姿に父親の姿を見る支持者も多く、歯切れのいい物言いで人気を集めて首相に当選しています。しかし、現在の彼の評価は、芳しくありません。原因は、「言いっ放し」、「実行力が無い」、「無責任」など、言葉の勢いの割に指導力が無い事に対する批判です。で、今回も、それが出てしまいました。

・下院議長のアンソニー・ロタ氏が、「特別ゲスト」がいるサプライズを告げる。
・ウクライナ系カナダ人で、第二次世界大戦でウクライナの独立の為に旧ソ連と戦った「英雄」と紹介。
・議場は拍手とスタンディング・オベーションで包まれる。

まぁ、こういうところに政権の人気取りの為に、すかさずイベントを、ぶっ込んで来るところが、すなわち、今のトルドー政権の問題点でもあります。セレモニーや物語で人気を取りに行って、現実の政策で評価されるどころか、国民の一部からは蛇蝎のごとく嫌われているのですね。このセレモニーのツボは、カナダ人で、ロシア(旧ソ連)と、ウクライナの独立の為に戦った「英雄」がいるという点ですね。ところが、この人物の経歴を、調べると、とんでも無いものでした。あ、ちなみに、誤解の無いように予め書いておきますが、この人物に対して、どうこう言う意図は無いです。世界大戦という時代の中で、個人という立ち位置で、どう振る舞うかに対して、今現在の価値観で、モノを言える立場じゃないですからね。

・歓迎を受けたのは、Yaroslav Hunka氏(98歳)という方です。
・確かに、現カナダ国籍を保有し、ウクライナで旧ソ連と独立の為に戦っています。
・しかし、この方が所属していたのは、ナチスに協力していた部隊です。
・カナダはナチスの逃亡先として、イスラエルあたりから非難されている過去があります。つまり、この方がカナダ人として住んでいるのは、その流れからです。戦争犯罪が確定している5000人ほどの元ナチスが、カナダに亡命していると言われています。

問題になっているのは、この部分。「カナダ議会が、元ナチス協力者を、わざわざ議場に招いて、拍手で迎えた」という事です。で、与党側は知らなかったと言っているのですが、議会に招く民間人の身辺調査をするのは常識ですし、Hunka氏の問題になった過去の経歴は、一般記者がちょっと調べれば判る程度の、隠蔽されたデータではなかったようです。つまり、政治ショーに利用する目的に意識が流れて、それ以外の事に頓着しなかったという事です。

Hunka氏の名誉の為に、時代背景を解説しますと、過去のブログの投稿でも何度か取り上げてますが、この時代、旧ソ連が支配下のウクライナから徹底的な穀物の収奪をしていて、500万人とも言われる餓死者を出しています。これは、ホロモドールと呼ばれる人工飢饉と評価されています。穀物が不作だった事実はあるのですが、共産国では決められたノルマは絶対なので、種籾や農民が生きる為に必要な蓄えまで、強制的に徴収して税として収めたので、大量のウクライナ人が餓死しました。つまり、この飢餓は、人為的に発生したものです。

そこへ解放軍として侵攻してきたのが、独ソ不可侵条約を破ったドイツ軍であり、ナチスだったわけです。なので、当時のウクライナ人からしたら感謝こそすれ、敵対する相手では無いという事です。ウクライナの独立の為、旧ソ連と戦うとしたら、ナチスの側について行動するしか選択肢が無かった。これを、今の倫理観で裁ける人間は、いないと思います。なので、この問題の本質は、Honka氏が、どうこうという事ではありません。

・この事実が明らかになると、世論が大炎上します。ロタ下院議長は、24日に「全責任は私にある」として議長職を辞任しました。
・しかし、議場に招いたのは下院議長だとしても、政治ショーのお膳立てをしたのは、首相周辺だろうという声が出ています。
・で、ここがトルドー陣営が嫌われる部分なのですが、こういう不都合が起きると、一人の生贄を用意して、多くの役職者が責任を取らずに逃げるのですね。都合良く、武漢肺炎にかかって入院したり、今回の件では「多忙」を理由に追求に答える事をしていません。
・さらには、記録の改ざんとか試みるわけです。今回の件も、議会の公式記録から削除して、無かった事にしようとして、阻止されています。
・そして、トンチンカンな言い逃れをして、決して謝罪はしません。今回の件でトルドー首相が出したコメントが、「私達全員がロシアのプロパガンダ、ロシアの偽情報に反発し、ウクライナへの揺るぎない明確な支援を継続する事が、本当に重要になるだろう」です。要約すると、「カナダ議会にナチス傘下で行動した人物を呼んだのは、ロシアのせいだ」と、自分達でお膳立てしておいて、ロシアが悪い事にしています。そして、この曖昧な態度でカナダ国内のみならず、海外に影響が波及します。

Hunka氏が所属していた部隊は、ポーランド人に対する虐殺行為の疑いが、かけられていて、身柄の引き渡しをカナダに対して要求するという話まで出る問題になっています。そして、この問題は、アメリカのメディアでも取り上げられて、既に国内政治でのミスでは済まない広がりを見せています。

つまり、今回の件で問題なのは、「政治ショーの効果を高める為に、多くの人にとって複雑な問題である歴史的な過去を、演出として軽く扱った」という事です。ちなみに、ゼレンスキー大統領は、サプライズでの演出ですから、当然ながらHonka氏が現れる事は知りませんでした。ロシアは、この件を、さっそくプロパガンダに利用して、「ウクライナはナチスのHonka氏を、英雄として切手にする予定だ」という嘘情報を流して、ウクライナ=ナチスという構図を国内向けに宣伝しています。

思うのですけど、今回のトルドー首相陣営の振る舞いって、まんま中国共産党のやり口に見えるのですよね。空気を読まない称賛を狙った演出、問題が生じた時の逃げ方、記録を改竄して無かった事にする思考、政治の都合で物事を考える思考が、とても気持ち悪いですね。』